水管理・国土保全

水防の基礎知識

4.水防活動

水防は、水との闘いであるばかりでなく、時間との闘いであるといわれています。

1)水防計画の作成

 水防活動が最大の効果を発揮するためには、まず、事前の綿密な計画と十分な準備が必要ですが、都道府県知事及び知事により指定された水防管理団体の管理者は、水防上必要な監視、警戒、通信、連絡、輸送及び関連施設の操作、水防団・消防機関や水防協力団体の活動内容、水防管理団体相互間の協力応援、河川管理者及び下水道管理者の水防への協力等を盛り込んだ水防計画を定めることとなっています。
2)水害時の情報伝達

次に、水防に必要な情報の迅速かつ的確な把握が必要ですが、洪水により国民経済上重大又は相当な損害が生ずるおそれのある河川については、国土交通大臣または都道府県知事が気象庁長官と共同して、一般住民に洪水の生じるおそれがあることを周知する洪水予報(表-3)を行うこととしています(洪水予報河川)。洪水予報河川以外の河川で洪水により国民経済上重大または相当な損害を生ずるおそれのある河川として国土交通大臣または都道府県知事が指定したものについては、避難の一つの目安となる特別警戒水位を定め、水位がこれに到達した時には、その旨を一般住民へ周知することとしています(水位周知河川)。こうした情報は、住民の避難勧告等に資するため、関係市町村長にも通知されます。
 洪水予報河川、水位周知河川として指定した河川について、国土交通大臣及び都道府県知事は、これらの河川が氾濫した際に浸水のおそれがある区域を浸水想定区域として指定します。これをもとに、市町村は、洪水時の住民の避難確保のために必要な事項の伝達のあり方を決めたり、洪水ハザードマップの作成を行います。
 また、国土交通大臣又は都道府県知事は河川、湖沼又は海岸を指定して、水防管理団体の水防活動に指針を与える水防警報(表-4)を行うこととしています。

※洪水予報河川、水防警報河川・海岸および水位周知河川の指定状況や、浸水想定区域や洪水ハザードマップの作成状況については、こちらをご参照ください。

※オンラインで公開されているハザードマップについては、こちらをご参照ください。
洪水ハザードマップ
洪水ハザードマップ
3)実際の水防活動

 水防管理団体の長たる水防管理者は、気象庁の警報、2)で述べた河川に関する情報や水防警報などを踏まえ、水防団や消防機関(以下「水防機関」)に出動命令を下します。水防機関は、洪水等による被害を防止あるいは軽減するため、河川堤防等で水防工法等を駆使した活動を行います。
 また、水防機関には、道路の優先通行、警戒区域の設定等の水防活動上必要な権能が付与されるとともに、国土交通大臣及び都道府県知事には、水防管理者、水防団等に対する緊急時における指示権が与えられています。
 被害が大きくなった場合など、水防管理者は警察に対し援助を求めることができるほか、都道府県知事は自衛隊の派遣を要請することができます。国土交通省も、被災市町村の支援のため、河川の監視活動や排水ポンプ車による排水活動、破堤した堤防の仮締切といった「特定緊急水防活動」を行うことができます。
小貝川での水防活動の様子(平成26年10月 茨城県筑西市消防団)
小貝川での水防活動の様子
(平成26年10月 茨城県筑西市消防団)

5.水防・消防団員の活躍と水防工法

 河川堤防の破堤をもたらす原因としては、主に、堤防から河川水があふれ出て堤防の裏法面を削る「越水(溢水)」、河川の水位が高い場合に水圧により裏法面や裏法先に河川水が湧水して堤防が侵食される「浸透(漏水)」、河川水の流勢や波浪により表法面が削り取られる「洗掘」、河川の水位が高い場合などに生じる堤防表面の「亀裂」があります(図-5)。
 このような状況下での水防活動は、悪条件の気象の下で行われる極めて危険を伴う作業であり、水防活動に従事する水防・消防団員には、生命をかけた活動が要求される場合もあります。
 全国において、水防活動に従事している約87万人の水防団員及び消防団員(表-6)の活躍なくしては、洪水、高潮等による災害の発生を防止するための水防活動を、迅速かつ的確に行うことができないのです。(水防団・水防団員の活躍)
 水防工法には、積土のう、シート張り工、月の輪工、木流し工をはじめ、五徳縫い、中聖牛など種々の工法(
写真-1)がありますが、洪水時における現地の状況及び実施目的、並びに資材・人員等に応じた適切な工法を採用して、実際の水防活動が行われています。
 しかしながら、近年、水防団員や消防団員の減少、高齢化等により、こうした水防技術の向上や伝承がなされなかったり、水防の担い手が減ることによる地域の防災力低下が懸念されています。


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