2030年の日本のあり方を検討するシナリオ作成に関する調査概要

Bグループ: 東アジア経済発展シナリオ



全体のイメージ


1)2030年、日本はフロー経済から卒業し、ストックを重視した社会構造に変わっている。このことで必要な資源は大幅に減少し、資源的にもほぼ自立している。その結果、日本人の労働時間も資源使用量もかつてより大きく減少したにもかかわらず、むしろ一人ひとりの生活の質を格段に向上させることに成功している。


2)日本人の持っていた集団主義は崩壊する。個を尊重し、個人の自由度・権限が拡大する。その結果、ジェンダーへの理解は深まり、分散休暇も進展し、一人ひとりがのびのびと人生を楽しめる社会になる。もっとも大きな変化は、「大きいことはいいことだ」という量的拡大の思想から卒業できたこと。量より質という、本質的な価値観の転換に成功した日本は、持続可能な社会へと変革している。


3)東アジア経済は成長を続け、特に中国の経済規模は日本をしのぐところまで成長する。域内での経済依存度、投資依存度は高まるが、逆に資源を巡る競争や緊張が高まる状況も途中見られた。その中で、資源効率性、新エネルギーを含めた環境技術に秀でた日本は、その高い技術力でリーダーシップを発揮し、アジア経済の中でも存在感を示しており、その指導力は、量ではなく質を追求する成熟した国ならではである。


4)日本の人口は減少し、国土全体としては余裕ができる。関東圏には依然もっとも多くの人口が集まるが、東アジア経済圏の中心となる上海との位置関係で九州等の重要性が増す。そして、この二つを結んだ、太平洋ベルト地帯が経済の中心になる。それ以外の地域には、適度な大きさのコンパクトシティが全国に散在している。


Bグループの未来社会のイメージ
Bグループの未来社会のイメージ



側面ごとにみた内容


国際社会

  • 東アジア共同体を形成し、資源をめぐっての取り合い、紛争の発生を抑える
  • アジアの中の日本としての外交戦略を明確にする。ルックウエストではなくルックイーストへ
  • ワイルドカードとして中国の不安定化、朝鮮半島との関係もあるので、政治関係の調整をどうするかが課題
  • FTAへの対応

経済構造

  • ストック重視へシフトする
  • 中国は5年、最長でも30年でキャッチアップしてくる

政策

  • 東アジア経済圏との連携を語っていく上で、行政の体質自体を変える
  • 開放政策を進める
  • 財政破綻を想定したソフトランディングも政策的に考える

科学技術、環境

  • 東アジアとの知的交流を進める
  • 外国人を活用する(日本に住みたがる外国人を増やす)
  • 環境ODAの活用などを通して東アジア全体の環境政策を考えていく

日本国内の土地利用

  • もっとも人口が多いのは、依然、関東圏
  • 東京から九州北部という旧太平洋ベルト地帯を活性化する
  • 北九州の地理的重要性が増加する
  • 過疎地域に引き続き住みたいというライフスタイルを求める人はある程度は自己負担で

交通

  • 東アジアをにらんだ地域インフラを形成する
  • 日本国内のインフラはメンテナンスの必要性が大きくなっていく

ライフスタイル

  • 日本の持っている集団主義が崩壊し、個が尊重され、個人の自由度・権限が拡大する
  • 課題
    →ジェンダーの理解を深める。分散休暇も進行させる
    →量的拡大の思想を捨てる発想

食糧

  • 農業政策が足かせにならなくなる
  • 食料自給率を高め、長期的に安定する

エネルギー・バイオマス

  • 資源エネルギーを日中共同で開発する
  • ストック化のなかで日本のエネルギー消費構造を変える

人的資本

  • ニートなどやる気のない人が増えないように、社会でサポートする

課題


  • 東アジアの域内依存において地理的優位性を維持しながら成長する
    →日本社会全体が地域特性を重視しながら、成長を続ける
  • ストックを残していく
    →金太郎飴のようなビルを建てるのではなく、地域特性を活かした文化を創っていく。京都が1000年前のストックを活かして生きているように、少なくとも100年残るものを作り、地域特性のポテンシャルとする
  • 太平洋のベルトライン部分の産業基盤を活かす
    →札幌・仙台・広島・福岡のポテンシャルを上げていく
  • アジアの経済成長による資源の逼迫に備える
    →ストック型にして、エネルギーの大量消費を抑える
    →地域ごとに太陽エネルギーや原子力エネルギーなどによって自立する
    →50年間でエネルギー自給体制にして、アジア広域の中でリーダーシップを発揮する
↑ページの上へ


→Aグループへ Bグループ →Cグループへ →Dグループへ →アンケートページへ →トップページへ

All Rights Reserved, Copyright (C) 2004-2005, Ministry of Land, Infrastructure and Transport