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河川局


3 豊水を利用する水利使用について



 豊水の利用については、河川の流量が渇水流量(年間を通じて355日を下らない程度の流量)以上の一定流量を超える場合に限り取水できるとされているものである。このような水利使用においては、通年取水が不可能であり、また、取水が可能な時期であっても取水量が安定せず、渇水年等の流況が悪い年においては取水可能量が減少することとなる。従って、これは、取水を継続して利用するという水利使用の性格に照らして特例的なものであり、原則として許可できないものである。

 豊水は、通常、消費されることなく海に流入するが、河道内にダム等の水資源開発施設を設置して、これを貯留し、渇水時における取水に充当するときは、人為的に渇水流量を増大させ、取水を安定的に継続可能にすることができるものである。しかし、ダム等の水資源開発施設が完成する前であっても、暫定的に豊水を利用する水利使用を許可することがあるが、これは、社会的要請により水利使用の緊急性が高い場合に、河川流況、近い将来必要な水源確保のための措置を確実に講じること等将来の水源措置の見通し等を総合的に勘案し、他の水利使用より優先順位が劣ること等を条件とした上で許可を与えているものである。

 また、目的に着目すれば、水力発電用水や消流雪用水が豊水を利用する水利使用として挙げられるが、これらは、河川水を消費せず、取水された水は河川に還元されるという特色を有すること、事業内容から見て年間を通して一定日数以上取水できないことがあっても事業に支障がないこと等から、一般に、必要な条件を付した上で許可を行うこととしている。

 この外、個別具体的に検討を行った上で許可した事例としては、取水可能な豊水を河道外の貯留施設に貯留して取水利用が安定的に継続可能となるような工夫を行い、水利使用の実行の確実性が確保される水利使用である場合において、水系全体における今後の水資源開発の展望、取水管理方法等を総合的に検討の上、特例的に許可を与えているものがある。


〈主な許可事例(個別具体的に検討を行った上で許可した事例)〉
番号許可権者水 系河 川水利使用件名(目的)水利使用者許可量
m3/s
当初許可
年月日
利用形態取水の安定性、実行の確実性に係る審査基準適合の
判断理由及び総合的判断の根拠
許可の条件
1関東地方
整備局長
一級 利根川利根川等房総導水路(上水・工水のための)注水水資源機構上水 7.7
うち豊水分 6.7
H7.8.29他河川の貯留施設(ダム)に貯留利根川水系及び荒川水系に水源を依存する諸地域の現在及び将来の水需要見通し及び供給目標についての総合的計画である「利根川水系及び荒川水系における水資源開発基本計画」に基づき、利根川の水を房総半島の二級河川栗山川に注水した後、東金ダム及び長柄ダムに注水して貯留・調整を行い、当該貯留施設からの補給により安定的な水道用水及び工業用水の供給を可能にするものである。 河口閉鎖の防止として利根川河口堰直下における利根川の河川流出量を30m3/s(正常流量)確保する必要があり、これを超える場合に限り、その超える部分の範囲内において取水できることとしている。
また、利根川から取水を行う水門は、管理規程により厳格な管理や豊水取水量の明確な把握が行えるようにしている。
2青森県知事二級 奥入瀬川奥入瀬川国営相坂川左岸農業水利事業かんがい
用水
農林水産大臣かんがい 22.533
うち豊水分 3.033
(豊水分の年間
総取水量 820m3
H14.2.7河道外貯留施設に貯留当該地区の河川水は、農業・発電・観光・漁業等に配慮して昭和12年に計画された「奥入瀬川河水統制計画」により利用が規制され、かんがい用水不足であったため、新規水源をむつ小川原総合開発事業の一環として計画されていた小川原湖(特定多目的ダム)に求めていたが、平成8年に小川原湖淡水化の撤回が表明され、水源計画の見直しが必要となり、河道外貯留施設が計画された。河道外貯留施設で貯留及び補給を行うことにより、かんがい用水の必要水量を安定的に供給できるため、実行の確実性が確保されているものである。
また、用水管理システムを構築し厳格な用水管理を行うこととしている。
 後発の水資源開発に支障を来さないようにするため、奥入瀬川法量測水所における流量が11.057m3/s(10年に一度の渇水年における豊水流量(年間を通じて95日を下らない程度の流量))を超える場合に限り、その超える部分の範囲内において取水できることとしている。
また、管理規程により厳格な管理や豊水取水量の明確な把握が行えるようにしている。
3沖縄県知事二級 名蔵川
    宮良川
名蔵川
宮良川
石垣市上水上 水石垣市上水 0.241
うち豊水分 0.079
(豊水分の一日最大使用水量 普通河川からの取水と併せて9,000m3/日)
H16.3.18河道外貯留施設に貯留将来の需要増に対応するための水源として予定していた白水ダム(多目的ダム)建設計画が、平成12年に治水計画の見直し等により事業中止が決定され、他にダム建設による水源開発を行う適地がないため、代替水源として河道外貯留施設が計画された。河道外貯留施設で貯留及び補給を行うことにより、水道の必要量を安定的に供給できるため、実行の確実性が確保されているものである。
また、当該河川においては、今後、新たな水資源開発の見通しはない。
 名蔵川白水取水場地点における河川流量が正常流量(12/1〜4/30は0.026m3/s、5/1〜11/30は0.019m3/s)を超える場合に限り、その超える部分の範囲内において取水できることとしている。
また、取水規程により、厳格な取水管理や豊水取水量の明確な把握が行えるようにしている。



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