地球温暖化防止のためには、CO2等の温室効果ガスの濃度観測、海洋と地球温暖化との関連の解明等に資する各種観測・監視体制を充実する必要があり、気象庁及び海上保安庁を中心に取り組んでいる。
気象庁では、地球温暖化や気候変動の実態解明を進めるため、世界気象機関(WMO)の諸計画に基づく世界的な観測網の一翼を担うべく、気象業務の一環として大気・海洋の観測・監視体制の強化を図ってきている。具体的には、綾里(岩手県)・南鳥島(東京都)・与那国島(沖縄県)の国内3地点においてCO2等の温室効果ガスの濃度観測を実施するとともに、海洋気象観測船「凌風丸」によって、西太平洋の大気中及び海水中のCO2等の濃度観測を行っている。また、気象庁、運輸省及び(財)日航財団との連携のもとに、日本・オーストラリア間の民間定期航空機によって、上層大気中のCO2等の濃度観測を行っている。さらに、地球温暖化に伴う海面上昇の実態把握等のため、日本の主な港湾や南鳥島における潮位観測を行っている。
また、気象庁においては、「WMO温室効果ガス世界資料センター」の役割を担っており、世界中の観測網から得られた温室効果ガスに係る観測データを一元的に収集し、品質管理を行った後にデータベース化して、印刷物、磁気媒体、インターネット等により関係国際機関、研究者等の世界各国の利用者に提供している。また、データの品質向上のため、「WMO品質保証科学センター」の業務も行っており、アジア・南太平洋地域での観測データの品質評価を行っている。
これらの観測・監視の成果をもとに、温室効果ガスや気候変動の動向についての評価を、毎年「気候変動監視レポート」として公表している。
さらに、想定される大気中のCO2濃度の増加に伴う気候変動の予測計算を行っており、その結果をとりまとめた「地球温暖化予測情報」を公表するとともに、CO2濃度の増加に伴う地球温暖化予測の充実を図るため、気象庁気象研究所で「地球温暖化予測技術の高度化に関する研究」として、気候モデルの高精度化等を進めており、その研究の成果をとりまとめて、2001年(平成13年)に公表が予定されているIPCC第三次評価報告書に反映させることとしている。
海上保安庁では、海洋が地球温暖化に与える影響の解明に役立てるため、国連教育科学文化機関・政府間海洋学委員会(UNESCO/IOC)が推進している西太平洋海域共同調査に参加し、本州南方から赤道域において測量船による海流、水温、塩分、波浪等の定常モニタリング観測等を実施している。また、南極海において、世界各国の科学アカデミー等で構成される国際学術連合会議の中の南極研究科学委員会の調整のもとに実施されている日本南極地域観測の海洋定常観測部門を担当し、海洋が地球温暖化に与える影響の解明に資するように、海洋構造把握のため海洋観測及び漂流ブイの追跡調査を実施している。
このほか、地球温暖化に伴う海面上昇の実態把握のため、日本の主な港湾及び南極昭和基地において潮位観測を行うとともに、人工衛星技術を用いて地球重心からの海面の高さを求めるための観測を実施している。なお、上記のほか、運輸省港湾局でも主な港湾において潮位観測を実施している。
以上のような地球温暖化に係る各種海洋調査の観測データを含めたデータ管理機関として、海上保安庁に「日本海洋データセンター」を設置しており、海洋データの収集・管理・提供を実施している。
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