開発途上国においては、急速な工業化等により、我が国がかつて経験したことのないほどの深刻な環境問題に直面している。人流・物流の道路交通への極端な依存によるCO2等の温室効果ガスの排出量増大もそのひとつである。CO2排出量についてみてみると、途上国の伸び率は、世界全体での伸び率を大きく上回っている〔1−2−39図〕。
しかし、開発途上国ではこれへの対応に係る技術・資金ともに不足している場合が多く、日本を含む先進国が、地球環境問題について開発途上国との協力関係を深め、環境対策についてのノウハウを共有するよう努めることが重要である。
このような状況を踏まえ、運輸省では、地球環境への負荷の少ない効率的な運輸システム整備の観点から、鉄道、海運、港湾、気象等各分野における国際協力を進めてきた。
5年度から経済発展・モータリゼーション進展が著しい開発途上国の大都市を対象として、都市交通公害問題を解決するための方策策定を支援することを目的とした「エコ・トランスポート計画」を推進している。また、経済発展に伴い貨物輸送量の大幅な増加が見込まれる中国とヴェトナムを対象として、7年度に「総合物流体系整備協力調査」を実施しており、本調査では、港湾、鉄道等の整備のあり方といったハード面だけではなく、交通機関相互の接続や物流情報の把握等のトータルとしての物流サービスのあり方といったソフト面の検討も進めている。
また、9年度よりアジア・太平洋地域を対象に「アジア・太平洋地域における気候変動ネットワーク整備事業」を実施しており、特にCO2観測データの顕著な空白地域である東アジアを中心に、最適観測ネットワークの概念設計を行い、CO2等の温室効果ガスの観測網整備の促進に寄与すべく検討を進めている。
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