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国土交通白書 2024

第2節 地域活性化を支える施策の推進

■6 地域の移動手段の確保

(1)地域の生活交通の確保・維持・改善

 地域社会の活性化を図るため、日常生活等に必要不可欠な交通手段の確保は重要な課題である。

 このため、地域公共交通確保維持改善事業において、多様な関係者の連携により、地方バス路線、離島航路・航空路等の生活交通の確保・維持を図るとともに、地域鉄道の安全性向上に資する設備の整備、バリアフリー化等、快適で安全な公共交通の構築に向けた取組みを支援している。

 また、地方公共団体における交通施策の立案に当たって参考となるよう、デジタル技術活用の好事例等、地域交通体系を支えるために必要な調査を行い、今後の地域交通のあり方を検討した。

(2)地域バス路線への補助

 地域の需要規模や人口特性に応じた最適な生活交通ネットワークの確保・維持が可能となるよう、地域をまたがる地域間幹線バスや地域内のバス交通・デマンド交通等の運行に対する支援を強化するとともに、バス車両の更新への支援を引き続き行う。また、キャッシュレス化の推進等、バス事業者におけるDX化等の経営効率化・経営力強化を図る取組み等に対して支援を行い、利便性・生産性・持続可能性が向上する形で地域交通の再構築を促進する。

(3)地域の自家用車・ドライバーの活用

 都市部を含め、移動の不便への対応が喫緊の課題となっている現状を踏まえ、移動の足の不足を、地域の自家用車や一般ドライバーを活かすことにより補うこととし、これまでの自家用有償旅客運送に加えて、令和5年度にタクシー事業者の管理の下での地域の自家用車・ドライバーを活用する新たな運送サービス(以下、「自家用車活用事業」という。)を創設した。

【関連リンク】

自家用車活用事業

URL:https://www.mlit.go.jp/report/press/jidosha03_hh_000416.html

(4)地域鉄道の活性化、安全確保等への支援

 中小民鉄や第三セクターが運営する地域鉄道は、通勤や通学の足として沿線住民の暮らしを支えるとともに、観光等地域間の交流を支える基幹的な公共交通として、重要な役割を果たしているが、その経営は極めて厳しい状況にある。このため、鉄道施設総合安全対策事業費補助や地域公共交通確保維持改善事業等及び税制特例により、安全設備の整備等に対して支援している。

【関連リンク】

地域公共交通確保維持改善事業

URL:https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/transport/sosei_transport_tk_000041.html

(5)地方航空路線の維持・活性化

 地域航空を持続可能なものとするため、国土交通省では有識者からなる研究会等において検討を行い、その結果、令和元年10月に九州の地域航空3社(天草エアライン、オリエンタルエアブリッジ、日本エアコミューター)及び大手航空2社(全日本空輸、日本航空)が「地域航空サービスアライアンス有限責任事業組合」を設立し、様々な協業の取組みを進めた。5年10月には上記5社が同組合を発展させ、新たに「地域航空サービスアライアンス協議会」(EAS Alliance)を設立したところであり、地域航空における協業が一層効果的なものとなるよう取り組んでいる。

(6)離島との交通への支援

 離島航路は、離島住民が日常生活を行う上で必要不可欠な交通手段である。令和4年度は286航路で輸送人員需要は35.2百万人(ここ5年で約21%減少)となっているが、その多くは本土より深刻な人口減少、高齢化により、航路の運営は極めて厳しい状況である。このため、唯一かつ赤字が見込まれる航路に対し、地域公共交通確保維持改善事業により、運営費への補助、離島住民向け運賃割引への補助、運航効率のよい船舶建造への補助を行っている(令和6年3月末現在の補助対象航路:126航路)。

 離島航空路については、地域の医療の確保をはじめ、離島の生活を支えるのに欠かせない交通手段であることから、安定的な輸送の確保を図るため、離島に就航する航空運送事業者に対して、総合的な支援(予算:機体購入費補助、運航費補助等 公租公課:着陸料の軽減、航空機燃料税の軽減措置等)を講じている。なお、令和5年度の離島航空路線の数は65路線、うち国庫補助対象は15路線となっている。