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まちづくりアイディア募集 優秀賞

首都機能都市にふさわしい交通システムとオープン・コミュニティ

氏名: 渡部 與四郎
所属: 社団法人 全日本土地区画整理士会

<はじめに>

首都機能都市の候補地は16にわたる評価項目について重み付けをしてしぼられたと聞く。つまり、その立地は総じて安全、利便性が高く、環境との共生も図られる条件を満足している。
従って、このタイトルは都市内の交通システム、地域社会のあり方、すすめ方に関する施策に合致し、さらに充足が求められる内容に限定して述べる。その理念は「首都機能都市に関係するあらゆる人々(国際的に交流する人々を含む)のライフ・サイクルにおいて、生きがいを与える都市でなければならない。」と考える。このことは日常的生活・活動において、人間性を回復し個性を発揮できる「自由時間」の有効活用につながる空間と行動を保証できるレベルが求められる。この様な見地から、タイトルの交通システム、オープン・コミュニティを構成する鍵となる事項を選び、その必然性、有用性を説明、提案する。

図-1 首都機能都市のモデル構図

<交通システム>

この鍵となる事項は、第1に市民行動をサービスする確実性あるアクセシビリティ(行き易さ)を向上させること、第2に環境にやさしい交通手段に、その組み合わせ方を改善すること、第3に都市を安定成長させるのに役立つ実現性を図ることである。
第1点については、世界や全国各地との交通アクセスと広域連携すべき都市地域間との交流は信頼性あるレベルになることを前提として、都市圏の交通システムをつくり円滑なる管理、運営をすることが肝要となる。圏域人口60万人の想定条件から総トリップは180万トリップ/日、その4割は徒歩トリップ、6割(180万トリップ)が交通手段を所要すると考える。従って、その1割(11万トリップ)がピーク交通量となり、平日は通勤交通として中心部へ求心的に集中するものと考えられる。これへの対応には、鉄・軌道系が妥当と考えられ、その段階手段として風雪につよいい安定的中量軌道が選考されることが望まれる。
なお、確実性あるアクセシビリティをたかめるため、この軌道は環状ルート状に設置し、その駅ターミナルにはライド・アンド・バスライド(Ride & Bus Ride)方式でサービスできるループ・バスシステムを連鎖的に設けるが、パーク・アンド・ライド(Park & Ride)方式による自家用車の利用は環境負荷軽減のため制限する。しかし、休日のレクリエーション等のため自家用車を保有量は1世帯1台を限度として許容する。
第2点については、環境と共生できる交通手段として省エネルギーでCO2、NOx負荷の少ない軌道率を軸に、自転車、徒歩系を専用的綱体系として構成させる。徒歩トリップ量は前述より72万トリップと想定され、その代替用、通学用としての自転車系が考えられるほか、レクリエーション用としての利用も期待される。従って、軌道駅から静脈的な自転車、歩行者系が樹枝状パターンで構成されるほか、環状パークウェイの幅員構成の中に専用的位置付けが所要される。特に、縦断勾配としては自転車道は4%以下とし、幹線道路との交差では地形を活用し穏やかな勾配とすることが望まれる。
第3点については、自動車利用は前述の<保有率1台/世帯にとどめ、そのレベル以上の援資は軌道系の整備に出資することを義務付けることにより、軌道系システム実現とその利便享受の途をより確実なものとする。また、首都機能都市の骨格形成については、国は積極的支援を従来のガソリン税等により行うことはもちろんとして、軌道率の運営費助成のため消費税を目的税化して福祉的な乗り物とすることも検討することがすすめられる。

図-2 交通システムモデル図

<オープンコミュニティ>

このコミュニティ設定と円滑化を支援する鍵となる事項としては、第1に首都機能都市に居住し、活用する人は市民権としての意識を持ち、人口5千人程度の居住区にふさわしいコミュニティ・パークを設け、これを多目的に活用すること、第2に各居住区毎に個性あるプロジェクトを興し、情報システムの充足の下、新時代の地域文化を発信すること、第3に首都機能都市は従来の行政枠に捉われず、独立的行政主体となり、自立性を高める。このため、首長・議員のほかに、民意調査調整役と再評価役の導入、助役ではなく事務を統括する副市長制度を設けることがすすめられる。

図-3 オープン・コミュニティモデル図

第1点の補足説明として、「市民税」を取得するには5年以上の居住間と納税義務を果たし、社会奉仕等の善行に自発的参加をしたなどの諸条件を充たすことが求められる。
また、コミュニティ・パークの目的化は各年齢層の要望に答える弾力性を有し、自由時間の活用と生きがいに寄与するコミュニティ・オフィス設置を小学校の休日利用と合わせ検討することがすすめられる。
第2点のコミュニティ・プロジェクトのテーマは家計、健康、福祉、環境、まちづくり、国際貢献などの多様であるが、それらは(図−4コミュニティ・プロジェクト)のテーマの如く「ソフト(運営)・ハード(施設整備)」、「短・長期」の2軸で整理される。
第3点における民意調査調整役は、行政の成果を再評価役が客観化したのをうけて、市民各層の「声なき声」を吸い上げ、まとめて市長なり議員なりに橋渡しする役目を果たす。また、副市長は一般的行政事務を総括する実質的な市長職をこなすことをできる経験と学識を有する人々から選ばれるもので、米国のシティ・マネージャー(City Manager)に相当する。

図-4 コミュニティ・プロジェクトのテーマ

<むすびに代えて>

以上の交通システム、オープン・コミュニティをすすめるに当たり、次の2テーマに留意することが大事である。
第1に都市圏の交通システムは土地利用(用途・容積構成を含む)と連動するものであり、互換、互恵性をもって両者の整合性を図ることが大切である。その育成計画の段階において交通管理(交通需要の調整を含む)を適切に行うことがすすめられる。
第2に、オープン・コミュニティの集合*が広域的首都機能都市となり、その熟成、自立の途において、国家的機関に特化する体質ではなく、民間起業への支援、導入に留意し、都市経営の健全化に努めることが肝要となる。

<参考資料>
  1. "21世紀の都市及び都市政策に関する調査報告" H10.3 全国市長会
  2. "活生のまちをつくる"H11.5 渡辺編著 ぎょうせい
  3. "国土情報NO.583" H12.1 (財)国土計画協会

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