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人類の希望と知恵を結集する都市に

中国地域づくりセンター所長 松波 龍一

首都機能新都市を世界的なプロジェクトに

首都機能移転先の新都市について、魅力的な提案がここにもたくさん出されています。
この新都市は、都市計画家だけでなく多くの立場の人にとって、大変わくわくする刺激的なプロジェクトです。この刺激と機会を、日本だけでなく国際的に共有できないものでしょうか。新しい日本の首都機能都市を建設するにあたって、人類の希望と知恵を結集するための構想が必要です。日本の国益だけでなく、世界の人々の共感と応援を得られるような大義が必要です。

世界のモデルになるような都市に

1775年に日本に来たスウェーデン人の医師C.P.ツュンベリーは、江戸参府の途上で街道沿線を子細に観察し、「ことごとく理にかなった考えや、すぐれた規則に従っている」「ここでは、自慢も無駄も華美もなく、すべてが有益な目標をめざしている」と感嘆しています。江戸で老中宅を訪問した際には「この訪問で、高台から望むことができた広大にひろがる町全体の美しい光景を、私は決して忘れないであろう」と書き残しました(以上、高橋文訳)。
1865年世界漫遊の旅の途次、江戸に立ち寄ったハインリッヒ・シュリーマンはこう書き記しています。「この国には平和、行き渡った満足感、豊かさ、完璧な秩序、そして世界のどの国にもましてよく耕された土地がみられる」(石井和子訳)。愛宕山の「美しい茶屋」、王子の川のほとりの「磨き抜かれた茶屋」洲崎弁天近くの「岸辺の茶屋」を巡って、江戸のすばらしい景観を賞賛しています。この頃は、尊皇攘夷の嵐が吹き荒れて、江戸の町も世相穏やかでなかったことに注意すべきです。江戸期の日本の首都は、ヨーロッパ人にため息をつかせるほど美しい都市でした。
われわれはその江戸を建設し、維持した人たちの末裔です。アンドレ・マルローの言葉を借りれば「100年前には、歴史上またとない洗練された文化をもっていた」日本が、その伝統に立って、再び世界のモデルになるような清潔で節操のある美意識にもとづいた新都市を築くこと。そのことは、十分に世界的な意義をもつといえるでしょう。

建設特区、国土特区に

現実の都市建設においては、様々なリアリズムが錯綜していて、理想的な都市づくりには多くの困難があります。優れた工夫は、多かれ少なかれ個別的なアクロバットを伴っており、そのために莫大なエネルギーを使っているといっても言い過ぎではないでしょう。建設だけでなく、維持管理においても新しい実験的提案がたくさん出され、実行されていくような制度的な環境が、新都市にはほしいところです。そのために必要な環境とはどういうものか、という論議から始めてはいかがでしょうか。内山隆氏の「経済特区を!」という提案は興味深いものですが、建設特区、国土特区、というような取り組みも必要かと思います。

人類の希望と知恵を結集する都市に
中国地域づくりセンター所長 松波 龍一氏

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