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国土交通白書 2020

第3節 地域における移動手段を確保するために

■2 国民の意識

(1)公共交通に関する意識

(都市と地方の地域格差)

 国民意識調査において、都市と地方の地域格差は拡大していると思うかを尋ねたところ、75.9%の人が「拡大していると思う」と回答した。さらに、「拡大していると思う」と回答した人に対して、「どのような点で拡大していると思うか」を尋ねたところ、「所得水準」と「公共交通の利便性」がすべての地域において70%を超える結果となった。特に、人口5万人未満の市町村では「公共交通の利便性」が最も高く、77.3%という結果であった(図表I-3-3-4)。

図表I-3-3-4 都市と地方の地域格差に関する意識
図表I-3-3-4 都市と地方の地域格差に関する意識
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(老後の生活に関する不安)

 また、老後の生活に関してどのようなことに不安を感じるかを尋ねたところ、全体で最も多かった回答は「生活資金が足りない」、二番目が「移動が困難になる」であった。「移動が困難になる」と回答した人の割合は、人口規模が小さい市町村ほど多くなる傾向があり、三大都市圏では34.6%の一方、人口5万人未満の市町村では60.9%であった。また、60代以上の人について見ると、人口5万人以上の市町村と人口5万人未満の市町村では「移動が困難になる」が最も多いという結果であった(図表I-3-3-5)。

図表I-3-3-5 老後の生活に関する不安
図表I-3-3-5 老後の生活に関する不安
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 地方部の小規模な市町村においては都市部と比較して公共交通の利便性が低く、移動手段として自家用車を用いる人が多いと考えられる。一方で、高齢者による運転免許証の自主返納が増加するなど、自家用車の運転ができない高齢者は増加すると考えられる。また、意識調査の結果から、小規模な市町村ほど、高齢になり運転ができなくなると移動が困難になってしまうことに不安を抱く人が多いことがわかる。したがって、地方においても利便性の高い移動手段を確保することは重要な課題である。

(2)コンパクトシティに関する意識

 第1章第2節2に示すとおり、国土交通省では地域における課題解決のために「コンパクト・プラス・ネットワーク」を推進し、コンパクトシティの形成に向けた支援を行っている。国民意識調査において、コンパクトシティについて知っているかを尋ねたところ、「聞いたことがない」が4割以上、「聞いたことはあるが、内容はあまり理解していない」を含めると、よく知らない人が7割以上と国民に広く認知されているとは言い難い結果であった。

 一方で、コンパクト・プラス・ネットワーク及びコンパクトシティについて概要を説明した上で、実際に住んでみたいかを尋ねたところ、「ぜひ住んでみたい」と「できれば住んでみたい」を合わせると、すべての年代で6割以上から肯定的な回答が得られた(図表I-3-3-6)。

図表I-3-3-6 コンパクトシティに関する意識
図表I-3-3-6 コンパクトシティに関する意識
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