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水害レポート2004

平成16年度版


総合的な豪雨災害対策についての緊急提言及び豪雨災害対策アクションプランの概要(平成16年12月)




1.今年の災害の特徴と新たな課題


今年の水害、土砂災害、高潮災害等から、自然的状況、社会的状況の変化による新たな災害対策の課題が明らかになった。


1.自然的状況
1 局所的な集中豪雨が多発
やじるし
  • 流域が比較的小さい中小河川での洪水や土砂災害の増大
  • 洪水予測等があまり行われていなかった中小流域での情報提供の充実をはじめ迅速な警戒避難体制が必要
2 これまでの記録を超える降雨量、高潮の波高・波力などが各地で発生
やじるし
  • 自然の外力は施設能力を超える可能性が常にあることをふまえた備えが必要
3 破堤が多数発生。多くの人命、財産を失うだけでなく、後片づけなど事後対応も大変
やじるし
  • 破堤のように災害現象が急激に拡大することがないような対策が必要
  • 災害現象の急激な変化を念頭においた避難警戒体制が必要
2.社会的状況
1 高齢者や保育園児などの災害弱者の被災が特徴的
やじるし
  • 少子高齢化に対応した警戒避難体制の確立が必要
2 旧来型の地域コミュニティの衰退、水防団員の減少と高齢化など地域の共助体制が弱体化
やじるし
  • 近年の社会的状況を踏まえた共助体制の再構築が必要
3 避難勧告発令や伝達の遅れや、伝達あsれても避難しない人が多数
やじるし
  • 住民や自治体等の災害経験が減少し、危機意識も低下している中でも、災害時に的確な認識や行動がなされるような仕組みが必要
4 地下鉄、地下街など地下空間利用が増加している中での地下空間が多数浸水
やじるし
  • 都市の地下空間の浸水に対する防御と的確な避難誘導体制の構築が必要



2.今後の対策の基本方向


今年の水害がら明らかになった新たな課題に的確に対応しつつ、今後の投資余力が限られる中で、できるだけ早期に安全度を高め、被害を最小化することが基本的命題


(1)ソフト対策とハード整備が一体となった減災体制の確立
(2)治水安全度の早期向上のための多様な整備手法の導入、既存施設の有効活用、管理の高度化
1.災害時に、より的確に住民が避難等の行動をでき、自治体が防災活動を行えるよう、地域別のわかりやすい予測情報や氾濫情報など、的確な避難に役立ち、被害軽減に必要な情報を充実する。(送り手情報から受け手情報へ)
2.災害経験があまりない住民や自治体等も、災害発生時に的確に行動できるよう、各地域で発生する可能性のある災害についての情報(災害環境情報)及び災害時にとるべき行動についての情報(災害行動情報)が平常時から共有される社会への転換を図る。
3.地域の災害対応力の脆弱化や都市構造の変化等を踏まえ、防災施設の整備途上等において、施設能力を超える自然の外力が発生し施設が破壊した場合にも、壊滅的な被害とならないよう、施設の設計・運用の高度化や万が一の場合の危機管理体制を構築する。
4.近年増加傾向にある集中豪雨等の発生や計画を超える自然の外力の多発を踏まえ、土地利用状況によって異なる安全度の設定や操作ルールの変更による既存施設の有効活用など、従前の計画論にこだわらず多様な整備手法を展開する。
5.少子高齢化、旧来型の地域コミュニティの衰退、都市構造の変化などの社会的状況の変化も踏まえて、多様な主体の参加による防水体制、平常時から地域の住民が参加する様々な防災活動、広域的な支援体制などの展開により、自助、共助、公助のバランスのとれた地域の防災力の再構築を支援する。



3.緊急に対応すべき具体的施設(主なもの)

送り手情報から受け手情報への転換を通じた災害情報の提供の充実
  • 避難行動等に有効な洪水予測情報は大河川のみ
    (1時間間隔)
やじるし
  • 局所的降雨予測データを用いた流域が小さい中小河川での洪水予測の高精度化→中小河川での洪水予測をできるだけ実施(10分間隔)
  • 洪水時の情報は、「河川の水位が○○m」など河川管理者サイドの情報で、住民に実感がない
やじるし
  • 氾濫域の浸水情報や土砂災害の前兆現象の情報など、住民の避難に結びつく災害を実感できる情報を提供
  • 洪水時の水位の情報を市町村に提供
  • ダム放流警報スピーカー、電光掲示板は、放流通知等河川管理に必要な情報の提供時のみ使用
やじるし
  • 洪水時の水位情報を住民等にリアルタイムで公表
  • ダム放流警報スピーカーや電光掲示板を、市町村の避難勧告等の情報提供手段として市町村等に開放
平常時からの防災情報の共有の徹底化
  • 浸水想定区域図の作成は大河川が中心(193河川)
    ハザードマップの作成は大河川でも約3割
  • 高潮の浸水想定区域がない
  • 土砂災害警戒区域の指定は2県で213箇所とわずか
やじるし
  • 浸水想定区域図の作成を主要な中小河川にまで拡大 ※
  • ハザードマップの作成・公表を被害をうけるほどんとの地域で義務化 ※
  • 高潮浸水想定区域の指定制度を創設 ※
    ※財政支援制度の創設
  • 土砂災害警戒区域は緊急に全国展開
  • 洪水予報が難しい中小河川等で行動につながる情報がない
やじるし
  • 「どの程度の雨で、いつ頃危険か」のような身近な河川の情報を日頃から住民に周知
  • 地震災害を想定に指定された避難場所の多くが水没
やじるし
  • 水害・土砂災害・高潮災害に適合した避難場所への前面的見直し
迅速かつ効率的な防災施設の機能の維持向上
  • 補助区間は事業実施区間のみ流下能力の把握にとどまっており、水系全体の安全度が十分に把握されていない
やじるし
  • 地域の災害安全度や防災施設の整備状況を調査・評価・公表し、その結果に基づき整備の適切な進捗管理
  • 堤防は計画高水位を基準に必要な断面の確保(量的整備)を優先
やじるし
  • 高い水位が長時間続いても容易には破堤しないよう堤防の質的強化を市街地等で優先実施
  • ダムの操作ルールは、過去の主要洪水に基づく計画で1つに決定
  • 洪水ごとにあわせた操作ができない
やじるし
  • 降雨予測技術を活用した事前放流などダムの機能をより有効に活用できるよう操作ルールを変更
地域の防災対応力の強化
  • 高齢者や共働き社会を支える保育園の園児等の災害時要援護者の被災が顕著
やじるし
  • 高齢者等が主に利用する施設への洪水時の情報伝達の徹底
  • 旧来型のコミュニティの衰退や水防団員の減少・高齢化などにより、地域の災害時の共助体制が脆弱化
やじるし
  • 水防団員の苦労に報いるため、退職報償金支給規定の創設
  • 水防活動に協力する公益法人等と水防団が連携する制度の創設
  • 地下鉄・地下街などの利用が増加している中で、地下空間の浸水被害が多発
やじるし
  • 大規模な地下空間の管理者に洪水時の避難確保計画の作成を義務づけ


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