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【<<前<<○国と地方公共団体の調和・調整

(3)広域計画

〇ブロック計画等、行政区域をまたがる広域計画の現状

交通、通信基盤整備の進展等により、国民の生活・経済圏域が広域化した現在、地方公共団体、とりわけ都道府県の行政域を越えて一体的に取り組むことの望ましい課題が増大している。すなわち、多軸型国土構造の形成に向けた広域交通・物流体系の整備、観光・レクリエーション事業の広域的な展開、循環型社会の構築に向けた国土全体での資源リサイクルの推進、「広域国際交流圏」の形成を通じた地域の国際交流機能の強化や国際的な投資の促進、災害時の都道府県を越える協力体制の整備等、多方面にわたる課題が指摘されている。また、大都市圏においては、諸機能の一極集中等に伴う交通渋滞、住宅問題、環境問題等の大都市問題に広域的かつ総合的に対応することが必要となっている。さらに、近接する地方公共団体がそれぞれに類似の施設や機能を整備する、いわゆるフルセット主義からの脱却が求められている。このような状況に対処し、地方公共団体の広域的な連携や協力を促進するとともに、複数の行政区域にわたる圏域の一体的かつ効率的な整備を図る観点から、広域計画の重要性が高まっている。(参考資料10

現在、国が策定する広域計画として、全総計画とは別に、地方ブロックを計画圏域とする地方開発促進計画と、三大都市圏を計画圏域とする大都市圏計画(以下これらを合わせて「ブロック計画」という。)が策定されている。一部のブロック計画は昭和37年の全総計画に先行して策定され、その地域の発展の構想を提示した。また、それ以降も、ブロック計画は、全総計画を踏まえつつ、関係地方公共団体の協力の下、各地域の独自の発展構想を示し、地域の発展に向けた諸力の結集に役割を果たしてきた。

しかし、これらブロック計画については、その計画圏域と国民の生活・経済圏域等の実態との適合性や、計画目的・内容等について、改めて検討することが求められている。また、全総計画の内容とブロック計画の内容の重複が生じていることなどから、相互の役割をより明確にすることが必要になっている。さらに、関係地方公共団体による計画に盛り込む内容の案の作成等、計画策定過程の改善が求められている。

一方、ブロック計画とは別に、多くの市町村が参加する地域連携軸構想、流域における交流・連携活動の推進、地域における生態系ネットワークの形成、県境山岳地域の天然林保護のための連携等、様々な地理的規模で、各種の機能領域に関し、地方公共団体や民間団体等が自発的に複数の行政区域を対象とした計画や構想の策定を始めており、適切な国土管理の観点からも、今後ますますその重要性が高まると思われる。

なお、基礎的自治体である市町村が三千余に分かれ、総合的な行政を担うことが困難な極めて規模の小さい地方公共団体が多数存在する現状を是正することも重要である。現在、一部事務組合や広域連合等の広域行政の仕組みが導入されているが、効率的な地域づくりを促進する観点から、上記のような市町村等の連携を促進するとともに、市町村合併を今後さらに推進することが望まれる。

【>>次>>○総合的な広域計画による施策の具体化、総合化と調整