長良川河口堰建設差止請求控訴事件判決(H10.12.17)



 七 まとめ
  1 以上のとおり、本件においては、本件堰ゲート扉の閉鎖により、地震、洪    水、高潮、津波などの災害の際に、控訴人ら個人個人の人格権が侵害される    具体的な危険が存することや、本件堰のゲート扉閉鎖を伴う運用を継続する    ことによる地盤漏水、環境破壊等により、控訴人ら個人個人の人格権が侵害    される具体的な危険が存することは認定することはできない。また、河床浚    渫による河床変動、板取ダム間題により生じ得る被害は、仮にそれが存する    としても、本件堰を原因とするものとは認められない。   2 控訴人らは、本件堰が公共性を待たないとして、原審及び当審において縷    々主張するが、上記のとおり、控訴人ら個人個人の人格権が侵害される具体    的な危険が存することを認定することができないのであるから、すすんで公    共性に関する主張について判断をする必要は存しない。   3 よって、本件堰ゲート扉の開鎖禁止請求は、当事者のその余の主張につい    て判断をするまでもなく、理由がない。