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IT(情報技術)を活用した首都機能都市の在り方(最終提言)

3.高度情報化時代における首都機能移転の意義・効果

本検討の一環として実施した企業経営者及び地方公共団体首長に対するアンケート*注8によると、首都機能移転の意義・効果については、首都機能移転とIT化を有効に連携させることにより相乗効果を発揮するものと期待されている。

<参考資料>アンケート結果へ

また、ITが飛躍的な進歩を遂げることにより、首都機能都市と東京の連携を確保しながら移転を進める条件が一層整いつつある。
首都機能移転の意義・効果については、高度情報化時代においても認められ、具体的には以下のとおり再整理することが出来る。

注8: 高度情報化時代における企業の立地・地域づくり等に関するアンケート調査
(平成12年9月国土庁実施/http://www.nla.go.jp/info/index.html)

(1)国政全般の改革

IT化を通して電子政府化が進展するとともに、将来的にはインターネットを活用した民主主義の新しい姿も展望される。すなわち、従来の各種団体がインターネットを積極的に利用して開かれた形で首都機能に対して働きかけるようになるとともに、さらに、新しい形として個人を基本としながら同じような意見や価値観を持った人々がインターネット上で交流し、議論を深め、積極的に首都機能に対して働きかけることが予想される。その結果、こうした過程を経て、国民一人一人の意思がより一層反映される政治行政システムの確立が期待される。

国政全般の改革を定着、加速させる観点からもIT化や電子政府化を進めることが重要であり、さらに、こうした取り組みと首都機能移転を有効に連携させることにより、一層の相乗効果を発揮するものと期待されているところである。

また、首都機能の移転及び国政全般の改革により再構築された国、地方公共団体等はそれぞれの組織の自立への動きを加速させ、相互の意思疎通を進めるとともに、それらが構築する横断的な情報通信ネットワークは、業務の効率化を徹底するだけではなく、各機関毎の枠を超えたさらなる国政全般の改革及びそれに伴うリストラクチュアリングや人材の流動化を円滑に進めることとなる。

(2)東京一極集中の是正と地域の個性化、自立の促進

我が国の諸機能は依然として東京に過度に集積しており、東京を頂点とする序列意識や集中が集中を呼ぶメカニズムが変わらなければ、将来の人口減少局面においても、IT化の進展が東京一極集中を加速する方向に作用し、全国の総東京化が進むことが懸念される。

一方、高度情報化時代において、東京は引き続き我が国の経済・文化機能の中心であり、魅力あふれる我が国を代表する世界都市であることは多くの人が認めるところである。しかし、その魅力を高めていくためには、それが、圧倒的な量的機能集積にによってのみ支えられるという考えにとらわれることなく、アジアや世界の人材の活躍の場を東京において提供すること等、質に着目したグローバルな視点でこれからの東京圏の在り方を考える必要がある。

首都機能移転は、東京圏の中心部に相当の移転跡地を発生させ、その活用を通じて防災性の強化も含めた東京圏の整備促進が期待されることから、東京の魅力を高めるための一つの方策として考えることができる。

また、首都機能移転は、現在の圧倒的な東京発情報量のうち政治行政関係の情報量(全体の1〜2割)を軽減させることとなる。また、首都機能移転により東京以外の地域から発信される情報量を少しでも多くすることにより、これまでの東京一辺倒の情報の流れを変え、我が国の東京中心の意識構造を変えることが期待される。

さらに、先導的なITを備えた首都機能都市が東京とは異なる新しい都市モデルとして構想されれば、総東京化の流れを変え、各地域の個性化、自立を誘発し、我が国の資産や資源を有効に活用する多極分散型国土の形成を促進することとなる。

(3)災害対応力の強化

地方公共団体だけでは迅速な復旧・復興が困難な大規模災害が発生した場合には、首都機能が司令塔機能を発揮し、その指揮に基づく迅速かつ的確な対応が期待されているところである。このような大規模災害時にこそ、被災地と首都機能の同時被災(特に情報通信ネットワークや司令塔機能に従事する者の被災)を避ける対策が必要となる。

一方、大規模災害時においても、情報通信ネットワークが平常時と同様に円滑に機能するものと過信することは危険である。情報のトラフィックが集中する東京のネットワークが、広い範囲で同時に損壊した場合には、損壊を逃れたネットワークにおいて情報の渋滞が発生し、被災直後の情報通信ネットワークが機能不全に陥る可能性があることから、高度な安全性が求められる災害時の行政等の情報通信ネットワークは、東京に過度に依存しないネットワークを構築し、さらに司令塔機能を東京圏以外の地域に移転させるとともに、首都機能の情報中枢機能(情報の受発信拠点及び情報伝達手段)を適宜分散することが望ましい。

なお、首都機能移転によって国におけるITの活用や技術開発が促進されれば、被災直後の応急的対応から災害復興段階にわたって被災地の情報収集や被災地自治体等との連絡・調整はより迅速・的確かつ容易になるとともに、災害救援のためのNPOやNGO等が活動し易い環境が整う。

また、移転に伴い行政の情報通信ネットワークを構築する際に、情報のセキュリティ対策を十分に行う等、侵入・改竄・サイバーテロ等による首都機能の電子災害への対応を一層強化することが可能になる。

さらに、首都機能都市をコンパクトな都市とし、災害時に司令塔機能に従事する者の参集等を容易にすることにより、一層災害対応力が強化されることとなる。

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