第2節 みんなで支えるための取組み

第2節 みんなで支えるための取組み

◯1 PPP/PFIの推進

(1)コンセッション方式の活用推進
 第2章で見たように、今後は独立採算型等のPFI事業を推進していく必要があり、なかでもコンセッション方式の活用が重要視されている。政府全体の方針として、「PPP/PFIの抜本改革のためのアクションプラン」、「日本再興戦略」及び「経済財政運営と改革の基本方針」において、コンセッション方式の対象拡大等が掲げられており、国土交通省では、空港、下水道、地方道路公社の有料道路事業の各分野で、コンセッション方式の導入に向けた取組みや地方公共団体への支援を進めている。
 空港分野では、2013年6月に「民間の能力を活用した国管理空港等の運営等に関する法律(民活空港運営法)」が成立し、国管理空港等についてコンセッション方式の活用が可能となった。この民活空港運営法に基づき、仙台空港において、2013年11月に事業の基本スキーム案、2014年4月に実施方針が公表され、2014年度に運営権者の公募・選定、2015年度中に運営委託開始が予定されている(図表3-3)。また、関西国際空港及び大阪国際空港については、関西国際空港を国際拠点空港として再生・強化するとともに、両空港の適切かつ有効な活用を通じた航空輸送需要の拡大を図るため、2012年7月に新関西国際空港株式会社の下で経営統合した。同社が両空港を一体的に運営し事業価値の増加を図り、可能な限り速やかに両空港のコンセッションの導入を実現することとしている。
 
図表3-3 仙台空港経営改革に向けた進捗状況
図表3-3 仙台空港経営改革に向けた進捗状況

 下水道分野では、管理者である地方公共団体によるコンセッション方式の実施検討を支援するため、有識者検討会による議論を経て、2014年3月に「下水道事業における公共施設等運営事業等の実施に関するガイドライン(案)」を策定した。今後は、ガイドラインの普及を図るとともに、具体的な案件の検討段階で生じた課題等を踏まえて改訂を行っていくとしている。
 地方道路公社の有料道路事業におけるコンセッション方式の活用については、愛知県からの構造改革特区提案の実現に向け、関係省庁と連携し、同県における検討を踏まえた取組みを進めている。

(2)包括的民間委託の活用拡大
 建設業における中長期的な担い手の確保、ダンピング受注の是正、地域の社会インフラの維持管理等の課題に対応するために、国土交通省では、これまでの画一的な入札契約方式から、時代のニーズや事業の特性に応じて選択できる多様な入札契約方式等の導入・活用を推進することとしており、2014年度よりこうした新しい入札契約方式にモデル的に取り組む地方公共団体への支援を開始した。この新たな入札契約方式のなかには、地域の社会インフラの的確な維持管理等を図ることを目的とした包括的民間委託(複数年契約、複数業務の一括発注)が例として挙げられており、モデル事業の成果を反映した発注者向けマニュアルの作成によって、包括的民間委託等の多様な入札契約方式等の普及を進めていく方針である。
 
図表3-4 多様な入札契約方式の検討の例
図表3-4 多様な入札契約方式の検討の例



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