第10章 我が国の国際競争力の強化等に資する物流施策の推進

 経済・社会のグローバル化が進み、また、IT革命という言葉に象徴されるように情報通信技術が飛躍的に発展する中で、近年、我が国の経済は大きな変革の渦の中にある。こうした中、日本が活力ある経済・社会を維持し、グローバルな競争に打ち勝っていくためには、日本を囲むモノの流れを引き寄せ、最先端の経済活動が展開される一大拠点として再生することが重要になっている。しかしながら、現状では、アジア地域において先進的な国際港湾等の拠点整備が進む中で我が国の国際港湾のコンテナ取扱量が低位となる等、物流分野での国際競争力低下が懸念される。

図表II-10-1 国・地域別コンテナ取扱量の推移
図表II-10-1 国・地域別コンテナ取扱量の推移



 したがって、我が国の国際競争力を確保するため、コストも含めて国際的に競争力のある水準の物流市場を構築するような力強い物流施策の展開が必要である。特に、調達・生産・販売等あらゆる活動をグローバルに展開している企業を引き付けるためには、国際物流拠点等の機能強化と高度かつ全体効率的な物流システムを構築することが不可欠である。

図表II-10-2 国際競争力確保のための物流機能強化
図表II-10-2 国際競争力確保のための物流機能強化

 一方、近年における環境問題の深刻化や循環型社会の構築への要請(第II部第4章 参照)、安全確保の要請の高まり(第II部第6章 参照)等の社会的課題に対し、物流施策の面でも適切な対応を行っていく必要がある。
 このような中で物流施策を効率的かつ効果的に進めるためには、関係省庁が連携して対応することが不可欠であり、政府は、平成9年に策定された総合物流施策大綱を改定することとし、日本の新たな物流施策の方向を示した新総合物流施策大綱(新大綱)を13年7月に閣議決定した。
 新大綱は、新たな物流システムの形成を目指し、1)コストを含めて国際的に競争力のある水準の物流市場の構築、2)環境負荷を低減させる物流体系の構築と循環型社会への貢献、という2つの目標を柱としている。また、目標の達成のために具体的な数値目標を掲げるなど、政府による物流施策推進の意気込みを一層鮮明にしたものとなっている。
 国土交通省においても、第1節 以降で述べるとおり、新大綱に基づき、総合的な物流施策を推進していくこととしている。

 

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