主に地方公共団体が主体となり、地域住民の日常的な移動のために、小型の車両を用いて市街地を循環するような新しい運行形態で輸送サービスを提供するバスを、コミュニティバスと呼んでいる。これらの多くは、バリアフリー化した車両の運行により、高齢者・障害者を含めた地域住民のための移動手段となっている。
運輸省、警察庁及び建設省が推進するオムニバスタウン構想(P.294参照)は「人・まち・環境」にやさしいバスを中心としたまちづくりを推進するものであり、高齢者・障害者等の移動制約者にも配慮し、ノンステップバスの導入等を図っている。例えば、9年12月に初めてオムニバスタウンの指定を受けた浜松市においては、ノンステップバスを導入している。
LRTとは、近年、欧米の各都市において、都市内の交通渋滞緩和やこれに伴う環境問題の解消を図るうえで有効な公共交通機関として導入されている新しいタイプの路面電車システムである。加速・減速時の低騒音や低振動等の優れた特性を有している。
LRTは、大規模な駅施設や垂直移動施設等も不要であるため、コスト面からも優れており、また、高齢者・障害者にとっての利便性が高く、我が国においても、新しい公共交通システムとして多くの都市への導入が期待されている。
現在、我が国においては、熊本市においてLRTの車両であるLRV(超低床電車)が導入されているが、ステップの高さは、レール面から約30センチメートルとなっており、プラットホームからの乗車時の移動はほぼ水平移動となる。
運輸省においては、8年度より関係省庁と共同でLRT導入のための調査検討を行っており、10年度は、鉄道軌道近代化設備整備費補助金制度を活用し、広島電鉄の低床式電車一編成の投入に対し、地元地方公共団体とともに購入費の一部を補助することとしている。
運輸省は、郵政省と共同で簡易無線端末関連技術を活用した移動制約者支援モデルシステムの研究開発を進めている。
このシステムは、現在急速に普及している携帯電話等を活用し、案内サービスや自動警報等を提供することを通じて、高齢者・障害者等移動制約者の公共交通機関の利用を支援するものである〔1−3−18図〕。
現在、ICカードを活用した次世代の乗車券である汎用電子乗車券の開発を推進しているが、汎用電子乗車券は自動集改札装置から発する電波により改札を行うため、現在用いられている磁気改札方式の乗車券のように自動集改札装置の挿入口へ乗車券を挿入する必要はなく、自動集改札装置のセンサー部分に汎用電子乗車券を軽くかざすだけで改札口を通過することができる。このような優れた特性を有する汎用電子乗車券は、高齢者・障害者等移動制約者の公共交通機関の利用の円滑化にも資するものであり、今後の実用化が期待される(P.405参照)。
共通乗車券カードシステムとは、駅やバスターミナルでの乗り換えに際し、事業主体が変わる毎にその都度切符等を購入し、又は異なったカードを使用することの煩瑣を解消するための共通カードシステムであり、現在一部地域において、共通プリペイドカードの発行等が進められているが、さらに、1枚のICカードで複数の公共交通機関を利用できる共通乗車カードシステムの導入により一層の利便性の向上が図られる。
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