海事

造船産業の国際競争力の強化

 四面を海に囲まれた我が国は、物流の大部分を海上輸送に依存しており、これを船舶の供給という形で支える造船業は我が国の経済社会の発展等のために必要不可欠です。
 また、造船所が多数の舶用メーカーや協力事業者等とも密接に関連した海事クラスターを形成しており、瀬戸内、北部九州を中心に、地域の雇用創出、経済発展の面において中核的役割を果たしております。

 一方で、近年我が国造船業は非常に厳しい環境下にさらされてきました。
 世界の建造市況を見ると、リーマンショック前の海運ブーム時に多量の新造船発注がなされ、競合国の中国、韓国が建造施設を大幅に拡張した一方で、同ショック後に船舶需要が急落したことにより、需給ギャップが顕在化しました。また、その中、2012年末まで続いた歴史的な円高により、中国、韓国との厳しい受注競争を強いられてきました。
 現在も、需給ギャップは引き続き発生しており、また、低船価の状況が続いている一方で、2012年末以降の円高の緩和により、競争環境は改善しつつあります。

 このような中、我が国造船業が基幹産業として持続的に発展するためには、中国や韓国との国際競争力に勝ち残っていく必要があります。そのため、国土交通省では、「業界再編の促進」、「受注力の強化」、「新市場・新事業への展開」を3つの柱として様々な施策に取り組んでいます。

業界再編の促進

 我が国造船業は、競合国である中国や韓国と比較して、1社あたりの規模が比較的小さいといった特徴があり、それを克服する方策の1 つとして、業界再編などが挙げられます。業界再編は、各社の強みを活かした開発力の強化や生産体制の最適化を図る上で効果的なものです。
 国土交通省では、民間における業界再編の取り組みを支援するため、造船業を「事業の規模が国際的な水準に比較して著しく小さく、かつ、新需要の開拓が特に必要な事業分野」であるとして、産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法(産活法)に基づく「事業分野別指針」を定め、造船業の業界再編にあたり産活法のより円滑な活用のための環境が整備されました。
 2012年8月には、旧ユニバーサル造船(JEFホールディング(株)の造船子会社)と旧アイ・エイチ・アイマリンユナイテッド((株)IHIの造船子会社)の経営統合(新会社「ジャパンマリンユナイテッド(株)」、2013年1月1日統合)に際し、産活法に基づく両社の事業再構築計画を認定し、税制等の支援制度を活用することにより、事業再編の促進を図りました。
 本統合は、両社がそれぞれ有する設計能力の結集による開発力の強化や造船所の特性を最大限に活かした最適生産体制の追求により、新造商船事業を中心にバランスのとれた競争力及び収益力の強化を図り、韓国及び中国の造船業との厳しい受注競争に打ち勝つことを図るためのものであります。

受注力の強化

 我が国造船業の持続的な発展のためには、厳しい競争環境の下においても、受注を確保し続けることが需要であります。国土交通省では、我が国造船業が得意とする船舶の省エネ技術の更なる発展とその技術力を発揮できる環境整備により、我が国造船業の受注力の強化に取り組んでいます。
 具体的には、船舶から排出されるCO2削減を目指した民間の技術開発を支援するとともにIMOにおける環境規制の議論を主導する等技術開発・新技術の普及促進と国際的枠組みづくりの一体的な推進に取り組んでいます。
 また、OECD造船部会においては、各国間の造船政策の調整や相互監視を通じて公正な競争条件の確保を図っており、加盟国の企業が船舶輸出の際に活用する公的ファイナンスに対して、金利や償還期間等の諸条件を規定(船舶輸出信用セクター了解)しておりますが、我が国が優位性を持つ省エネ船舶に対して、より有利なファイナンス条件を提供できるよう努めています。
 また、国土交通省の働きかけにより造船会社、金融機関及び商社からの共同出資により、船舶輸出のための新たな投資促進スキームを支援するための会社である「日本船舶投資促進会社」が2012年4月に設立されました。このスキームの導入により、海洋開発分野の船舶や省エネなどの新技術を搭載した船舶の受注拡大に繋がることが期待されます。

新市場・新事業への展開

 我が国造船業が、これまで培ってきた優れた技術を活かし、新しい分野へ進出することも必要であるため、国土交通省では、大規模な船隊整備や我が国技術を活かした洋上施設の設置の可能性がある新興国等の新市場や、クルーズ客船や海洋開発に使用される船舶等の付加価値の高い新事業への展開を推進しており、官民を挙げて、相手国との密度の濃い持続的な関係構築等を行っています。
 例えば、ベトナムにおいて計画されている国家石油備蓄基地の整備に対し、日本からは我が国造船業の強みが発揮できるメガフロートを活用した洋上石油備蓄基地を提案しており、今後、日越両国の政府間協議や現地セミナーの開催、トップセールスの実施等により、メガフロートに係る設計・メンテナンス・運営等をパッケージとした受注を目指しています。
 また、2011年に拡充された国際協力銀行の融資を活用して、我が国造船会社が建造する3次元海底資源探査船や大型クルーズ客船の輸出が実現しています。

お問い合わせ先

国土交通省 海事局 船舶産業課
電話 :(03)5253-8111
直通 :(03)5253-8634
ファックス :(03)5253-1644

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