1 自動車旅客輸送の活性化


(1) バス事業をめぐる諸課題への取組み

 (ア) バスの活性化、道路交通の円滑化

 (イ) 地域における足の確保

 (ウ) 高速バスネットワークの充実

 (エ) 貸切バス事業の活性化

(2) タクシー事業の活性化

 タクシーは、個人のニーズに応じた輸送を担うとともに、時間帯や地域によっては鉄道、バスの代替的な、また、駐車スペースの乏しい都市では日常の生活、業務活動のための効率的な輸送機関となっているが、近年の景気の低迷等からタクシーの利用者は減少しており、厳しい経営状況に置かれている。
 このような現状を踏まえ、利用者ニーズに即したサービスの提供等タクシー事業者の一層の努力が求められており、事業者の創意工夫が十分に生かされるよう規制のあり方が見直されている。このため、現在、運輸政策審議会自動車部会において需給調整規制廃止に向けての審議を行うとともに、需給調整廃止までの当面の規制緩和措置を実施している(第1部第1章第2節(3)及び第2章第1節参照)。
 また、事業の活性化を図るため、事業者においては女性タクシー運転者の積極的な採用、情報機器の活用等に取組んでいる。女性タクシー運転者数は、9年3月現在約7,900人、全タクシー運転者の約2%になっている。また、情報機器の高度化に伴い、無線やGPS(Grobal positioning system:衛星航法測位システム)等を活用したAVMシステム(Automatic vehicle monitoring system:車両位置等自動表示システム)の導入等が進められている。無線車両については、8年3月現在約22万両、全タクシー車両の約85%に達し、また、AVMシステム導入車両は約9万両、約36%まで普及しており、効率的な配車が行われている。
 さらに、過疎地域や団地、深夜の都市等において運行されてる乗合タクシーの普及を図っており、コース数では都市型は横這いであるが、過疎地型、団地型は増加傾向にある。

(3) 高齢者・障害者等の輸送サービス

 乗合バスにおいては、高齢者・障害者等の移動手段を確保するため、リフト付バス(8年12月現在27事業者182両)、スロープ板付超低床バス(8年12月現在11事業者322両)、ノンステップバス(9年3月現在5事業者19両)等が導入されてきているが、今後の高齢化の進行、ノーマライゼーションの実現に向けて、そのさらなる普及を図っていく必要があり、国や地方公共団体、(財)交通アメニティ推進機構からの購入費補助及び日本開発銀行等の融資により導入を促進している。
 また、移動制約者のドア・ツー・ドアの移動手段として、リフトを備えた専用タクシーについては、事業免許の弾力的な取扱いを行っている。この福祉タクシーは、通常のタクシーと比べ車両価格が高く、また運行効率が低い等の問題もあるが、福祉タクシーに対する期待も高まってきているため、事業者の経営努力を促すとともに、地域福祉の観点から地域の福祉行政との連携の下に、その普及に取組んでいる。
 9年度からは、移動制約者の交通手段の確保のため、運輸省としてもSTS(スペシャル・トランスポート・サービス(高齢者・障害者等を対象とした福祉輸送サービス))の調査・研究に取組んでいる。

(4) その他の輸送サービス

 レンタカー及び自動車リースは、8年3月末現在で、レンタカーが約25万台、自動車リースが約204万台となるなど成長を続けている。
 レンタカーについては、規制緩和の一環として、7年6月に乗り捨て車等を15日以内に所属事務所へ回収することの義務を廃止する等事業者の負担が軽減され、乗り捨て料金等が引き下げられた。
 自動車リースについては、8年2月に4年間の許可期限を廃止する等事業者の負担軽減を図るとともに、運送事業者等の使用する事業用車両について、全面的にリースによる保有を認めたことにより、自動車リース事業の活性化の促進と運送事業者の車両調達手段の多様化が図られた。
 また、近年、主に企業等との長期的な契約に基づき自家用自動車の運転、整備、燃料等の管理等を請け負う自家用自動車管理業や、飲酒等のため自己の車両を運転できなくなった者に代って運転を行う運転代行業が発展してきている。これらの事業については、利用者ニーズに的確に対応したサービスの提供、利用者保護、輸送の安全確保を図っていくため、関係行政機関とも連携しつつ所要の指導、助言、支援を行っている。


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