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移転先地の選定方法

移転先地の選定は、わが国の中で唯一の場所を定める意思決定である。わが国の新首都の立地選定は、先進的民主主義国家における国民的意思決定の模範例として、世界各国から注目されることとなろう。

首都機能移転は、今後数世紀にわたるわが国の政治・経済・文化など多岐にわたる発展の方向を示唆するものであり、移転先地が広く国民の支持と賛同を得られるためには、その選定過程において、できる限り多くの国民の意思を反映できる手法を採ることが必要である。

また、新首都は「簡素で効率的な政府」の立地するコンパクトな政治・行政都市を目指し、移転先の地域社会に与える影響を極力小さくすることを意図するものの、数十万都市の出現は、移転先の地域にとって、大きなインパクトを与えるものとなろう。このため、移転先地の選定に当たっては、国民全般の合意形成のみならず、移転先の地域の意思も尊重できる手法を採ることが必要である。

選定の過程は、可能な限り公正・透明に行われるべきであるが、公開された情報が一部の人々や一部の地域の利権の温床と化したり、投機的な土地取引が行われ、首都機能移転の事業そのものに支障を生じる事態に至ることは防止しなければならない。

当調査会としては、このような点に鑑み、移転先地は国会で法律により決定することが適切であり、この場合、あらかじめ移転先候補地を選定し国会へ報告を行う、権威のある専門的かつ中立的な選定機関を設置することが必要であると考え、提案を行うところである。

1.国会による移転先地の決定

国会等の各機関の移転は、本来それぞれの機関の固有の判断によるべき事柄とも考えられるが、首都機能移転は、ある一定の地域に国会等三権の中枢機関を集中的に立地させる国家プロジェクトであり、移転先地の選定に当たっては、国民の意思を反映させることも含め総合的な見地から判断を行う必要がある。したがって、国民の代表機関であり国権の最高機関でもある国会が、法律により移転先地を決定することが最も適切であると考える。

2.移転先候補地の選定のための専門的かつ中立的な選定機関の設置

国会において移転先地を決定するに当たっては、幅広い識見を持ち専門的かつ中立的な立場から移転先候補地の選定を行い、国会へ報告する機関が必要である。

移転先候補地の選定に当たっては、全国から選定基準に照らして調査対象地区を抽出し、例えば、地震等の自然災害に対する調査、空港等の交通施設に関する調査、土地の権利関係に関する調査等、極めて専門的な技術を要する調査や属地的な精度の高い調査を行う必要がある。このための具体的な調査対象地区の抽出方法及び調査方法等については、当該選定機関が検討することが適切である。

3.移転先地の選定過程において特に配慮すべき事項

(1) 地元の意思の尊重

移転先地の選定は、国が主体的に行うべき事柄であるが、実体的にはその調査段階から地元の理解と協力を得られることが不可欠であり、地元の地方公共団体の積極的な協力の意思の確認を行うことにより地元の意思の尊重を図る必要がある。

(2) 国民の意思の反映

国民の意思を把握するため、様々な世論調査等を行い、また、公聴会や公開討論会等を行い、多くの機会を用いて国民的な論議のより一層の高揚を図るとともに、できる限り多くの地域の意向を直接聴取する必要がある。

いわゆる国民投票については、わが国では、国民投票で直接民意を問うた前例はなく、また、キャンベラやブラジリア等諸外国の例を見ても、国民投票で首都の位置を決定した事例はない。さらに、現行憲法下では、国民投票の結果により国会を拘束することはできないものとされている。

なお、十分に国民や地元の意思を汲んだ上で、一度新首都の場所が決定された後は、国民や地元がそれぞれの場面で力を合わせて首都機能移転に協力することが必要である。
また、移転先地の選定段階だけでなく、その後の新首都づくりの段階でも、広く国民から都市づくりのアイデアや新首都の名称などを募集し、国民一人ひとりが新首都づくりへ参加できる雰囲気を盛り上げることも必要であると考える。

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