第I部 人口の減少、少子高齢化の進展など人口構造の変化に対応した国土交通行政の展開 

(維持管理・更新投資の増大)

 社会資本の機能を常に発揮させていくためには適切な維持管理が不可欠であるが、維持管理投資はストック量の増大とともに増加していくものと見込まれる。また、社会資本には物理的な耐用年数があり、近い将来、高度成長期に整備されてきた大量のストックが更新時期を迎えることから、更新投資も急激に増加していくものと見込まれる。このため、将来の新規の社会資本に対する投資は、これら増大する維持管理・更新投資によって大きな制約を受けることとなるものと考えられる。
 国土交通省所管の社会資本のストック量は、昭和25(1950)年には総額約8兆円であったのが、平成13(2001)年には約405兆円となり、この約50年の間に、約50倍の規模に達しているものと推計される。

 
図表I-2-4-4 ストック量の推移

国土交通省所管の社会資本のストック量は、昭和25(1950)年には総額約8兆円であったのが、平成13(2001)年には約405兆円となり、この約50年の間に、約50倍の規模に達しているものと推計される。
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 このようなストック量の推計をベースとしながら、今後25年間の維持管理・更新投資の需要について計算を行った。推計に際しては、厳しい財政状況を考慮して、今後の社会資本投資の伸びについて、±0%(ケース1)、マイナス1%(ケース2)、マイナス2%(ケース3)の3つのケースを設定した。
 その結果、平成37年(2025年)の状況を平成13年(2001年)と比較すると、ケース1では、維持管理投資は約1.6倍に、更新投資は約12.6倍に増加することとなり、維持管理・更新投資の合計額が総投資額に占める割合は、約21%から約51%に増大することとなる。
 また、ケース2では、維持管理・更新投資の占める割合は約62%となり、ケース3では約76%にまで達する結果となる。
 なお、これらの試算は、一定の仮定の下に機械的に行ったものであり、その結果は幅を持って理解される必要がある。特に、維持管理に関する将来のコスト縮減などは見込んでおらず、それらの要因の変動によって、一定のストック量に対する維持管理投資の需要や施設の更新サイクル等についても大きな変動が生じ得ることに注意が必要である(ストック量及び維持管理・更新投資の推計方法については、補注2を参照)。

 
図表I-2-4-5 維持管理・更新投資需要の推計

2002年度以降の総投資額対前年比今後の社会資本投資の伸びについて、ケース1(±0%)、ケース2(マイナス1%)、ケース3(マイナス2%)の3つのケースを設定し維持管理・更新投資需要を推計した。平成37(2025)年の状況を平成13(2001)年と比較すると、ケース1では、維持管理投資は約3.8兆円から約6.2兆円(約1.6倍)に、更新投資は約0.3兆円から約3.7兆円(約12.6倍)に増加し、維持管理・更新投資の合計額が総投資額に占める割合は、約21%から約51%に増大する。ケース2では、維持管理投資は約1.5倍に、更新投資は約12.5倍に増加し、維持管理・更新投資の合計額が総投資額に占める割合は約62%となる。ケース3では、維持管理投資は約1.4倍に、更新投資は約12.4倍に増加し、維持管理・更新投資の合計額が総投資額に占める割合は約76%にまで達する。
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