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IT(情報技術)を活用した首都機能都市の在り方(最終提言)

7.今後の議論に向けて

検討会では、時代の潮流であるIT化と国家百年の大計である首都機能移転の相互関係を中心に論じてきたところであるが、それぞれに我が国の在り方に関わる大きな課題であり、また、長期にわたる課題でもあることから、議論が尽くしきれない点もあった。
今後とも多くの人々の参加を得て議論が広がり、深められることを期待するところであるが、その一助となるよう、これまでの繰り返しとなる部分もあるが、検討会が議論を通じて認識した留意点及びそれを踏まえた論点を提起しておくこととしたい。

第一には、議論に際して時間軸という要素を十分に意識することである。
首都機能移転は実現までに長い時間を要する一方、IT化は日進月歩の様相を呈しており、議論に際しては現下の趨勢を論じているのか、将来のあるべき姿を論じているのか、よく整理して臨む必要がある。このような留意点を踏まえ、次の論点を提起したい。
(1)IT化の進展とともにサイバーテロ等への対応が首都機能にとって重要性を増しており、高度情報化時代ならではの非常事態対策については、首都機能の移転に伴う対応が必要であることはもとより、首都機能移転を待たずとも迅速に取り組むべきである。
(2)我が国は現在、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速に推進することとしており、国民生活・産業活動ともにここ数年でその様相が大きく変わろうとしている。首都機能移転の意義・効果は、このような現下の趨勢がもたらす変化を展望しながら論じるべきであり、長期的に我が国に定着する高度情報通信ネットワーク社会の姿とともに論じるべきである。
(3)首都機能都市の情報基盤の整備にあたっては、常に最新の技術の導入に対して注意を払うとともに、将来に備えて出来るだけ弾力性を確保すべきである。

第二には、高度情報化時代における現実空間の意味をさらに論じることである。
高度情報化時代においても現実空間は依然として重要であり、首都機能都市においても現実空間と情報空間との調和を図っていく必要がある。このような留意点を踏まえ、次の論点を提起したい。
(1)IT化を前提とした首都機能都市の姿を描く場合においても、情報空間に偏重した姿ではなく、生身の感動を与える都市像を提示すべきである。
(2)アイデンティティを国民に印象づけるような仕掛として、現実空間としての首都機能都市を構想する必要がある。

第三には、議論を通じて首都機能移転の基本思想をより明確にすることである。
首都機能移転は、国民一人ひとりに関わる問題であるとともに、我が国の幅広い能力を総合化し、内外に示す絶好の機会として捉えうるものである。このような留意点を踏まえ、次の論点を提起したい。
(1)首都機能移転は一過性の経済対策や単なる公共事業として捉えるべきではなく、国民各層が知恵を出し合い、キャッチアップ指向からの離脱に向けてパラダイムシフトを果たすための創造的なプロジェクトとして論じられるべきである。
(2)大都市重視か、地方重視かといった二者択一的な考え方ではなく、首都機能移転が国土全体の空間の質的向上の契機となるように論じられるべきである。

以上のような論点を中心に、IT化が進展する新たな状況の中で首都機能移転の議論が一層進むことを期待するものである。

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