(2)清算事業団の債務等の処理方針

〜資産売却後、最終的には国において処理


 62年の国鉄改革により清算事業団が処理することとなった25.5兆円の債務については、63年1月26日の閣議決定「日本国有鉄道清算事業団の債務の償還等に関する基本方針について」において、「最終的に残る債務等について国民に負担を求めざるを得ない」とされ、その処理については、「土地処分収入等の自主財源を充ててもなお残る債務等については、最終的には国において処理する」こと、「その本格的な処理のために必要な『新たな財源・措置』については、雇用対策、土地処分等の見通しのおおよそつくと考えられる段階で、歳入・歳出の全般的見直しとあわせて検討、決定する」こととされている。
 また、清算事業団の行う資産処分に関しては、「土地、株式等の資産の適切かつ効率的な処分を進め、自主財源の増大を図り、極力国民負担の軽減に努めるものとする」こととされている。
 なお、資産処分業務に関する重要事項の審議を行う機関として、資産処分業務に関し学識経験を有する委員10名からなる資産処分審議会が清算事業団に設置された。
 清算事業団の承継した長期債務等の処理のための自主財源は、土地(8,808ha、62年度首推計額7.7兆円)、JR7社の株式(919万株、額面総額0.5兆円)、帝都高速度交通営団に対する出資持分(3.1億口、評価額0.7兆円(注1)、以下「営団出資持分」という。)、保有機構に対する債権(2.9兆円(注2))であり、62年度首においては、総額11.8兆円と推計された。
 この結果、最終的に国において処理することとされている長期債務等の額は、清算事業団の承継した長期債務等25.5兆円とその処理に充てることとされた自主財源11.8兆円の差額13.8兆円と試算されていた〔1−4−2図〕

 

(注) 1.昭和62年9月に純資産価額方式(再調達価額)により評価した額。
  2.東海道・山陽・東北・上越新幹線の再調達価額と簿価との差額