vol.2.....ダムを楽しむ

実は! ダムは楽しい

働きもののダム
川の水をせき止めて、水をためて、それをちょっとずつ飲み水などに使っている・・・ ダムというと、そんなイメージがないでしょうか? しかし実は、ダムにはいろいろな目的やそれに応じた機能があり、主なものに以下のようなものがあります。

①水をためる
これは分かりやすいですね。「水がめ」として飲み水などに使う水をためて、使っているわけです。

②洪水を防ぐ
降った雨が流れる勢いをダムで弱めて、川の水位が一気にあがらないようにして洪水を防ぐこともしています。

③発電する
ダムによっては水力発電をしています。水が流れ落ちるエネルギーを使っているんですね。

④川の流量を維持する
意外と知られていないかもしれませんが、雨が降らないカラカラの時に、ダムから少しずつ水を流して、川の水が枯れないようにしている場合もあります。こうすることで、生き物の命を守っています。

夏から秋にかけては、台風がきたり、大雨が降ったりして、一気にダムに流れ込む水量が増える場合があるので、ダムの水位を普段より低く保つ調節が行われている場合もあります。

もっと言うと、複数のダムが連携して、水をやりとりして助け合っている場合もあり(図)、ダムはなかなかの働きものなのです。いろいろな顔を持つダム。ここでは、日本でも有数の貯水量を誇る宮ヶ瀬ダム(みやがせダム)を例にしながら、ダムの楽しみ方や学び方を紹介していきます。


景色を楽しむ
大きなダムは川の上流、つまり、山の方にあることが多いです。ダムがつくる湖と、山の景色で心が和み・・・ いいリラックスになります。ダムに駐車場が整備されている場合、安心して車をとめられるという利点もあります。

施設で楽しむ
ダムによっては、公園や資料館のような展示施設(てんじしせつ)があったり、遊覧船(ゆうらんせん)など、親子やカップルで楽しめるものもあります。いつでもダム(提体)の中に入れて、内側がどうなっているのか観察できるところもあります。

「観光放流」といって、ダムから水が放流される様子を見学できるところもあります。高い場所から多量の水が豪快(ごうかい)に流下るのは、本当に圧巻(あっかん)です。 宮ヶ瀬ダムでは、100m近くの高さから毎秒30トンもの水が流れ下り、多くの人が歓声をあげています。

※ダムの中に入れるかどうか、また、観光放流の実施日・時間は、ホームページなどでチェックしてみましょう。


ダムカードを集める!
全国400か所近くで、「ダムカード」がもらえます。どこの川にあるダムなのか、形やゲートのタイプ、容量などの情報や、アピールポイントが書いてあり、コレクターも増えています。


色や形を楽しむ
巨大なもの、小さいもの、細長いもの、横に広いもの、ダムにはいろいろな大きさや形があります。例えばアーチダムと呼ばれる形のダムは、水圧を両側の岩盤(がんばん)に伝え、重力式(じゅうりょくしき)コンクリートダムはその重さで水圧を支えています。

すると、前者は両側に強い岩盤が必要になりますし、後者は地面がしっかりしていないといけません。また、使う材質や新しさによって、色も違います。ダムの立地と、構造との関係を知るのも、知的な楽しみです。専門家になったつもりで、造形的な美しさをじっくり見たり、形の違いについて調べたりするのも、なかなか楽しいですよ。

下の例以外にも、中空重力式ダム、重力式コンクリート・フィル複合ダムもあります。これらは、一般財団法人ダム協会の「ダム事典」に詳しく紹介されています。

ダムの種類。イメージイラスト

観察して学ぶ
~自由研究のネタにしよう~
色や形の違いの他にも、ダムには観察ポイントが山ほどあります。まずはダム全体をよく見てみましょう。外側だけ見てもいろいろなものがあることが分かります。たとえば宮ヶ瀬ダム(写真上)では、ダムから流れる水の勢いを弱め、一気に川の水位があがるのを防ぐための「副ダム」と呼ばれる石小屋ダムがあります(写真下)。2つのダムを見比べてみると、石小屋ダムの方が小さいのはもちろんですが、壁に穴が開いていないことが分かります。このダムは越流型といって、水位があがると、自然にダムを超えて水が流れる形になっているため、穴が開いていないのです。

一方、宮ヶ瀬ダムの方は、上の方の壁に大きな四角い穴が二つ開いています。もしこれが、ただ穴が開いているのであれば、水位があがると水が噴き出してきそうですね。しかし普段、ここから水は出ていません。実は、中に「ゲート」と呼ばれる門があって、普段はそれを閉めているのです。しかし、下流に水を流す必要があるときだけ、このゲートを開けて水を流すのです。

しかし、なぜわざわざ2つ穴があいているのでしょうか? 1つの方が安く済むような気もします。ダムに来たら、こういう観察をじっくりしてみましょう。想像を膨らませて調べていくと、とても面白く思えてくるはずです。

ダムの中には監査廊(かんさろう)という通路があり、ゲートの操作をする場所もあります。中で点検や操作をしています。中がどうなっているかはこのホームページ(リンク)で見られます。

ここでは、ダムの外や中で観察できること、自由研究のネタになりそうなことを少しご紹介します。
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地域を楽しむ
ダムの周辺地域には、温泉やおいしい食べ物、レジャー施設もあるかもしれません。地域をあげて、観光に力を入れているところもあります。宮ヶ瀬ダムの周辺では、動物がいる牧場があったり、そこでアイスが食べられたり、パン工場の直売所があってにぎわっています。こんなスポットを探すのも、楽しいですよ!







チェック! ダムカードはここにある
400近いダムで配布しています!
ダムカードは、平成19年から「ダムを訪問した人」を対象に配布しています。つまり! ダムに行かないともらえません。ダムカードの配布場所は、国土交通省のホームページで紹介していますので、是非ご覧ください。

ダムの観光情報を配信しています
工事が進んでいて今が必見のダムや、イベント情報、民間会社によるツアー案内などの情報配信を行っています。是非ご覧ください。

ダムの場所・カードの有無が地図で分かる!
ダム愛好家のかたが作成しているホームページがあります。地図上に、ダムの位置や諸元が表示されます。近くのダムが、すぐに見つかりますよ。


注意:水辺の安全に気を付けましょう
熱中症・虫刺され・急な増水に要注意
夏に屋外で行動する場合には、熱中症に十分気を付けましょう。虫刺されも要注意です。また、川は急に増水することがあります。特に注意しましょう。水辺で活動する際の安全については、下記リンクのホームページが良い参考となりますので、ご一読ください。