
国土交通白書 2021
第1節 危機による変化と課題への対応
コラム MaaSで感染症対策と公共交通利用を両立!~「十勝MaaSプロジェクト」~
バスをはじめとした地域公共交通は、人口減少や高齢化の進行による利用者の減少、交通・物流を担う人材の不足、気候変動に伴う災害の激甚化・頻発化などにより維持・確保が難しい状況にある中、新型コロナウイルス感染症の拡大により社会システムなどが大きく変化しており、こうした環境変化に対応していくことが喫緊の課題となっています。
これらに対応するため、北海道においては、十勝地域をモデル地域に、北海道や十勝地域の交通事業者、観光・産業関係団体などで構成される「シームレス交通戦略推進会議」により、本年2月から3月にかけて、感染症対策と公共交通利用を両立し、地域公共交通の維持・確保を目指す、「十勝MaaSプロジェクト」というMaaS実証実験が実施されました。
実証実験では、「バスやタクシーの利用と、飲食店、ホテルの浴場、フィットネスなどでのサービスがセットになったデジタルチケットの販売」、「交通機関におけるQRコード決済や混雑情報提供による感染防止対策」、「都市間高速バスを活用した貨物輸送(貨客混載)」などに取り組まれました。
こうした取組は、平成30年(2018年)3月に北海道が策定した「北海道交通政策総合指針」の重点戦略の一つである「シームレス交通戦略」の中に位置づけられた取組として実施しています。シームレスな交通の実現には、交通事業者はもとより地域の様々な関係者の連携が必要であり、北海道は今回の取組をきっかけに、十勝地域だけでなく全道各地でも、交通事業者や様々な関係者間の「緩やかな連携」を促進していきたいと考えているとのことです。
また、今回の実証実験では、交通事業者も感染症対策と公共交通利用の両立に向けた取組を積極的に進めています。
例えば、同地域の十勝バス株式会社や北海道拓殖バス株式会社は、バスロケーションシステムの導入によるリアルタイム位置情報等の提供や、QRコード決済の導入等による利便性向上を進めています。
地域公共交通は、現在、厳しい経営環境にありますが、地域の生活や経済のために欠かせない基盤であり、今後も維持・確保していくためには、交通事業者間の連携や様々な関係者との連携が図られるとともに、デジタル技術の活用等により利便性を高め、シームレスな交通を実現していく必要があります。
国土交通省としても、地域交通の維持・確保のため、日本版MaaSの推進やキャッシュレス決済の導入支援、混雑情報提供システムの導入支援など、様々な施策を推進してまいります。

資料)北海道庁

資料)十勝バス

資料)北海道拓殖バス株式会社
【関連リンク】
・生活MaaS実証実験(十勝MaaSプロジェクト) 北海道庁
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/hokkaido-tokachi-maas.htm
・「北海道交通政策総合指針」の策定について 北海道庁
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/ss/stk/H29_shishinsakutei.htm
・十勝バス㈱
・北海道拓殖バス㈱
・日本版MaaSの推進 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/japanmaas/promotion/
・地域公共交通支援センター