道路事業評価手法検討委員会

第10回 道路事業評価手法検討委員会
日 時  平成16年12月24日(金)10:00〜12:00
場 所  国土交通省11F特別会議室
議事次第  1.開会
 2.議事
 (1)道路事業・街路事業に係る総合評価手法について
 (2)構想段階における総合的評価について
 (3)その他
 3.閉会

委 員 長
森地 茂
東京大学大学院工学系研究科教授
委員長代理
 
小林 潔司
京都大学大学院工学研究科教授
委    員
太田 和博
専修大学商学部教授
委    員
竹内 健蔵
東京女子大学文理学部教授
委    員
 
堤   盛人
筑波大学社会工学系助教授
委    員
林山 泰久
東北大学大学院経済学研究科助教授
委    員
山内 弘隆
一橋大学大学院商学研究科教授
顧    問
 
中村 英夫
武蔵工業大学教授
○は出席した委員

委員会資料   議事録(PDF)

道路事業・街路事業に係る総合評価について
   道路事業・街路事業に係る総合評価については、前回委員会提示案に対するケーススタディ結果や実務担当者の意見等を踏まえた修正案が提示された。提示案に対する主な意見は以下のとおりである。

 なお、今後、以下の意見を参考に修正を行い、必要に応じて各委員に確認したうえで、パブリックコメントを実施することとされた。

○評価基準について

点数付けによる評価ではなく、個別事業の必要性を明確に示すという今回の評価手法は理解できるが、結果が恣意的だと批判されないような表現の仕方が重要である。
総括表の記入は基本的に実務担当者が行い、意思決定者がそれらの材料をもとに「採択の理由」を記入すると理解したが、その際、採択の可否の判断基準はあるのか。例えば◎が1箇所でも一芸に秀でているものが採択されるのか、それとも平均的に効果が見られるものが採択されるのか。(◎の数等で判断することは考えていない。◎が1箇所でも、必要性が十分に説明できればよいと考えている旨、事務局より説明)

○採択の判断について

「公共事業評価の基本的考え方」では、事業評価にあたっての基本事項として、(1)客観性・透明性の向上と、(2)効率的な実施の2点が挙げられているが、今回の案では「効率的」という点がうまく表現されていないように感じる。「採択の理由」ではなく、採択の可否を説明すべきではないか。(事業の効率性に関しては、B/Cによって判断されている。可否という面で言えば、B/C>1.0の事業はいずれも「可」であるが、採択については、予算上の制約もあることで行政的に判断している。それを「否」としてしまうと誤解を招くと考えている旨、道路局側より説明)
採択事業の全体の中に占める位置について、「渋滞対策」と「事故対策」では、それぞれ渋滞度曲線等を用いた表現がなされるため、非常にわかりやすい。同様に、当該事業がおよそ全国でどのあたりに位置するのかを示せないか。
必要性を説明するのならば、不必要性の説明も必要である。採択の可否の判断は社会情勢等によって変わるという説明は理解できるが、当該年度の判断として示すことはできるのではないか。その際、事業期間について示せれば、ある程度先を見越した判断が可能となるのではないか。(事業期間については、公表するとそのとおりに実施する必要があるため、担当者としては安全側としてしまい、却って事業期間が長くなる恐れがある旨、委員長より説明)
大学の試験に例えると、最近は不合格の生徒にも説明することが求められる。明確にはできなくとも、全くダメなのか、可能性はあったが諸事情で否となったのか、等のグループ分け程度でもできないか。(B/C>1.0の事業であり、全くダメなものは上がって来ていないと考えている旨、道路局側より説明)
自治体の中には、不採択事業を公表しているところもある。それによる効果として、変な事業が上がってこなくなったということであった。国の事業の場合、現在もそのようにおかしな事業は上がってこないシステムになっているものと考えられるが、参考にして欲しい。
大学の例で言えば、職員の公募の際など、採用の根拠として、採用者が全国の研究者の中でどのあたりに位置しているのか等を公表するが、不採用者については公表しない。そのあたりも考慮すべきではないか。

道路事業・街路事業に係る総合評価要綱(案)について

各事業の特徴について、要綱(案)にいくつか例が示されているが、例を示してしまうと、そのとおりに書かれる恐れはないか。「大幅に」や「著しい」と表現する場合の根拠が必要である。(例示にもあるが、文章のあとに、定量的データによる根拠を示すこととしている。例えば「災害」ならば、過去の平均通行止時間などを示すことで根拠を明確にするように考えている旨、事務局より説明)

○パブリックコメントについて

意見を寄せていただける対象として考えられるのは、実務担当者と事業評価に関心のある一般国民との2通りがあると考えられる。実務担当者に対しては、要綱(案)を示すだけで内容が理解できると思うが、一般国民に対しては、要綱(案)の他に、今回の評価の目的や、高速評価との違い等を記した補足資料が必要なのではないか。

構想段階における総合的評価について
   構想段階における総合的評価について、事務局より説明が行われた。今後、以下の意見を受けて必要な見直しを行い、地方整備局等への意見照会を経てガイドライン案を作成し、次回委員会において報告する旨、了承された。

○対象事業について

この評価は、都道府県の事業についても対象となるのか。(資料3−1にあるように、当面、環境影響評価の対象事業等を対象とすることとしており、国の事業を対象とするが、都道府県の事業についても、このようなプロセスの導入を推奨していくことになる旨、事務局より説明)

○制度設計について

構想段階評価では、(1)代替案の中から最適案を選定するための評価と、(2)計画案について合意形成を図るためのPIという、2つの内容がある。これらを実施できる内容になっているか、注意しておくことが必要である。例えば通過交通の多い道路の計画などでは、交通処理面での最適案と、地元の意向が相反する恐れもあり、制度設計時にきちんと整理しておく必要がある。(現在、大規模な事業については、地域の意見を聞かずに実施できるものではない。ただし、地域の意見だけで計画が決まるものでもなく、そのあたりのバランスを考慮してPIの対象範囲を検討する等の設計する旨、事務局より説明)

○A表とB表の位置づけについて

A表とB表では評価項目が違うがなぜか。例えば「土地利用・市街地整備への影響」などは、A表の段階でも評価してよいと思われる。(A表の段階では、具体的なルートが何もない中で、道路整備の必要性を確認するものであり、B表の段階では、ルート帯で代替案を比較評価するものである。それぞれ計画の熟度が違うため、評価項目も変わる旨、事務局より説明)
A表とB表では熟度が違うということであったが、A表とB表は相互に関連するものであり、A表とB表を一緒にするということもあり得るのではないか。(具体の進め方については、A表とB表を同時にPIするなど、地域の事情により柔軟に対応することを考えているが、概念上の整理としては、2段階に分けた方が、必要性の確認が明確になると考えている旨、事務局より説明)
A表における「当該道路整備以外の対策」とはTDM施策等を指すとのことであるが、TDM施策の評価は難しい。また、TDM施策は道路整備が困難な場合の対策と考えられ、道路整備の案と同一に比較するのは実態に合わないと考えられる。(地域の課題に対しては、道路整備ありきで考えるのではなく、今後は、様々な対応策について考慮する必要があると考えている旨、事務局より説明)

○全体の評価体系の中での位置づけについて

全体の評価体系の中で構想段階評価の位置づけを明確にする必要がある。ネットワーク計画と路線計画があり、その中でそれぞれ構想段階、計画段階があるというのは、混乱を招くため整理が必要である。
資料3−2のP.2のフローに、事業実施の前提となる計画として、都市計画等とされているが、都市計画はもっと上位の概念を含むものであり、整理が必要ではないか。
空港事業について、「一般空港の整備計画に関するパブリック・インボルブメント・ガイドライン(案)」が策定されているので、参考とすることが望ましい。

その他
 
次回委員会の開催については、事務局より各委員の予定を確認して連絡。
以上

All Rights Reserved, Copyright (C) 2003, Ministry of Land, Infrastructure and Transport