国土交通白書 2021

コラム 技術者の国内外での相互活用を促進～「海外インフラプロジェクト・技術者認定・表彰制度」を創設～

　我が国企業がインフラの海外展開を進めるに当たっては、それを担う人材を確保していくことが重要ですが、インフラシステム関連の企業の多くは、安定した需要が見込まれる国内を主な市場としてきたことから、海外市場に対応する人材が不足している状況にあります。また、人材確保にあたっての課題の一つとして、国内・海外の制度や環境の違い、国内の公共工事における海外実績の活用が困難な実態等から、技術者の国内・海外間の相互活用が進まないということが挙げられます。

　そこで、国土交通省では、海外インフラプロジェクトに従事した我が国企業の技術者の実績を認定するとともに、特に優秀な技術者を表彰、認定・表彰の結果を国内工事・業務の入札の際に評価する「海外インフラプロジェクト技術者認定・表彰制度」を令和2年9月に新たに創設しました。

　令和2年9月～10月にかけて募集を行ったところ、46の企業等から合計1,203件の認定申請をいただき、審査の結果事実関係の確認ができた1,081件について実績認定を行いました。あわせて、38の企業から合計61名の表彰応募をいただき、国土交通大臣賞17名、国土交通大臣奨励賞11名の受賞者を決定いたしました。国土交通省では3年度の国内工事・業務の入札から評価に活用することとしており、積極的な活用が期待されます。

　また、3年3月24日には、オンラインでの表彰式を開催し、受賞者の方からは「大変栄誉ある賞を賜り誠に光栄」「今後も表彰の栄誉に恥じぬよう技術研鑽に励み、さらなる国際貢献実現に向け努力したい」といった声をいただくことができました。

　国土交通省では、本制度を3年度以降も継続し、広く技術者を適正に評価することによって国内外の人材の流動化等を図り、「担い手」人材の確保・育成に努めるとともに、海外における我が国企業・技術者が益々活躍できるよう最大限の支援を図ってまいります。