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第24回国会等移転審議会議議事要旨

1.日時

平成11年10月21日(木曜日)16時0分〜18時0分

2.場所

中央合同庁舎5号館別館共用第23会議室

3.出席者

(審議会委員)

森会長、石原会長代理、新井、石井(進)、石井(威望)、石井(幹子)、海老沢、下河辺、中村(英夫)、野崎、濱中、堀江、牧野、溝上、宮島各委員(15名)

国土庁長官、古川内閣官房副長官(事務局長)、久保田国土事務次官、木下国土庁長官官房長、板倉国土庁大都市圏整備局長(事務局次長)、他

4.議題

国土庁長官挨拶、当面の土地投機対策、制度・手法の経過について等

5.議事の要旨

国土庁長官の挨拶が行われ、引き続き当面の地価対策と意見交換が行われた。次にコストの再試算、国民意見の動向、重み付けの作業について事務局からの説明と意見交換が行われた。

(1)中山国土庁長官挨拶要旨

平成2年に国会決議が行われまして、4年には国会等の移転に関する法律案、それからまた8年には同法の改正により移転審議会が設置され、精力的な御検討をいただいておりますことに、心から敬意を表したいと思います。このような大きな仕事を受け持っていただくことに心から感謝と敬意の念を申し上げたいと思います。

今、日本も大変な財政難であります。今年の81兆8,601億円という予算のうちでも国債依存度31兆円ということで、税収は47兆円しかございません。特に、今までの累積は327兆5,500億円という多額の国債公債発行しております。しかし、まだ国民の金融資産が約1,300兆円ある。外国からお金を借りているわけではありませんので、ここで起死回生、私はこの千年紀計画の最たるものが首都機能の移転ではないかなという期待をいたしております。景気対策でやられるのかとよく言われますが、景気対策ではありません。これは将来の日本が平和国家として世界に貢献していけるファクターを築くためのものだと思っております。

また首都機能移転を機に、東京都は一層飛躍し、世界都市として益々発展するものと考えます。

例えば東京に江戸城を復元して、その60メートルの大天守閣の下に大国際会議場をつくって、新しい江戸の町のシンボルとして、国際都市として発展していくこともあるのではないでしょうか。国土構造の改編に着手をする首都機能移転は、我々日本人の希望を託す大事業である。まだ国民的な世論は十分には盛り上がっておりません。ですから私は、この問題を一生懸命に盛り上げていくために、先生方の御議論をじっと注目しながら、日本が大いに発展していく礎、新しい突破口が首都機能の移転であろうと考えております。

日本の各界の権威にここにお集まりいただいて御検討いただき日本の将来に夢を託しながら事務局としての務めを果たしたいと思っておりますので、今後とも御指導、御鞭撻お願い申し上げまして、ごあいさつに代えたいと思います。

(2)当面の土地投機対策及び制度・手法について

当面の土地投機対策及び制度・手法について、事務局から説明が行われた。

当面の土地投機対策についてであるが、調査対象地域については3ヶ月ごとに当該地域について地価の動向、土地取引の状況について詳細な調査を実施している。最近の動向としては、地価はおおむね下落傾向、土地の取引件数はおおむね減少傾向である。

2番目に、候補地が答申された際の制度上の措置であるが、移転法の24条において、都道府県知事は候補地の区域のうち、地価が急激に上昇し、又は上昇するおそれがあり、これによって適性かつ合理的な土地利用の確保が困難となるおそれがある区域を、監視区域として指定することが義務づけられている。監視区域に指定されると、事前に土地の取引の価格について審査が行われ、不適切な事例は指導、勧告が行われる。

今後の対応方針であるが、答申後、現行制度を最大限に活用して、万全の措置を的確に講じたい。

移転を行う場合の関連する制度、手法のポイントとして、移転調査会当時から御議論されてきたものを整理すると、まず円滑な土地取得については、新都市建設に当たっては相当規模の土地取得を比較的短期間に行う必要があるので、種々の特例が必要になる。そのため特に移転先候補地が決定された段階で先買い権を付与するというような強力な措置が必要であるという認識で調査会報告は書かれている。

土地利用規制、あるいは計画手法については、首都機能都市にふさわしい美観、風致、あるいは環境との共生が必要になるので、土地利用の高度なコントロールが必要である。また非常に長期にわたり、かつ広域にわたるプロジェクトであるので、統一的なマスタープランの下に、段階的な整備に柔軟かつ機動的に対応できるようなシステムが必要であるとまとめられている。

国の責任体制、事業主体については、特別な国家的な公共性を有する事業であるので、当然のことながら一元的な責任を有した国家機関の設立が必要であるということになると思われる。事業主体についても、計画の企画立案段階から事業実施まで一元的に行い得る強力な主体を国が設立する必要があると指摘されている。

地方行政制度については、首都機能都市として広大かつ多様な行政需要に対応するには通常の一般的な都市の扱いとは異なってしかるべきだという観点から、市町村合併、あるいは一層制の特別市というような議論が従来からある。日本の地方自治制度は都道府県と市町村という二層制をとっているが、一時地方自治法に特別市という一層制の制度が設けられたことがある。これは都道府県と市町村を1つにしたもので、憲法上も議会等を有すれば、違憲ではないと解釈をされている。ただ種々の理由から実施を見ずに廃止されたという経緯がある。

財源対策については、短期間に集中投資が行われるということは所要の財源措置が必要であるということと、地方の負担については相当国が援助していく必要があるという整理がされている。例えば筑波研究学園都市の建設などで財源負担がどうなっているかというようなことが参考になる。

説明の後、以下の質疑応答・意見交換が行われた。

  • 一層制の自治制度は憲法上ゆるされるのか。
    →例えば国の直轄地というような形態の特別の地域というのは憲法上許されないが、仮に都道府県を廃止して特別市という一層制の自治体にしても議会があり、通常の自治形態をとるのであれば、それは憲法上可能である。
    →憲法には地方公共団体の組織とか権能というのは地方自治の本旨に基づいてされなければならないとある。要は一層制の地方自治体が地方自治の本旨にもとるかもとらないかという解釈の問題であり、特定の地域について2層制なり1層制であっても住民の声を直接代表する議会があり、直接選挙があれば本旨にはもとらないであろうというのが従来の見解であると思う。
  • 何らかの意味で地方に属さない土地はあり得ないということか。
    →ワシントンD.C.のような中央政府直轄地というのは地方自治の本旨にもとるという解釈である。現行憲法では地域住民が選ぶ議会と首長が全くない地域を日本国の中につくるということは許容していない。
  • もし移転の候補地が決まり建設に入るとなると、一層制の特別市を置いて、そこの都市の建設をスピーディーにやらないといけない。国と都道府県と当該地域3つのそれぞれの権限なりが複雑に交じり合って簡単にいかないのではないかという議論もあり、建設の間は一層制の特別市にしなければならないと思う。将来的には、一層制の特別市は時間をかけて解消して何ら差し支えないと思う。
    キャンベラの例で言うと、漸次都市の建設が進むにつれてキャンベラ市に権限が移されていく。ある意味ではキャンベラの場合も相当強力に首都建設を進めている。地方自治の権限をどういう形に移していくかというところが大問題であろう。
(3)各評価項目の重みづけ作業について

各評価項目の重みづけ作業について、事務局から説明があった後、意見交換が行われた。

各委員に一対比較法と直接比較法の2つのやり方で評価していただいた2回目の重みづけの結果を整理している。

「国土構造形成の方向」「大規模災害への対応力」「地震災害に対する安全性」といった項目の重みが高くなっている

一対比較法と直接評価法では一対比較法の方が項目間に差がついている。

全体の傾向としては広がっていた評価が収斂する傾向にある。

総合評価作業を進めるに当たって、「国土構造の改編の方向」と「文化の形成の方向性」について各委員に評価していただいた。「国土構造の改編の方向」では、茨城地域を除いた北東地域では「国土軸の形成」「多自然居住地域の創造」「政経分離による東京の経済・文化機能の円滑な発揮」といった項目が非常が高かった。茨城地域はほかの北東地域とは特色が異なっていた。東海地域で比較的点数が高かった項目は「自立的な広域国際交流圏の形成」「東京を中心とする国土構造の改編」「国際機関等の国際機能の集積」「全国的な国際交流・国際活動の展開に及ぼす影響」である。三重・畿央地域では「東京を中心とする国土構造の改編」「日本を代表する文化機能の集積」といった項目が比較的高かった。

「文化形成の方向」では、北東地域では、茨城地域だけはほかと傾向が違っている。茨城を除いた北東地域で高かった項目は「軽やかで小さな政治行政都市」「自然環境と調和した都市」「ゆとりとやすらぎのある都市」「落ち着きのある長期の思考にふさわしい都市」「新しい文化を創造し体現する都市」「新しいライフスタイルの創造」「環境共生型の社会・文化の創造」である。東海地域では「高度情報化に対応した活力ある経済社会の実現」「国際社会の貢献」、「新都市の位置と全国民からの親しみやすさ」「地域の文化・情報発信と自立の促進」「多様な地域間の文化交流の増大」といった項目が高かった。三重・畿央地域では「東京を中心とする意識構造の変革」といった項目で高い評価が得られた。

今後重みづけ手法による総合評価を取りまとめていくに当たって、評価の前提となる事項について幾つか整理する必要がある。

1点目として、地域ごとの、具体的な範囲について更に精査する必要がある。国会都市の位置をどこに想定するかによって評価が相当異なってくるので、ある地域に国会都市を想定して評価する必要がある。これについては、次回以降で更に議論を深めていただければと思っている。

2点目であるが、各評価項目間で相関係数が高い値を示している事項があり、これについては、結果的に過大に重み等に反映されるといった不都合が生ずる可能性がある。それを排除するためにどういった工夫が必要か整理する必要があると考えている。

3点目として、重みづけ手法は各委員がこの作業に当たって納得いただくまで議論を深めていただくということが大変重要である。

4点目として、各評価項目ごとの評価に当たって、一部の事項について更に関係府県から詳細な情報を提供してもらう必要がある事項が幾つか出てきている。具体的には、国土構造の関係から東京との距離をどう見ていくかとか、集落が広がっている地域の土地の取得の容易性についてどう評価するかという点についてもう少しデータを詳細に分析していく必要がある。

今後総合評価の結果が出たとして、その解釈については多様な解釈を試みていく必要がある。もう少し資料をいろいろな切り口から細かく分析して、提出させていただき、地域の議論を深めていただく必要があるのではないか。審議会において更に多面的、多角的な議論をしていただく際に、総合評価の検討結果、それに加えて、第2タームまでの現地調査、各評価項目の調査結果の観点等も深めて、多面的・多角的に議論していただく必要があると考えている。

多面的・多角的というのは総合評価を踏まえて、多様な解釈・議論をする必要がある。

一方で例えば各委員の重みづけによる評価を、安全性を重視した場合はどうか、逆に利便性を重視した場合にどうかというようなシミュレーションをして、特性をより端的に把握していただくことができるのではないか。あるいは重みの特徴をとらえて感度分析をしてみたらどうか。あるいは、より多様な評価の視点を設定していろいろなシミュレーションしてみたらどうか。いろいろな材料を用意して、多様な解釈を進めていただく。

他方で総合評価の結果を補強するデータとして、第2タームの現地調査での各委員の印象、あるいは第2タームの各評価項目ごとの調査結果の更なる分析といったものが考えられる。また新都市の特性と課題として、新都市のイメージをある程度想定しながら新都市に課せられる今後の課題等を整理していただく。国土構造改編の方向、あるいは文化の形成といった非常に総論的なテーマは非常に多様な解釈が可能であり、いろいろな角度からシミュレーションをする。こういったことを考えている。

  • 各項目の相関関係であるが、もともと独立すべきものとして選択はしたが、少し相互の関係が出てきたものがあるということか。それを処理する方法なりを考えているのか。
    →これから相関関係がどうなっているかを分析しながら、相関関係が高いものについてはなぜそうなっているかも検討して、計算上の処理、場合によっては階層上の処理といったことを検討してまいりたい。
  • 各地域に移転した場合に、新都市は、小さな都市群にコンパクトな首都機能といったイメージのものになるのか。
    →都市の機能の一体性の発揮という観点から小都市群の配置がどのようにになるのか、評価地域ごとに表をつくり、それに基づいて議論を深めていただければと思っている。
  • 表とはどういうものか。
    →文章記述で特徴、特性を把握することと、図面でお示しする。そういう2つの側面からアプローチしてみたいと思っている。

重みづけによる総合評価の作業とともに、多面的・多角的な議論を並行して進め、総合評価の結果を重要な参考資料として、全委員で議論して結論に出していくことが確認された。

(4)起草委員会について

起草委員会について、森会長から提案が行われた。

答申が間近になってきたので、最終的な答申をつくるため、起草委員会をつくりたい。メンバーは石井威望委員、中村桂子委員、野崎委員、堀江委員、宮島委員の5人にお願いしたい。座長には野崎委員がなっていただきたい。

起草委員会に関する森会長の提案は了承された。

次回、第25回の審議会について、10月26日16時0分分から行われることが、事務局から提示された。

以上
(文責 国会等移転審議会事務局)

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