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河川局

洪水等に関する防災情報体系の見直し実施要領
1.水位及び発表情報の改善

 住民や報道機関、市町村等の情報の受け手の混乱を招かないように、従前用いていた警戒水位等の各種の水位をはん濫の危険度にあわせて再整理を行い、危険度のレベルを明確にするとともに、水位に基づき発表する防災情報(以下、「発表情報」という。従前の「特別警戒水位到達情報」、「(○○川)洪水警報」等に相当する。)と住民の避難行動等の関連を明確にするため、洪水予報指定河川、水位情報周知河川を問わず発表情報を統一することとする。
1)水位
水位については、各水位の危険性の順序や住民や報道機関、市町村等がとるべき具体的行動がわかるように、以下の通り変更することとする。
1はん濫注意水位
水位の位置付け:市町村長の避難準備情報等の発令判断の目安、住民のはん濫に関する情報への注意喚起、水防団の出動の目安
従前との対応:「警戒水位」に対応

2避難判断水位
水位の位置付け:市町村長の避難勧告等の発令判断の目安、住民の避難判断の参考
従前との対応:水位情報周知河川における「特別警戒水位」に対応
洪水予報指定河川においては、特別警戒水位は設定されていないが、避難勧告等の発令、情報伝達及び避難(以下、「避難等」という)に要するリードタイムを考慮したうえで、避難判断水位を新たに設定

3はん濫危険水位
水位の位置付け:洪水により相当の家屋浸水等の被害を生じるはん濫の恐れがある水位
従前との対応:「危険水位」に対応
危険水位については、平成17年度より縦断的に設定することとしているが、避難の判断をすべき重要な水位であるため、堤防の整備状況や沿川の状況に応じて適切に設定するとともに、適宜見直しを図ること

4水防団待機水位
水位の位置付け:水防団が出動のために待機する水位
従前との対応:「通報水位(指定水位)」に対応
 今回の見直しにあわせて、住民等にはん濫の危険性を周知するため、量水標に以下の通り着色することとする。また、既存の量水標だけでなく橋脚等を積極的に活用して量水標を設置し、氾濫の危険性の周知が徹底させるよう工夫することとする。特に、はん濫の恐れの高い地区においては、着色した量水標を優先的に設置することとする。
レベル1   (水防団待機水位〜はん濫注意水位):無着色
レベル2   (はん濫注意水位〜避難判断水位) :黄色
レベル3及び4(避難判断水位より上部)     :赤色

なお、はん濫危険水位(はん濫危険水位と計画高水位が異なる場合には、計画高水位も含む)については、その水位がわかるように明示することとする。
2)発表情報
@○○川はん濫注意情報
従前の名称:(○○川)洪水注意報
発表する時期:はん濫注意水位に到達した時
A○○川はん濫警戒情報
従前の名称:(○○川)洪水警報
発表する時期:避難判断水位に到達した時、あるいは、水位予測に基づきはん濫危険水位(従前の「危険水位」に対応)に達すると見込まれた時
特記事項:水防法第10条第2項(都道府県においては第11条)に基づき洪水予報を行う河川においては、水位予測に基づき○○川はん濫警戒情報を発表するタイミングを、避難勧告等の発令の決定権者である関係市町村長と十分調整した上で、避難等に要するリードタイムを考慮して予め定めておくこと。また、はん濫警戒情報を発表する目安として避難判断水位を避難等に要するリードタイムを考慮して定めておくこと。
B○○川はん濫危険情報
従前の名称:(○○川)洪水情報
発表する時期:はん濫危険水位に到達した時
C○○川はん濫発生情報
従前の名称:(○○川)洪水情報
発表する時期:はん濫が発生した時
発表の目的:はん濫の発生の周知
 なお、水防警報は、一般に周知する特別警戒水位到達情報、洪水警報等と同様には扱わず、その発表のタイミングや内容については従前通りとする。ただし、「通報水位(指定水位)」を「水防団待機水位」に言い換えることとしたことに留意されたい。
2.発表情報等に用いる防災用語の改善

 発表情報等に用いる防災用語については、情報の受け手の立場に立ち、災害の状況や危険度が容易に理解できるようにすることや音声で聞いて理解できるようにすること等を考慮して、別表の通り改善することとする。
ただし、用語の改善にあたっては、以下に留意して情報を提供されたい。
  • 「右岸・左岸」等の用語については、「○○市側」、「○○市役所側」等の具体的な地名、方角等を用いて表現を工夫し、理解が容易となるようにすること。
  • 水位の表示は、橋桁の下面との差や堤防の上面からの高さで示すことを併用すること

3.用語の法令上の取り扱い等

1)「特別警戒水位」は、「避難判断水位」と言い換えることとしているが、当該水位は水防法第13条の規定に基づき設定され、その水位に達したときに関係都道府県知事に通知するとともに、必要に応じ報道機関の協力を求めて一般に周知することになっている。そのため、水防法の規定に基づき、「避難判断水位」を通知あるいは周知する場合には、以下の通り表記することを基本とする。ただし、同一文書中に複数回記載する必要がある場合においては、脚注に記載する等、他の表現方法を用いてもよい。
避難判断水位(水防法第13条で規定される特別警戒水位)
洪水予報を行う河川においては、今後ははん濫警戒情報を発表する目安の水位として「避難判断水位」を設定し、防災情報の体系に基づき情報提供することとしているが、水防法第13条で規定される特別警戒水位に該当するものではなく、河川管理者が個々の河川特性を踏まえ設定するものとして運用することとする。なお、洪水予報河川における避難判断水位の設定方法については、別途通知する。
2) 洪水予報で用いる用語のうち「洪水注意報」及び「洪水警報」については、気象業務法施行令第6条において規定されているため、改善された用語の後に括弧書きで従前の用語を表記したり、発表文中に脚注を付す等により従前の用語との関連を示すこととする。また、それ以外の用語で、従前用いていた用語との関連を示すことが必要と判断される場合には、改善された用語のあとに括弧書きで従前の用語を表記する等の工夫を適宜行うこととする。
3) 地域防災計画、水防計画や防災業務計画等についても、平成19年度に作成するものについては今回の見直しを踏まえて対応するよう都道府県に対し適切に指導・助言すること。なお、水防法第17条の規定により、水防管理者は、水位が警戒水位に達した時、その他水防上必要があると認められるときは、都道府県の水防計画で定めるところにより、水防団及び消防機関に出動させ又は出動の準備をさせなければならないとされていることを踏まえ、水防計画においてはん濫注意水位について表記する場合には、上記「避難判断水位」と同様の表記とすることとする。
4) 洪水ハザードマップ(解説等も含む)に記載する用語については、今回の見直しを踏まえて記載するよう、市町村に対し適切に指導・助言すること。なお、既に作成済みの洪水ハザードマップについても適宜更新されることが望ましいが、少なくとも関係地方公共団体と協力し、所要の見直しを行った旨を周知させるよう努めることとする。
5) 本要領で改善することとしている防災用語等について、既発出の通知等により発表等を行う場合には、本通知に基づき実施することとする。

4.防災情報の的確な伝達に必要な事項

 防災情報は、たとえ良質な情報であっても、その伝え方が不十分であれば、機能しないこともある。また、情報は伝えて終わりではなく、伝わって活用されるまでを考慮することが必要である。そのため、地元の市町村と日常より密接に連絡・調整を行い、河川の特性や状況、洪水の特性、避難に関する地域の状況、それぞれの防災体制等について相互の理解を図っておくこととする。特に、避難勧告等の決定権者である市町村長には、災害時に伝えるべき情報が直接、正確に伝わるよう、事前に本通知の趣旨等を直接提供したり、必要な機器を整備する等の準備をすることとする。
5.実施の時期等

 本要領については、住民、市町村、報道機関等に充分周知徹底を図った後、平成19年4月より実施することとするので、遺漏無きよう準備されたい。また、洪水予報指定河川における洪水予報については、洪水予報文の変更及び必要な情報システムの改修を来年度出水期までに実施されたい。
 ただし、今年度において、従来の用語のあとに改善後の用語を括弧書きで記載する等により先行的に見直しを行うことを妨げるものではない。
(資料)
改善を行う用語・表現(PDFファイル 11.2 KB)

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