中川・綾瀬川流域では、昭和33年9月の狩野川台風により流域の約30％が浸水するという甚大な被害を受けました。また、昭和50年代、60年代や平成に入った後も綾瀬川の下流部を中心に大規模な浸水被害を受けており、近年においても台風や局地的集中豪雨などにより浸水被害を受けています。

昭和６１年８月　台風１０号

昭和６１年８月の台風１０号は熱帯低気圧と重なったため、広い雨域をもち、近畿、東海、関東地方で４日朝から５日未明まで強い雨が降り続きました。
　管内各観測所の総雨量は、熊谷１４３ｍｍ、蓮田２０４ｍｍ、岩槻２０５ｍｍ、越谷２２９ｍｍ、野田２４０ｍｍ、吉川２０９ｍｍ、松戸２３７ｍｍ、野々下２４２ｍｍ、篠崎２２０ｍｍでした。
　綾瀬川の谷古宇水位観測所では、４日１８時に指定水位、２０時には警戒水位を超え、５日４時にピーク水位３．８６ｍを記録しました。
　中川の吉川水位観測所では、５日１時に指定水位、４時には警戒水位を超え、同日２０時にピーク水位３．８４ｍを記録しました。
この出水で草加市や越谷市など各地で溢水氾濫が生じ、甚大な被害が発生し、草加市では、昭和５７年９月の台風１８号に次いで災害救助法が適用され、綾瀬川では３度目となる河川激甚災害対策特別緊急事業が採択されました。

平成３年９月

昭和３年９月の台風１８号が秋雨前線を活発化させたため、関東全域に１８日朝から１９日夜にかけて５０ｍから３５０ｍの降雨をもたらした。管内各観測所の総雨量は野田２０７ｍｍ、松戸２４２ｍｍ、熊谷１４５ｍｍ、蓮田２１９ｍｍ、岩槻２０３ｍｍ、越谷２２８ｍｍ、草加２３１ｍｍでした。綾瀬川の谷古宇観測所では９月１９日１７時に観測史上最高水位の４．０１ｍを記録しました。また、中川の吉川水位観測所でも警戒水位を超える出水となるとともに指定水位を４３時間継続するに至り、各排水機場による排水運転、水防団による土のう積み等の水防活動が実施されましたが、春日部市など各地で溢水氾濫が生じ、浸水家屋２００００戸を超える甚大な被害が発生し、綾瀬川では４度目となる河川激甚災害対策特別緊急事業が採択されました。

平成２７年９月　関東・東北豪雨

平成２７年９月７日からの台風１８号の接近により中川、綾瀬川流域では、９月６日の１６時頃から１０日２３時頃まで降雨が続き、中川流域での累加雨量が２７２．７ミリ、綾瀬川流域での累加雨量が３２８．９ミリとなりました。
　流域内で特に雨量が多かったのが、埼玉県の越谷では、累加雨量が４０２ミリと観測史上最大級の降雨となり、中川では９月１０日最高水位４．５ｍ　綾瀬川では９月１０日最高水位３．７８ｍを記録しました。
　この出水に対し、首都圏外郭放水路、綾瀬川放水路、三郷放水路で、排水機場を稼働し、水防団による活動により洪水のはん濫を防ぎました。この台風では、越谷市等において大規模な内水被害が発生しました。