地域づくり

羽田~秋葉原間の舟運の実現を目指した社会実験

舟運社会実験は「秋葉原-天王洲-羽田空港舟運プロジェクト準備会」が行っています。
<平成28年11月28日更新>
NEW 第4次舟運社会実験
<平成28年秋季  実験運航ダイヤ>
「地域の応援団」を継続して募集しています。

◆始めに
羽田-秋葉原間 舟運社会実験は、天王洲を経由しながら羽田空港と秋葉原を船でつなぐ新たな水上交通の可能性に取り組むものです。

この取り組に関する情報そのものを逐次掲載しながら、他の舟運の取り組みとの連携も視野に入れています。
 
◆実験の背景や目的
いつも大勢の人で賑わう秋葉原
万世橋のすぐ脇にある船着場

東京都心の秋葉原にある万世橋(国道17号に架かる橋)には船着場が備わっています。
昭和5年の古き時代に作られた「万世橋」の袂(たもと)に90年近くもの長きにわたって存在しているインフラです。いつも新しい出来事がある街と古い施設が混在している場所でもあります。
この船着場は、神田明神の舟渡御(神事)で15年に1回使われるものの、それ以外はあまり使われていませんでした。

世界に新しいサブカルチャーを発信する拠点の秋葉原。神田川が流れていることは知っていても、船着場があることまでは想像し難いことです。
あまり使われていない船着場を拠点にして船を浮かべ、秋葉原をもっと元気に出来ないか。これが舟運実験への気づきであり、取り組みのキッカケでした。

新たな水上交通の可能性を検討し、検証することが大きな目的です。
一方では、船の足の遅さを利点として“おもてなし”要素の盛り込みももう一つの目的です。
秋葉原、天王洲、羽田空港それぞれの街や地区には独自の“顔” があります。佇まい、見どころ、機能や役割そして文化等、全く異なる要素が結び付き、交流することで新たな対流が期待できると考えました。これらをひっくるめて、観光や地域の活性化との捉えです。

現状でも、周辺日本橋を含めて、都心と臨海部を直接結ぶ船の航路はあります。
秋葉原と羽田空港を中間の天王洲地区を経由して一気に結び、それも毎日運航を目指すことが、 “気づき”から始まった最終目標です。この試みが叶えば、定期的な航路としては初めてのことになります。

そのためには、ニーズやマーケットを背景にして採算性や利用者動向をきちんと確認する必要があります。

本実験では、実験参加者(有料乗船者)へのアンケートを通じて課題や改善点を洗い出し、今後の本格的な運航体制の可能性の検証を繰り返していくものです。

 

初回社会実験<平成27年9月期>

初回の実験は、多くの参加者(乗船者)を迎えて、9月19日(土曜日)~9月26日(土曜日)の8日間を設定して臨みました。コースや航路設定は図の通りで、全長約20kmです。

実験運航開始の約1ヶ月前に当たる8月25日に有料乗船参加者を募集したところ、2日持たずに完売しました。早速、可能な限り増便しましたが、こちらも殆ど即時完売に近い状態で初めての実験を迎えることになりました。街場の“船”に対する確かなニーズが見て取れました。
実験の実施概要は次の通りです。



 (※)
 1.乗船料金は、お一人様分。(乗船保険を含んだ料金)
 2.上段は、早期購入割引価格(9月16日)までに予約ご入金時の適用価格
 3.下段( )内は、当日支払い価格。

 

実験期間中は、1日(9月25日)だけ雨天中止となりましたが、それ以外は満席に近い数の皆様を乗せて運航しました。

運航した7日間の延べ参加者(乗船者)数は、約1,500人。全航路の平均乗船率は約93%。設定航路毎の期間平均乗船率は次の通りです。
各日の運航振り出し区間となる天王洲→羽田空港間を除いた全ての区間で乗船率が9割を超える結果となり、舟運に対する確かなニーズの存在は把握できました。

全運航日・全航路区間の参加者(乗船者数)は、以下からご覧頂けます。
http://www.mlit.go.jp/common/001106994.pdf




 

初回実験アンケート分析結果

実験期間中は乗船参加頂いたほぼ全ての皆様にアンケートへの回答をお願いしました。ご協力頂いたアンケートの回収総数は1,262名分。
同準備会では、これら多くの皆様からご協力を得たアンケートの内容を分析し、今後の実験への反映やマーケティング等の材料として活用していきます。

 1,262のアンケートを分析すると、次のようなことがわかりました。
[1]性別参加割合は、男性62%、女性38%。
[2]年代別では、40代(36%)が最も多く、30代~40代と50代~60代が続きます(20%)。これらの年代で全体の76%を占めました。
[3]職業別では、会社員が72%で最多。続く、主婦13 %とで全体の85%を占めました。
[4]お住まいの地域別では、東京都が58%で過半数。関東全体で96%を占めました。
    なお、都内の内訳では33%が臨海部の区域にお住まいの方。
    一方では、北海道や九州の遠方からの参加もありました。
[5]社会実験を知るきっかけは、インターネットが48%で最大。
    これを含めたWeb系で56%を占め、現代の情報受発信の特徴を反映しているようです。家族・知人などからの情報(20%)がこれに次ぎます。
[6]運航区間の設定に関しては、「2区間から選べる設定」51%、「全部コースだけ」30%。複数のニーズが垣間見られる結果と言えます。
[7]再び乗船したいかの問には、85%の方が「また乗りたい」85%と回答されました。
[8]料金設定では、2,000~3,000円志向が半数近く。2,000円~4,000円までで全体の約6割を占めました。



 

第2次社会実験<平成28年2月期>

第2次社会実験は、平成28年2月5日~2月21日までの間の9日間、「神田川周遊ミニクルーズ」をテーマにして3つの運航事業者による4つのコースで実験計画しました。1つのコースで最短15分~最長60分からなる、文字通り多様な運航計画です。
期間中は荒天のため14日と20日の2日間で計5便が欠航しましたが、それ以外は予定通りに実験運航しました。公募に応募した事業者が運航する初めての実験でもありました。

この時期は舟運ではいわゆる閑散期にあたります。この時期を有効に利用して、次のステップに繋がるような実験と位置付けたものです。数種類の船が秋葉原で発着・航行する機会は、通行の最中で見かけるだけでも舟運が知られことになり、舟運自体の活性化を促すメリットもあります。
3事業者による独自の「4コース」で実験を実施し、全てのコースで万世橋船着場を発着場にしました。実験運航期間の延べ参加者(乗船者)数は、322人。全航路の平均乗船率は約4割でした。
より多くの方に実験乗船頂くことに越したことはありませんが、都心で舟運の新たな取り組みを知って頂く貴重な機会と捉えています。






 





 

第2次実験アンケート分析結果〈概要〉

実第2回実験でもアンケートをお願いし、約300名の皆様からご協力頂きました。

約300のアンケートを分析すると、次のようなことがわかりました。
[1]性別参加割合は、男性63%、女性37%の割合。
年代では、30才代、40才代、50才代、60才代が約20%で、全体の86%を占めました。
[2]職業別では、会社員が全体の62%で最多。無職14%と主婦12%で全体の88%に。
[3]お住まいの地域別では関東圏が92%でを占め、このうち東京都約6割が東京都在住。
[4]乗船人数の組み合わせは、2人組が約5割、逆に、1人のみが約3割を占めました。
[5]実験乗船の動機や目的では、『面白そう』、『観光』、『めずらしい』との回答が多数。
[6]料金設定では、適当が64%で最多。次いで、役3割が高いと回答。
[7]自由回答では、「受入体制」「水辺・周辺環境」「定期コース化・多様化」へ声を頂きました。
以下に代表的な声を参考例示してみました。
「受入体制」⇒英語のガイド、寒さ・暑さ対策、安全対策、雨天対策。等
「水辺・周辺環境」⇒乗り降りが大変、見処を増やす、桜の季節に乗りたい、川の美化。等
「定期コース化・多様化」⇒定期化を望む、利便性向上、羽田ルート・周遊ルート望む。等



 

第3次社会実験

第3次社会実験は、いよいよ本質に迫っていくための第1弾の位置付けです。それまでの2回の実験(第1次、第2次)が10日間程度だったのに比べて、複数月単位での実施です。
当該実験で目的としている『毎日運航する、新たな定期航路』の検証では、連続して実験運航することが不可欠です。できる限り多くの日数を実験運航することで、メリットやデメリットのほか、改善すべき課題や”おもてなし”の面での工夫の余地も広がり、民間主体で地域が応援する航路の確立が判断できると考えているものです。
言い換えると、今年秋に予定している第4次実験を実験全体の集大成にするためにもとても重要な位置を占める実験です。
第3次実験からは、公募で参画した運航事業者が5つとなり、多様なコースで実験を展開。また、同時に公募した地域の応援団も可能な限り街や陸側から活動を展開へ。
気がつくと、実験を進める『秋葉原・天王洲・羽田空港舟運プロジェクト準備会』のメンバーは27の機関・団体で構成されるようになりました。


(1)『秋葉原・天王洲・羽田空港舟運プロジェクト準備会』の構成メンバー(平成28年5月末日時点)
実験への参加を募る「公募」は、平成27年11月にスタートし、平成28年1月15日を〆切りとしました。その間に応募した5つの運航事業者はそのまま第3次実験での実験運航に参画しました。

地域の応援団は、公募〆切り後も随時受け付けを継続しており、少しずつ数を増やしながら第3次実験実施を迎えることになりました。

初回実験を行った時点に比べて、構成者は大幅に増えました。舟運への興味や期待の大きさの表れであるとともに、こうして多様な分野から参画された社が舟運を街を盛り上げる体制も整いつつあります。

 
(2)第3次実験の運航計画
第3次実験のコース設定は、「幹線系コース」と「枝系コース」で構成しました。

どちらのコースもA地点⇒B地点へ移動する大原則は共通です。

幹線コースは、都市間を結ぶような長い距離の設定です。今回の実験では横浜-東京都心間を結ぶ最長区間は約40kmとなりました。枝系コースは、比較的短い距離を移動する設定ですが、幹線系コースへの接続しや関連付けを基本としました。
電車に例えると前者が急行・快速急行で、後者は各駅停車のような位置付けです。

第3次実験は、5月(大型連休前半)~6月末を全体の実験期間として、5つの運航事業者が6つのコースを設定しました。

実験運航の実施概要と運航コースは表の通りです。
 


(3)第3次実験結果(概報)
実験期間中は風雨の荒天により何度か運休を余儀なくされましたが、最終的に延べ31日で、全111便運航しました。その間に実験に乗船参加頂いた方の数は1,800名を超えました。

実験結果では、6つの実験コース毎に大きな差が出ました。乗船率(最大乗船数に対する実乗船者数の割合で算出)では実験全体で「約5割」となりました。

乗船率の高いコースは大型連休を含む5月期に集中運航し、逆に乗船率の低いコースは6月以降に集中的に運航したという異なった特徴があります。

また、運航は強風や降雨の自然気象の影響も大きく受けますし、集客もための期間設定や広報・プロモーションの善し悪しも乗船者数を大きく左右する要素であることが改めて明確になりました。これらを更に分析し、対策しながら次回の実験に活かす方針です。
 




(4)地域の応援団の活動
地域の応援団は第3次実験から活動を始めました。接岸する船着場を主な活動拠点としてはいますが、運航コースに応じて乗船者へのサービスを展開します。

元々、地域の応援団を公募する際には「企画型」「クーポン方」「グッズ配布型」に区分していました。
第3次実験実施中にも応援団は追加参画が進み、応援内容も少しずつ工夫が取り入れられてきました。実験を重ねる毎に、応援内容は多様化し、舟と街や陸がより強く結び付く相乗効果を生み出すことが期待されます。

本サイトのトップに掲載したロゴマークも応援団によるデザインです。乗船者に提供するクーポンや街歩き地図等のグッズを入れる”袋”や実験のぼり旗にも活用しています。まさしく、企画型の応援プランが形になったもので、今後も残るものです。

第3次実験で展開された応援内容は表の通りです。



 

第3次実験アンケート分析結果

今次実験でも1,420名からアンケートにご協力頂きました。

アンケートを分析すると、次のようなことがわかりました。
[1]性別参加割合は、男性が54%、女性が46%で、ほぼ同等の割合。
  年代別では、60歳以上が約4割(36%)で最多。30歳代以上で全体の96%を占める。
[2]職業別では、「会社員」が全体の5割以上を占めて最多。次いで「主婦」19%、「無職」15%。
[3]お住まいの地域別では、関東圏が全体の95%を占める。このうち、東京都が約半数(49%)。
[4]乗船人数の組み合わせは、「2人組」の乗船が56%で最多。次いで、「1人」「4人」「3人」が10%強で拮抗する。
[5]社会実験を知るきっかけでは、「旅行会社の広報・案内等」と「Webサイト」が各々約3割。なお、旅行会社でもSNS、メールを含めたWeb系で総合案内が多い。
次いで、「旅行会社の広報・案内」(22%)「親族友人等からの誘い」(19%)。
[6]実験乗船の動機や目的では、「乗船・観光」両面が全体の約6割(55%)を占める。
「乗船」「観光」単独は各々約2割。
自由回答では、東京の川、船、歴史や橋にもともと興味を持っていた方が多数。
[7]運航区間設定に関しては、全体では、約8割(78%)が「ちょうど良い」との回答。
運航事業者・コース毎でも全てで5割以上が「ちょうど良い」との感想。
[8]料金設定に関しては、全体では「適当」との回答が約6割(58%)。次いで「高い」が4割弱(35%)。運航距離の長さに比例して「高い」と受け止める傾向が窺える。
[9]また乗船してみたいですかの問には、全体では7割以上(71%)が「また乗りたい」。
運航事業者・コース毎に見ると、コース(所要時間)と料金の違いによりバラツキ。
また、「もう乗らなくていい」と「未回答」を合わせても10%に満たない。
[7]自由回答では、良い企画との評価の声が多い反面、長短・多様なコースへのニーズも多数。
船舶面では、規模や乗船環境への改善対策を求める声があった。
具体的には、以下概要の通りです。
「受入体制」⇒外国人への対応、ガイドスタッフの育成、天候対策、トイレ 等
「水辺・周辺環境」⇒川のゴミ、臭い、プレジャーボートのマナーを含めた安全対策 等
「定期コース化・多様化」⇒コースの多様性、空港・橋・歴史・写真撮影ニーズ 等



 

(参考)これまでの報道発表

当該実験に関する記者発表はちょうど10回を数えまました。(平成28年10月時点)
以下をご参照いただくとともに、各回の記者発表を閲覧することも出来ます。
東京都心と羽田空港等を結ぶ舟運社会実験(第4次実験)に参加してみませんか!―新たな定期航路を見極める“最終実験”への有料乗船参加者を募集します―(平成28年10月12日発表)
舟運社会実験 新船で行く「横浜-羽田-天王洲』コースを新たに設定します― 本日から、有料参加者募集を開始します―(平成28年5月16日発表)
舟運社会実験(横浜-羽田-水道橋)の参加者の募集を開始しました― 新しい船「Jetsailor号」が就航します! ―(平成28年4月27日発表)
東京(秋葉原,水道橋)-羽田空港-横浜間の春季舟運社会実験を行います―有料乗船参加者を募集します ―(平成28年4月21日発表)
羽田空港-秋葉原間の春季舟運社会実験を行います― 一部、先行して『有料乗船者』の募集を開始します ―(平成28年3月22日発表)
1.羽田~秋葉原間舟運社会実験 第3次社会実験公募の運航希望事業者と地域の応援団が決定しました/2.第2次社会実験「神田川周遊ミニクルーズ」への参加者を募集します(平成28年1月22日発表)
羽田~秋葉原間の舟運の実現を目指す『数万人規模』の社会実験に参画意欲のある「運航事業者」と「地域の応援団」を公募します(平成27年年11月27日)
『羽田~秋葉原間の舟運の実現を目指した社会実験』8日間の実験が無事に終了しました(平成27年9月28日発表)
『羽田~秋葉原間の舟運の実現を目指した社会実験』好評につき増便します(平成27年9月10日発表)
羽田~秋葉原間の舟運の実現を目指した社会実験を実施します(平成27年8月25日発表)



 

お問い合わせ先

国土交通省総合政策局公共事業企画調整課事業調整第二係
電話 :03-5253-8111(内線24563)

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