田園都市構想はロンドン近郊に二つ生まれた。しかしそれ以上はできなかった。巨大都市の圧力に抗しきれなかったというべきか。まずは成功例の2つの田園都市の20世紀半ばの様子を見てみよう。1945年の記述である。
参考資料:「明日の田園都市」鹿島出版会
さまざまな業種の企業が立地し、活気ある地域社会生活を住民が営む職住近接型のhomeとgardenの町として繁栄している。半永久的に維持される農地に囲まれ、居住環境は30キロ程離れたロンドンと比べ物にならない。都市開発自体は営利事業としても充分成り立っている。
建設当初の投資額は明年完済される予定であり、国からの補助金も他の都市の開発事例に比べて、極めて少ない水準である。住環境は良好で、これ以上の都市は第二の田園都市ウェルウィンしかない。新しい土地に独立した産業社会をゼロからつくる試みは大成功であり、自由な企業活動と民主的な都市経営が両立する事を証明した。
二番目の田園都市、そして残念ながら今のところ最後の田園都市である。レッチワースよりひとまわり規模が大きく、面積が1700ha、人口は5万人である。
都市設計の面では大きく進歩しており、特にショッピングセンターと工場地域は大規模開発を行なうときの手本となるだろう。デザインだけでなく経済性の面からもその実験の成功は大きな意味がある。
レッチワーすよりさらにロンドンに近いため、通勤する住民の割合は多い。しかし、労働人口の85%はこの町の工業、商業の従業者である。職住近接型の人口分散が見事に実現し、ハワードの創意で生まれた新都市はしっかり根づいている。
ところが、ハワードの田園都市は大方の予測を裏切って、この二つしか誕生していない(現在も)。
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