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広い海で2隻の船が出会う場合、相手船の状況と自船との位置関係からその状態によって「行会い船の航法」「横切り船の航法」「追越し船の航法」などの航法が適用されます。 |
1 マスト灯
「マスト」の名のとおり、船の高い所に設置され、前方から横方向までを範囲として光を放つ白色の灯火です。光の照らす範囲、正確な「射光範囲」は、船首から左右112度30分の範囲です。なにやらまた中途半端な度数が出てきました。既に説明した追越し船の航法の「追越し船の範囲」を思い出してください。船尾灯が照らさない範囲をマスト灯が照射します。 |
マスト灯の射光範囲 |
長さ50メートル以上の船は、前部と後部にそれぞれ1個のマスト灯を表示します。この場合、前部マスト灯は後部マスト灯より低い位置に表示します。この2個のマスト灯の見え具合によって、その船がどのような向きになっているかがわかります。 |
このように見えます。 |
このように見えます。 |
このように見えます。 |
2 舷灯 船の左右を識別する灯火が舷灯です。船の右側(右舷)に緑色の右舷灯、左側(左舷)に紅色の左舷灯を表示します。 |
舷灯の射光範囲 |
舷灯はマスト灯1個の船ではマスト灯よりも低い位置に表示します。前部マスト灯と後部マスト灯の2個のマスト灯をもつ長さ50メートル以上の船では、舷灯は前部マスト灯の後方で前部マスト灯よりも低い位置に表示します。 |
船の長さが20メートル未満の船では、舷灯に代えて両色灯を表示することができます。両色灯は一つの灯火器具の中に緑灯と紅灯を一緒に入れたもので形状も小さく、左右別々の舷灯を表示することが困難であったり、実際的でない小型の船に用いられ、操舵室上部の中央に表示されるのが普通です。 3 船尾灯 船の船尾に表示する灯火が船尾灯です。船尾灯は白色で、できる限り船尾近くに表示します。 |
船尾灯の射光範囲 |
「まてよ・・マスト灯も船尾灯同じ白色。白色1灯が見えたときは、マスト灯1個の船のマスト灯か、船尾灯か、どうやって区別するんだろう?」こんな疑問が出てくればたいしたものです。 |
《 灯火あれこれ 》 灯火の境目 マスト灯と舷灯は前方から横方向、船尾灯は後方を照らし、その射光範囲は方位1度の半分(方位の30分)の単位で厳密に区切られている、ということは説明したとおりですが、では、船の斜め後方にあたる、マスト灯(舷灯)と船尾灯との境目ではどのように見えると思いますか? |
船の灯火は世界中みな同じ
船が表示すべき灯火の色、明るさ、設置位置などは海上衝突予防法(同施行規則)に厳密に |
舷灯の色は飛行機も同じ
舷灯の左右の色、右が緑、左が紅は、飛行機でも同じです。夜の空港に行く機会があったら確かめてみてください。 |
◎ もう少し詳しく知りたい場合は |
海上衝突予防法 → 第23条 |