第I部 活き活きとした地域づくりと企業活動に向けた多彩な取組みと国土交通施策の展開 

(柔軟な地域づくり推進手法の構築)

 地域づくりの取組みでは、当初からその内容が明確に定まっているとは限らず、試行錯誤を経て地域の実情に最も適した内容に到達する場合もあり、また、段階的・発展的に取組みの内容も変化することが多い。第1章で紹介した事例においても、火災により生じ、再開発も断念された中心市街地の空地を市が買収し、市民の参画による検討を経てまちづくり会社とNPOとの協働を基調とした運営による商店街の憩いと交流の場として整備した事例なども見られるところである。このため、事業の成果を評価し、その結果を次の事業の実施に反映させるPlan-Do-See型の取組みや、期間を限定して実際に現地で試行し、評価を踏まえて本格実施等に移行する手法(実証実験)、暫定的な土地利用など施策の本格的な実施に先立ち試行的に効果を測定する手法を推進していく必要がある。
 また、今後、中心市街地に生活の諸機能を集約する一方、市街地の周辺部における新規開発の適切なコントロール等により、集約的な都市構造への転換に取り組む場合も増加すると見込まれ、このような都市空間の再編と合理的な土地利用を円滑に促進する政策的な対応について検討していくことが必要である。
 さらに、ハードとソフト両面の施策の組合せや、福祉、産業経済、環境、芸術、文化など地域づくりにおいて関連する政策分野との連携により、総合的な支援策の一層の展開を図っていく必要がある。

 

テキスト形式のファイルはこちら

前の項目に戻る     次の項目に進む