第3章 安全な国土づくり・まちづくり
 
第1節 日本の国土構造
 
 我が国は、その位置、地形、地質、気象などの自然的条件から、地震、火山噴火、台風、豪雨、豪雪等による災害や渇水が発生しやすい国土となっている。また、我が国の人口・資産は極めて高密度に集中しており、ひとたび大災害に見舞われると、極めて甚大な被害が発生する可能性が潜在している。
 
第2節 近年の災害の多様化
 
 平成7年の阪神・淡路大震災をはじめ、近年においても火山、地震、集中豪雨、高潮等による災害が発生している。特に最近では、地下空間の浸水という、都市化に伴う新しいタイプの災害が発生しており、こうした地下浸水災害による都市機能への被害や人命の損失を防ぐには、治水施設や下水道施設の増強によるハード面での対策に加えて、地下浸水を十分考慮した災害情報伝達体制や避難誘導体制等ソフト面での対策も整備する必要がある。
 また、平成12年3月31日に北海道の有珠山の噴火が始まった。建設省においては、噴火後直ちに有珠山火山噴火災害対策本部を設置し、また現地対策本部へ専門家及び関係者を派遣して、迅速な対応に努めているところである。ハザードマップ等の整備もあり、住民の平時からの火山に対する防災意識が高く、避難が順調に行われ人的被害を防ぐことができたものの、依然として避難生活を送られている方々の生活の再建は重要課題であり、関係機関と連携して支援を行っている。
 
第3節 安全な国土づくり・まちづくりに向けた取組み
 
 安全な国土づくり・まちづくりに向けて、国及び地方公共団体は、治水事業などの国土保全事業や道路の防災対策、構造物の耐震化等のハード面での対応を積極的に講じ、災害の予防に大きな成果を挙げてきたが、例えば治水施設の整備率は欧米諸国の河川と比較しても不十分であるほか、道路においては防災対策が必要な箇所が未だ数多く存在する等、引き続き、ハード面での対応が重要である。
 また、近年頻発する激甚な災害に対応するため、計画的な国土保全施設等の整備及び迅速な災害復旧を重点的に実施するとともに、施設能力を超えるような大規模な災害に対しては被害を最小限に食い止めるためのソフト・ハード両面での危機管理体制を確立することが必要である。
 阪神、淡路大震災の教訓を生かした災害対策の強化が図られてきている。なかでも、都市直下型地震で、建造物の崩壊による犠牲者の多さもあって、耐震設計・構造の研究が進んだ。道路橋については、橋脚の倒壊、橋桁の落下等の被害が発生したため、道路橋の技術基準の見直しが行われた。建築物については、「建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年)」に基づいて、現行の耐震基準に適合しない建築物の地震に対する安全性の向上を図るための耐震改修が促進されている。また、「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律(平成9年)」に基づく施策の推進を含め、都市の面的整備や段階的整備により、防災上危険な密集市街地の解消に努めるとともに、災害時の延焼拡大防止、避難・消防・救援活動等に寄与する公共施設を整備し、震災に強い都市構造の形成を図る。
 さらに、平成11年6月の広島県を中心とした激甚な土砂災害の発生に鑑み、1)土砂災害のおそれがある区域を「土砂災害警戒区域」として指定し、警戒避難体制を整備する、2)土砂災害警戒区域のうち建築物に損壊が生じ、住民に著しい危害が生じるおそれがある区域を「土砂災害特別警戒区域」として指定し、一定の開発行為の制限・居室を有する建築物の構造規制、土砂災害時に著しい損壊が生じる建築物に対する移転等の勧告及び勧告による移転者への融資・資金の確保等を内容とする「土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律」が成立した(図表3−3−11)
 
(図表3−3−11)
 
 
 日本はその国土条件から、様々な形の災害に見舞われることが避けられず、また自然条件に起因する災害であることから、耐震性の強化や災害に強い国土づくり・まちづくりといったハード面の対策のみで対処することには限界がある。このような状況から、災害が発生した場合においても、被害を受けることをある程度容認した上で、被害を最小限に抑え、壊滅的な被害を回避するといった考え方を取り入れることの必要性が認識された。このため、災害に対するソフト面での対応として、初動期の情報収集体制の確立、総合的な防災情報ネットワークの整備、住民の災害の危険性に対する認識の向上、住民との連携強化、災害の現場におけるボランティアによるきめ細やかな活動との連携、災害に対する調査研究体制の充実等により、災害を最小限に食い止めることの重要性が認識された。今後は、自主防災活動への参加を増やすことにより、地域で自立した個人として暮らすとともに、コミュニティの一員としての「公」の意識も育むための防災における町内会・自治会等の役割に代表される「コミュニティの機能」が初期の情報収集面等において期待される(図表3−3−6、3−3−10)
 
(図表3−3−6)
 
 
(図表3−3−10)
 
 
 
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