ポストコロナ時代における観光人材育成ガイドライン
ガイドライン作成の背景と目的
コロナ禍を経て社会情勢が大きく変化する中、観光地・観光産業の高付加価値を進め、持続可能な観光地域づくりを実現することが必要不可欠となっています。本ガイドラインはこれまでの観光人材育成に関する効果検証も踏まえつつ、これからの時代に求められる観光人材の人材像と求められる知識・技能、そしてそのための教育内容を示しました。また、観光人材育成における地域(DMO、自治体など)、国、教育機関などの役割も明確にしました。そして本ガイドラインが、観光人材育成に向けた羅針盤となり、各地域において、新たな価値を創造する持続可能な観光地域づくりが進められることを期待しております。
観光地経営人材と観光人材の関係性
これまで観光立国推進基本計画をもとに、宿泊業等の「観光産業人材」の育成に注力してきました。しかしコロナ禍を経た人々の行動様式の変化や観光を取り巻く環境も様変わりしていることからも、関係者が一体となって観光地域づくりを進める必要があります。宿泊業等の「観光産業人材」と地域内の事業者などの多様な関係者となる「観光地経営人材」が協力体制を確立し、それぞれで観光を通じた持続可能な地域づくりを牽引できる人材が強く求められます。
観光人材2つのタイプと求められる知識・技能
観光地経営人材
観光地全体の経営、観光地域づくりを担う人材
求められる知識・技能
- 観光地経営戦略
- 現代の観光地経営の動向
- 観光地経営組織マネジメント
- 観光地マーケティング
- 地域観光のイノベーションと観光DX
- 観光地経営のアントレプレナーシップと事業開発
観光産業人材
観光地における個々の事業経営を担う人材
求められる知識・技能
- 観光事業戦略
- 現代の観光動向
- 組織マネジメント
- アカウンティング・ファイナンス
- 観光マーケティング
- 観光産業のイノベーションと観光DX
持続可能な地域作りの協力体制
観光人材の育成に向けて
今後、持続可能な観光地域づくりを各地域、国や教育機関、そして事業者やDMOが主体的に活動を進めていくことが重要であり、その実現に必要な人への投資を強化することが重要な課題です。本ガイドラインは、このことを踏まえ、ポストコロナ時代に求められる観光人材の育成に向けて、人材像と必要な知識・技能の特定を行ったものです。地域住民や地域の文化・環境等、様々な資源・価値に も配慮した「住んでよし、訪れてよし」の観光地域づくりを進めるために は、地方自治体や DMO 等のみならず、観光に関係する地域のあらゆる関係者 (ステークホルダー)が、持続可能な観光の推進を「自分ごと」として捉え、必要な人に投資をして、協力しながら取り組む必要があります。
- 地域の役割
- 自治体やDMOが主導して多様な関係者を巻き込み、 地域一体となって、観光地経営人材の育成に取り組んでいく。
- 国の役割
-
ガイドラインに基づく教育実践が各地で自主的に行われることを後押しする。
- 地域関係者が連携して行う
観光人材育成プログラム開発の支援。 - 観光人材育成プログラムの履修者の
配置等を各種助成制度による支援の際に重み付け。
- 地域関係者が連携して行う
- 教育機関の役割
- ガイドラインを踏まえた必要な改善を行った上で、観光人材育成の取組を継続的に実施・発展させるとともに、人材育成を行う指導者自体の確保・質向上も図る。
- 事業者の役割
- ガイドラインに基づく観光人材育成プログラムの従業員の受講促進、また、受講した従業員に対する適切な処遇。
- DMOの役割
- 積極的な採用活動を行った上で、ガイドラインに基づく観光人材育成プログラムの職員の受講促進。
本ガイドラインを踏まえた効果的な教育プログラムが各地で展開され、それを受講した人の中から、優れた経験・実績の積み重ねも得て観光人材が 輩出されることで、「稼げる地域・稼げる産業」の実現につながり、地域活性化及び真の観光立国に資するという好循環の創出を継続して目指していきます。
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