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国土交通白書 2025

第2節 国際交渉・連携等の推進

■3 各分野における多国間・二国間国際交渉・連携の取組

(1)国土政策分野

 アジア各国等において、政府関係者、国際機関等様々なステークホルダーをネットワーク化し、会議、ウェブサイト等により国土・地域政策に係る課題や知見を共有する仕組みである「国土・地域計画策定・推進支援プラットフォーム(SPP)」の第7回会合を、令和7年3月にオンライン開催し、国土交通省からは住宅、土地、生活インフラの分野に焦点を当てて、我が国の国土計画の知見について発信した。

 また、令和6年12月には、カンボジア国土整備・都市計画・建設省の要請も踏まえ、第5回日カンボジア都市開発・不動産開発プラットフォーム会合において、我が国の大都市圏政策等を紹介した。

【関連リンク】

国土・地域計画策定・推進支援プラットフォーム(SPP)

URL:https://spp-pr.com/index_ja.html

(2)都市分野

 東南アジアを含むグローバルサウス諸国における課題の解決に貢献しつつ、我が国企業の海外展開促進を図るため、令和6年度は以下の取組を行った。

 タイでは、バンコクのクルンテープ・アピワット中央駅周辺(バンスー地区)を含め、我が国が知見・経験を有する都市開発手法である公共交通指向型都市開発(TOD)を推進するため、国土交通省は、独立行政法人都市再生機構(UR)と共催でTODフォーラムをバンコクで同年6月に開催するとともに、URは、同年7月にURバンコク事務所を開設した。

 ジャカルタ都市高速鉄道公社(MRTJ)がインドネシア運輸省と共催で、同年4月のTODフォーラム(ブディ運輸大臣、石橋国土交通大臣政務官御出席)を東京で開催し、URとMRTJが、ジャカルタ・ドゥクアタスエリアのデッキ整備への協力に関するミニッツを交換するとともに、URが同年8月にURジャカルタ事務所を開設した。

 カンボジアでは、同年12月に行われた第5回日カンボジア都市開発・不動産開発プラットフォーム会合に参加し、我が国が推進する3D都市モデル「PLATEAU」を紹介するとともに、同国における3D都市モデルの整備に関する協力関係につきミニッツの署名を行った。

 また、米国・住宅都市開発省との間で共同研究会を開催し、都市・住宅分野に関する課題解決に向けて、現地視察や意見交換を行った。

 さらに、国際的なまちづくりコンベンションである「MIPIM」(フランス・カンヌ開催)において、日本の都市開発・不動産市場や2027国際園芸博等のPRを行い、シティセールス等を図っている。

 なお、J-CODE(一般社団法人海外エコシティプロジェクト協議会)による案件形成推進等の取組を支援している。

(3)水分野

 水問題は地球規模の問題であるという共通認識のもと、国際会議等において問題解決に向けた議論が行われている。令和6年5月には、インドネシア・バリにおいて第10回世界水フォーラムが開催され、160カ国、のべ75,000人が参加した。健全な水循環の概念の重要性、防災の事前投資、世界湖沼の日の制定等が盛り込まれた「閣僚宣言」が取りまとめられた。日本からは、「バンドン精神水サミット」で天皇陛下によるビデオ基調講演が行われたほか、こやり国土交通大臣政務官(当時)が参加し、首脳級会合及び閣僚級会合において水循環の取組等、世界の国々の持続可能な発展に貢献できる日本の取組を発信した。

 それに加え、水資源分野では、独立行政法人水資源機構を事務局とし関係業界団体や関係省庁からなる「水資源分野における我が国事業者の海外展開活性化に向けた協議会」を活用して相手国のニーズや課題を把握し、治水機能やCO2削減に資する発電を含む利水機能の向上を図るダム再生事業の案件形成に向けた調査を行うなど、水資源分野の案件形成に向けた取組を実施した。また、アジア河川流域機関ネットワーク(NARBO)と連携し、統合水資源管理(IWRM)の普及、促進に貢献している。

(4)上下水道分野

 世界では、いまだ約4億1千万人(2022(令和4)年時点)が、衛生面等で課題がある井戸、泉、地表水等の水源を利用している状況にある。また開発途上国においては急激な都市化や人口増加に伴う水質汚濁が深刻化している。我が国は、このような状況にある国に対して、政府開発援助等の国際協力を実施している。

 今後、これらの国々では水インフラ市場の拡大が見込まれることから、国土交通省では、これまでの国際協力に加え、東南アジアの開発途上国等を対象として、セミナーや案件発掘調査等を実施し、我が国が有する上下水道の技術・ノウハウ等の国際展開を支援している。

 水道分野においては日本の産学官の専門家の知見を活用しながら、国際協力の方針を検討する委員会の設置や、WHOをはじめとする国際機関、ASEANやアジア太平洋経済協力(Asia-Pacific Economic Cooperation:APEC)等の枠組みを通じた国際協力、下水道分野においては、アジアにおける汚水管理の意識向上等を目的として日本が主導しカンボジア、インドネシア、ミャンマー、フィリピン及びベトナムと平成30年に設立したアジア汚水管理パートナーシップ(AWaP)等の枠組みを通じた国際協力を行っている。

 また、外務省やJICA、民間団体と連携して、ワークショップ開催、専門家派遣、研修員受入れ、プロジェクト計画作成指導等の技術協力を行い、開発途上国の人材育成、制度づくりに貢献している。

 令和6年度は7月に開催された第10回太平洋・島サミット(PALM10)において、初の上下水道一体での技術協力覚書をトンガ王国及びサモア独立国と締結した。また9月には第5回AWaP運営委員会を東京で開催しバングラデシュ及びタイの新規加盟を承認したほか、12月にカンボジア王国工業科学技術革新省と「持続可能な水供給協力に関する技術協力覚書」を締結した。

(5)防災分野

 世界の水関連災害による被害の軽減に向けて、災害予防が持続可能な開発の鍵であるという共通認識を形成するため、我が国の経験・技術を発信するとともに、水災害予防の強化に関する国際連帯の形成に努めている。また、相手国の防災課題と日本の防災技術をマッチングさせるワークショップ「防災協働対話」をインドネシアやベトナム、ミャンマー、トルコで実施している。現在、既存ダムを有効活用するダム再生や危機管理型水位計等の本邦技術を活用した案件形成を進めているところである。また、国立研究開発法人土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)では、統合洪水解析システム(IFAS)や降雨流出氾濫(RRI)モデル等の開発、リスクマネジメントの研究、博士課程及び修士課程を含む人材育成プログラムの実施、UNESCOやアジア開発銀行、及び世界銀行のプロジェクトへの参画及び国際洪水イニシアチブ(IFI)事務局としての活動等を通じ、水災害に脆弱な国・地域を対象にした技術協力・国際支援を実施している。また、砂防分野においては、イタリア、韓国、スイス及びオーストリアと砂防技術に係る二国間会議を開催しているほか、JICA専門家の派遣等や研修の受入を通じて土砂災害対策や警戒避難、土地利用規制等の技術協力を行っている。

(6)道路分野

 世界道路協会(PIARC)の各技術委員会等に継続的に参画し、国際貢献に積極的に取り組んでおり、令和6年からは4年間の戦略計画がスタートし、加盟国による調査研究が進められている。

 また、日ASEAN交通連携の枠組みでASEAN地域における道路舗装の品質向上を目指す「舗装維持管理技術共同研究プロジェクト」のを令和5年より実施しており、令和6年8月の第2回専門家会合で国の現状、ニーズ等を把握するとともに、令和7年2月の第3回専門家会合では、技術参考資料の骨子について議論を行った。

 令和7年3月に国際連合地域開発センターと共同で「質の高い道路インフラ整備に関する国際ワークショップ」を初開催し、先進技術等について知見共有等を行った。

 さらに、高速道路の運営・維持管理やアスファルト再生技術等、我が国の優れた道路技術の海外展開に向け、多国間・二国間の取組を進めている。

【関連リンク】

国際機関への参画 (1)世界道路協会(PIARC)

URL:https://www.mlit.go.jp/road/sisaku/kokusai/sankaku/index02.html

(7)住宅・建築分野

 国際建築規制協力委員会(IRCC)、日米加建築専門家会合(BEC)等への参加等、建築基準等に係る国際動向について関係国間での情報交換を行った。また、カンボジアからの要請を受け、建築物の構造安全や火災安全に関する建築技術基準の策定支援に取り組んでいる。

(8)鉄道分野

 我が国の鉄道システムの海外展開の推進を通じて、相手国の経済・社会の発展への寄与のみならず、我が国鉄道関連産業の生産性向上・競争力の強化を図るため、令和6年度も、インド高速鉄道に関する合同委員会や日英鉄道協力会議の開催、JICA専門家の派遣を通じた技術協力等、二国間での連携に向けた取組等を実施している。

(9)自動車分野

 日ASEAN交通大臣会合にて承認された、「自動車基準・認証制度をはじめとした包括的な交通安全・環境施策に関する日ASEAN新協力プログラム」に基づく取組として、アジア地域官民共同フォーラムを開催するなどにより、アジア地域における基準調和・相互承認活動、交通安全・環境保全施策等について情報交換を行っている。

(10)海事分野

 令和6年6月に開催された国際海事展「ポシドニア2024」に合わせて國場国土交通副大臣がギリシャを訪問し、船舶技術のトップセールスを実施した。また、令和7年1月には中国と局長級会談を東京で開催し、海事分野における諸問題について意見交換を実施した。令和6年4月のCSG会議(海運先進国当局間会議)において、紅海でホーシー派に「拿捕」された我が国海運事業者が運航する船舶及び乗組員の早期解放に向けた連携、海運の脱炭素化の推進、船員の労働環境等について言及した。

 我が国は、新興国・途上国に対する海上保安能力向上や公共交通インフラの整備のために巡視船、旅客船等の供与を行っており、令和7年3月末現在、インドネシア、フィリピン等の5か国に対し、計14隻の供与に向けたODA事業が進行中である。この他、令和6年11月開催の日ASEAN交通大臣会合にて、マラッカ・シンガポール海峡の共同水路測量調査が完了したことが承認された。

 また、ASEAN域内に低環境負荷船を普及促進させるため、令和6年海上交通WGにおいて、ASEAN各国の具体的取組等を共有した。7年2月には、フィリピンにおいて、低環境負荷船の更なる普及促進を目的とした新戦略を議論する専門家会合のほか、低環境負荷船の技術に関するセミナーを開催した。

 さらに、東南アジアでの浮体式洋上風力発電のニーズが高まっている中、我が国の優れた海事技術である洋上浮体技術の海外展開に取り組んでいる。

(11)港湾分野

 我が国の質の高い港湾技術の発信、世界の様々な港湾技術に関する最新の知見の取得、技術基準等の海外展開・国際標準化の推進のため、国際航路協会(PIANC)や国際港湾協会(IAPH)等と協調し、港湾関連の技術基準・ガイドラインを作成している。また、PIANC、IAPHには、日本から副会長を輩出し、我が国技術の海外展開を促進するための議論に参画している。

 また、港湾分野の脱炭素化の推進のため、令和5年12月に国土交通省とシンガポール運輸省との間で、温室効果ガスの排出削減及び両国間のグリーン・デジタル海運回廊の創設についての協力に関する覚書を締結した。その覚書に基づく第1回年次会合を令和6年4月に開催し、港湾の脱炭素化、海運におけるアンモニア燃料の活用等、今後取り組むべき具体的な協力内容等の確認を行った。

 さらに、令和6年10月には日本とオランダ間の港湾分野における包括的な協力に関する覚書をオランダ社会基盤・水管理省との間で締結した。

(12)航空分野

 令和6年6月には日・クロアチア航空協定の国会承認手続が完了し、また、同年2月には日・チェコ航空協定について、同年6月には日・ルクセンブルク航空協定について、それぞれ署名が行われるなど、航空分野における条約の締結に向けた進展がみられた。加えて、同年4月にはカタール各航空当局と協議を実施し、日本路線における輸送力の拡大につなげた。

 また、令和6年5月には韓国、同年11月にはシンガポールとの間で政策対話を実施したほか、同年9月にインドで開催された第2回アジア太平洋航空担当大臣会合において、航空安全、航空保安、航空管制等に関する取組にコミットし協力することに合意し、同年10月にフィリピンで開催された第59回アジア太平洋航空局長会議において、アジア太平洋地域各国の取組について意見交換を行うなど、多国間・二国間における航空当局間の連携強化に取り組んでいる。

(13)物流分野

 日中韓物流大臣会合における合意に基づき、日中韓の物流分野における協力の推進について中韓と議論を進めた。令和6年11月には日中韓物流課長級会議を開催し、同年2月の第9回日中韓物流大臣会合で採択された共同声明及び行動計画の進捗状況や、第10回日中韓物流大臣会合に向けた今後のスケジュールについて意見交換を行った。

(14)地理空間情報分野

 ASEAN地域等に対し、電子基準点網の設置・運用支援等を行っている。具体的にはASEAN地域等の7か国を対象に、電子基準点の利活用に関する調査検討業務を実施し、対象国の現況調査と意見交換を行った。

(15)気象・地震津波分野

 気象庁は、世界気象機関(WMO)の枠組みの下、気象観測データや予測結果等の国際的な交換や技術協力により各国の気象災害の防止・軽減に貢献しており、令和7年2月にアジア各国の国家気象水文機関の専門家を東京に招いて、気象レーダーの整備・運用等に関するワークショップを開催した。

 また、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)政府間海洋学委員会(IOC)の枠組みの下、北西太平洋における津波情報を各国に提供し、関係各国の津波防災に貢献している。

 さらに、国際協力機構(JICA)等と協力して、開発途上国に対し気象、海洋、地震、火山等の様々な分野で研修等を通した人材育成支援・技術協力を行っている。

(16)海上保安分野

 海上保安庁は、世界海上保安機関長官級会合(CGGS)、北太平洋海上保安フォーラム(NPCGF)、アジア海上保安機関長官級会合(HACGAM)といった多国間会合や、二国間での長官級会合、連携訓練等を通じて、捜索救助、海上セキュリティ対策等の各分野で海上保安機関間の連携・協力を積極的に推進している。

 また、シーレーン沿岸国等における海上保安能力向上支援のため、独立行政法人国際協力機構(JICA)や公益財団法人日本財団及び笹川平和財団の枠組みにより、海上保安庁MCT(Mobile Cooperation Team)や専門的な知識を有する海上保安官を各国に派遣しているほか、各国の海上保安機関等の職員を日本に招へいし、能力向上支援に当たっている。

 また、海上保安政策に関する教育を行う海上保安政策プログラム(修士課程)を開講し、アジア諸国等の海上保安機関職員を受け入れ、各国の連携協力、認識共有を図っている。

図表Ⅱ-8-2-1 フィリピン沿岸警備隊に対する能力向上支援
図表Ⅱ-8-2-1 フィリピン沿岸警備隊に対する能力向上支援

(17)観光分野

 2023年11月に日米政府間で締結した「日米観光交流年2024における協力覚書」に基づき、両国間の観光交流を拡大するため、在日米国大使館等と連携して両国間の旅行博を活用したシンポジウムやセミナー並びに観光イベントを実施した。また、両国の官民関係者が連携して、スポーツを通じた観光プロモーションや姉妹都市間での人的交流の拡大を図った。

 また、令和6年11月には、斉藤国土交通大臣の議長の下、UN Tourismと連携し、アジア・太平洋地域の枠組みにおいて初めてとなる観光レジリエンスに関する閣僚級会合「観光レジリエンスサミット」を宮城県仙台市で開催した。本サミットでは、観光レジリエンスの向上に向けた今後の取組の方向性をまとめた共同声明「仙台声明」を採択した。