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IT(情報技術)を活用した首都機能都市の在り方(最終提言)

6.中間提言に寄せられたパブリックコメントに基づく考察の提案

これまで述べてきた内容について中間提言として公表し、広く意見を募ったところ、187通の様々な意見が寄せられた。

その一つ一つがそれぞれに貴重なご意見であり、検討会として真摯に受け止めたい。

その中でも特に多かった意見は、情報空間と現実空間の調和、移転後の首都機能及び首都機能都市のあり方、首都機能都市を構築される際のデジタルデバイドを発生させない情報技術への配慮、全国の情報ネットワークの整備等への配慮に対するご意見であった。

まず、本提言においては情報空間と現実空間の調和の必要性について指摘したが、これに対しては多くの賛同が得られ、具体的にはインターネット上に様々な活動が展開されても、現実空間は依然として重要であり、それが首都機能都市としての街づくりや人間が住む街づくりを考える上で大切である、またそれこそが智恵の見せ所であるといったご意見が見られた。さらにITを活用したスリムな国会都市の実現を期待するご意見もあった。

また、検討会でも議論があったが、国民のITを活用した国政への参加の進展及び方法の多様化については、全般的にかなり期待が高かった。中には、国民一人一人の意見意思が、逐次電脳システムで計測、バランス処理・決定処理できることは、新世紀型民主主義のスタイルを整える上で重要である、といった導入に対する積極的なご意見も見られた。

しかし一方で、インターネットの匿名性に対する危惧が指摘されたり、国政へのITの導入の前提としてデジタルデバイドの解消の必要性が強く指摘されたり、あるいはITを活用した住民投票等はあくまでも議会制民主主義を補完するものである、というご意見も頂戴した。

国政の場におけるITの活用については、その公平性の確保や現行制度における国政への参加方法との整合を図るとともに、IT技術の開発・普及とともに解決しなければならないIT活用のためのリテラシーの確立やデジタルデバイドの解消に向けた今後の動向等、当面の進展を見守るべき部分も多い。しかしながら、首都機能移転は国政全般を根源にさかのぼって見直すための極めて重要な転機になるとされているところである。首都機能移転、あるいは首都機能都市づくりと国政全般の改革を有効に連携させながら、それぞれの施策の推進が図られるよう、また、繰り返しになるがこれらがIT国土の形成に向けた先導的な取り組みとしてふさわしいものになるよう、今後も様々な連携方策を探り、積極的に議論されることを期待する。

高度情報化時代における首都機能移転の意義・効果に対する意見は、本提言に対する支持・不支持が分かれ、様々な見解が寄せられた。特に、IT化の進展により東京一極集中の問題が深刻化するという見方と、IT化が東京一極集中を解消するという全く反対の見方があった。本提言においては東京一極集中を加速する方向に作用することの懸念を指摘したが、少なくとも、問題を深刻化させることの無いよう、現段階においては可能な限りあらゆる取り組みが行われるべきであると考える。

全国の情報ネットワークの整備等への配慮についても様々な意見があり、日本全国均一になるよう情報格差を無くしたり、首都機能の司令塔機能を充分発揮させたり、行政サービスを向上させるためには、首都機能都市内だけにとどまらず全国的な対策が必要であるとの指摘を受けた。今後も、首都機能移転や移転後の首都機能の果たすべき役割やIT国土形成の議論とともに、その具体的な対策を議論すべきであると考える。

なお、最近東京だけにとどまらず他の大都市(名古屋・大阪)及び地方中枢都市(札幌・福岡等)の中心部において、ITベンチャー企業等の交流活動の活発化と企業立地の増加によって、IT産業集積地の形成が進みつつある。今後これらの動きは、地方の情報発信力を高め、分散型国土構造の実現に寄与していく可能性を秘めている。したがって、こうしたIT産業集積地の形成をさらに促進していくための政策的な誘導が必要になってくる。

以上のように様々な意見が寄せられたことを踏まえ、検討会としては、ITを活用した首都機能都市の在り方について引き続き多くの人々の参加を得て議論を深め、そのような議論を通じて、首都機能移転の意義・効果及び首都機能都市の在り方を探って行くべきであると考える。特に、首都機能の利用者である国民の理解が深まるよう、抜本的に情報化された都市のイメージを伝えつつ、幅広い参加を得て議論が行われることが望ましいと考える。

なお、頂戴した意見の中には、技術的に情報ネットワーク化された首都機能都市についての現時点における構想が、都市建設着手時点においてすら、標準仕様化していたり陳腐化している可能性が高いという指摘もあった。このことは検討会においても認識していることであり、首都機能都市の情報基盤の整備にあたっては、常に最新の技術の導入に対して注意を払うとともに、将来に備えて出来る限り弾力性を確保することが必要であると考える。

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