第II部 国土交通行政の動向 

第4節 特殊法人等改革等の推進

1.特殊法人等改革

 特殊法人等改革については、平成13年12月18日に特殊法人等改革推進本部で決定され、翌19日に閣議決定された「特殊法人等整理合理化計画」において、163(国土交通省関係法人28)の特殊法人及び認可法人を対象とし、事業及び組織見直し内容が個別に定められた。組織形態についても、「原則として平成14年度中に、法制上の措置その他必要な措置を講じ、平成15年度には具体化を図ることとする。」とされている。
 これを踏まえ、国土交通省においては、省を挙げて計画的かつ総合的に特殊法人等改革を推進するため、平成14年1月31日に、「国土交通省特殊法人等改革推進本部」を設置し、「特殊法人等整理合理化計画」に定められた事項の着実な実施に取り組んでいる。
 具体的には、第155回国会において特殊法人等改革に係る9法案が成立し、現在、新法人設立等の準備を進めているところである。
 国土交通省としては、今後とも引き続き、「特殊法人等整理合理化計画」の内容を着実に具体化するとともに、道路及び空港関係の法人についても、「道路関係四公団、国際拠点空港及び政策金融機関の改革について」(平成14年12月17日閣議決定)に従い、積極的な改革に取り組んでいくこととしている。具体的には、第156回国会に、1)証券化支援業務の創設等を内容とする「住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案」、2)都市基盤整備公団を廃止し、地域振興整備公団の地方都市開発整備部門と統合して新法人を設立するための「独立行政法人都市再生機構法案」及び3)新東京国際空港公団を解散して新法人を設立するための「成田国際空港株式会社法案」を提出したところである。

 
図表II-1-4-1 第155回国会において成立した法律の概要

特殊法人等改革として、水資源開発公団が独立行政法人水資源機構、日本鉄道建設公団及び運輸施設整備事業団が独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構、国際観光振興会が独立行政法人国際観光振興機構、自動車事故対策センターが独立行政法人自動車事故対策機構、海上災害防止センターが独立行政法人海上災害防止センター、空港周辺整備機構が独立行政法人空港周辺整備機構として独立行政法人化されることが決定した。また帝都高速度交通営団について特殊会社(新名称:東京地下鉄株式会社)設立に係る立法措置がとられ、日本勤労者住宅協会について民間法人とするための立法措置がとられ、日本下水道事業団について地方公共団体が主体となって運営する法人とするための立法措置がとられた。
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図表II-1-4-2 「道路関係四公団、国際拠点空港及び政策金融機関の改革について

「道路関係四公団、国際拠点空港及び政策金融機関の改革について」(平成14年12月17日閣議決定)(道路及び空港関係の法人部分抜粋) 道路関係四公団、国際拠点空港及び政策金融機関のあり方については、特殊法人等整理合理化計画(平成13年12月19日閣議決定)に従い、それぞれ道路関係四公団民営化推進委員会、国土交通省、経済財政諮問会議において検討され、今般その結果がとりまとめられたところであるが、今後の対応については下記の方針によることとする。1 道路関係四公団については、政府は、道路関係四公団民営化推進委員会の意見を基本的に尊重するとの方針の下、これまでの同委員会の成果を踏まえつつ、審議経過や意見の内容を十分精査し、必要に応じ与党とも協議しながら、建設コストの削減等直ちに取り組むべき事項、平成15年度予算に関連する事項、今後検討すべき課題等を整理した上で、改革の具体化に向けて、所要の検討、立案等を進める。2 国際拠点空港については、政府は、それぞれの空港が創意工夫を活かせるような自立的な経営環境を整えるとともに、経営の一層の効率化、経営の透明性の向上、利用者サービスの向上等を推進することとし、その経営形態については、それぞれ以下のとおり単独で民営化を進める。(1)新東京国際空港公団については、完全民営化に向けて、平成16年度に全額国出資の特殊会社にすることとし、そのための法律案を次期通常国会に提出する。(2)関西国際空港株式会社については、現在の特殊会社としての経営形態を維持しつつ、将来の完全民営化に向けて、安定的な経営基盤を確立するため、経営改善を進め、有利子債務の確実な償還を期するとともに、当面の資金調達の円滑化を図ることとする。

 
図表II-1-4-3 国土交通省関係の特殊法人等整理合理化計画の概要(図表II-1-4-1及び図表II-1-4-2に掲げる法人を除く。)

地域振興整備公団については、事業の見直しとして、地方都市開発整備等事業は都市再生を図るものを除き新規採択を行わない。組織の見直しとして、集中改革期間内に廃止(地方都市開発整備等事業とそれ以外の事業に分割した上で、地方都市開発整備等事業については、都市再生に民間を誘導するための事業施行権限を有する新たな法人に移管)。都市基盤整備公団については、事業の見直しとして、市街地整備改善事業は都市再生を図るものに限定。新規のいわゆるニュータウン開発事業は廃止する。自ら土地を取得して行う賃貸住宅の新規建設は行わない。賃貸住宅の管理については、可能な限り民間委託の範囲を拡大。また、居住の安定に配慮しつつ、入居者の同意を得た上で、可能なものは棟単位で賃貸住宅の売却に努力。地方公共団体の委託に基づく都市公園の整備事業は、都市再生を図るものを除き新規採択を行わない。組織の見直しとして、集中改革期間中に廃止し、都市再生に民間を誘導するため、事業施行権限を有する新たな独立行政法人を設置。なお、公団事業については、所要の制度改正を含め、上記のとおり措置した上で、上記の独立行政法人に引き継ぐ。住宅金融公庫については、事業の見直しとして、融資業務は平成14年度から段階的に縮小。利子補給を前提としないことを原則。融資業務は民間金融機関が円滑に業務を行っているかどうかを勘案して、独立行政法人設置の際、最終決定。公庫の既往の債権は、当該独立行政法人に引き継ぐ。組織の見直しとしては、5年以内に廃止。住宅金融公庫が先行して行う証券化支援業務については、新たな独立行政法人を設置する。北海道旅客鉄道株式会社、四国旅客鉄道株式会社、九州旅客鉄道株式会社、日本貨物鉄道株式会社は、できるだけ早期に完全民営化する。東日本旅客鉄道株式会社、東海旅客鉄道株式会社、西日本旅客鉄道株式会社については、平成13年12月1日に、完全民営化すること等を内容とする法律が施行された。奄美群島振興開発基金については、事業の見直しとして、保証業務及び融資業務は、保証残高の縮小等財務の健全化を図る。出資業務は、遅くとも平成17年度末までに廃止。組織の見直しとして、独立行政法人とする。(財)日本船舶振興会については、事業の見直しとして、事業実施の基準を明確化。組織の見直しとして、当面特殊法人とするが、集中改革期間内に組織の見直しを検討し、結論を得る。
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