その後の清算事業団の土地処分は、景気の後退の時期があったことに加え、全国平均の公示地価が平成3年をピークとして8年まで毎年連続して下落するなど不動産市況の低迷により極めて厳しい状況となった。このため、4年1月には運輸省内に「日本国有鉄道清算事業団所有土地処分推進中央会議」(4年1月以降8回開催)を設置し、全省あげての清算事業団の土地処分の支援体制を確立するとともに、各地方ブロックにおいても関係自治体、地方運輸局及び清算事業団から構成される連絡会議を設置している。また、平成5年10月に、運輸省と清算事業団が共同して策定した「日本国有鉄道清算事業団の土地の処分及び有効活用の促進のためのアクションプログラム」(その後、6年12月及び8年2月にも策定)に基づき、あらゆる手段を講じて土地処分を推進している。
さらに、事業団は、事業団用地の情報を掲載した情報誌の発行、土地売却PR月間の実施、土地情報センターの設置等積極的に土地のPRに努めている。
(b)具体的促進策 〔1−4−3表〕
市街地等における一般競争入札については、事実上凍結されていたところであるが、その後の地価の沈静化の中で、3年11月に地価に悪影響を与えない手法として上限価格付競争入札を一部で導入し、4年11月には大規模用地にも上限価格付競争入札の拡大を図った。
また、7年4月からは入札に係る所有権移転禁止等の規制条件を全面的に緩和するなど、一般競争入札の拡大に努めてきた。
A 随意契約による処分の推進
地方公共団体等が公的用途に供する場合は随意契約によることが可能となっているが、3年10月、4年9月に随意契約の要件緩和を行った。また、4年8月の「総合経済対策」において、地方公共団体による事業団用地等の先行取得に対する利子負担軽減措置が講じられた。
B 多様な土地処分方法の活用
事業団では上記のような処分手法の他に、前述した様々な方式を導入して土地処分の一層の促進を図っているが、「土地信託方式」については3年度から渋谷等6ヶ所で信託受益権の販売を実施し、また、「建物付土地売却方式」については3年度から津田沼電車区等21ヶ所で実施している。「不動産変換ローン方式」については2年度から新宿南等5ヶ所で実施している。
その後地価がさらに沈静化する中で、地価対策に配慮しつつ購入者のニーズに対応した売却方法として、「建物提案方式」(清算事業団が、購入希望者から建物建設計画の提案を受けたうえで入札を実施する方式)及び「民間住宅付共同分譲方式」(民間事業者が清算事業団用地上に住宅を建設し、清算事業団と共同で住宅分譲を行う方式)を開発し、6年度からそれぞれ10ヶ所で実施している。
なお、入札にかけても落札されない物件については、5年11月からレインズ(Real Estate Information Network System、指定流通機構の不動産情報コンピューター・ネットワーク)を利用した売却を実施している。その他、比較的小規模な物件の公募売却も7年10月から実施している。