(イ)土地売却の一時的凍結

〜地価高騰を背景


 東京圏では昭和62年の公示地価(商業地)が前年比48%上昇するなど、60年頃からの地価の急激な高騰を背景として、当面の地価対策が国家的緊急課題となり、62年10月16日に「緊急土地対策要綱」が閣議決定され、事業団の土地の売却については、「地価が異常に高騰しつつある地域内の用地の売却については、異常な高騰が沈静化するまでこれを見合わせる」こととされ、事実上入札による処分は凍結された。また、同要綱では「地価を顕在化させない土地の処分方法について検討を進める」とされた。
 63年5月には「地価を顕在化させない土地の処分方法について」(資産処分審議会答申)が出され、土地の処分方法として、「土地信託方式」(土地を信託し、信託受益権を分割又は一括で処分する方法)、「建物付土地売却方式」(清算事業団用地に建物を建設し、土地と建物を共有持分権又は区分所有権として分割して売却する方法)等が示された。その後、公示地価の前年比上昇率が全国平均で63年の22%から平成元年には8%になるなど、地価高騰が沈静化傾向を見せるとともに、清算事業団の債務が累増している状況を踏まえて、元年2月には土地対策関係閣僚会議申合せがなされ、「周辺地域の地価の動向等に照らし、地価に悪影響を与えないと判断されるものについて、順次、一般競争入札を行うことができるものとする」とされ、同年6月からは、順次、監視区域内における一般競争入札が再開されることとなった。