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田園都市と巨大都市 2

大都市の膨張

1898年以来イギリスの人口は1100万人、住宅は400〜500万戸増加した。工場や商業施設や事務所も同じ割合で増加しているのは明らかで、それに応じたコミュニティができたのも確かだ。実にこの間ハワード方式で20〜30もの都市に等しいものが生まれたのだ。しかし結果は2つだけ、残りの一千万人はどこに消えてしまったのだろうか。ロンドンだけで200万人以上の人口増加があった。いったい巨大都市はどうして快適な田園都市を飲み込んでしまったのだろうか。

以下は、50年前のロンドンの記述。しかしそれは今の日本の大都市のようだ。あえて固有名詞を外して今日のわれわれの問題としてみてみよう。

巨大都市の中心地区の居住人口は郊外に転出したので減少したが、それが過密や混雑を減少させた訳ではない。中心の商業地は拡大し住宅が占有していた土地を侵食したからである。さらに、出生率の減少で家族規模は小さくなり、都市中央部の世帯数・住宅数は増加している。密度はむしろ増加していると考えたほうがいいだろう。

ハワードの田園都市の出版の頃、電車と自動車が生まれている。したがって、この新しい交通手段が郊外への都市の広がりをもたらした事は、ハワードは想像できなかった。高速交通の出現により、収入の大きい人は空地のある住環境を求めて中心から転出した。これは、社会的には不利益で浪費型の都市成長をもたらしたのである。環境を獲得するために、長距離移動と言う代償を支払わなければならない。中心部のコミュニティライフは弱体化し一部は破壊された。

工場は、広いスペースと安い土地を求めて郊外の緑地に移転していった。急速に発達した商業、サービス業は、都市の中心部ではなはだしく拡大した。雇用は大きく増大したが、住宅の再建はあまり進まなかった。スラムは確かに消滅していったが、住宅の水準はむしろ低下し、郊外に移転する資力のない住民に配られたという状況だ。一方で、立ち退かされた居住者の一部は、莫大な公共の費用を使って再居住している。

行政は、このような形の都市成長・開発を助長し、私企業の事業活動に与することとなった。方向を変える施策はあったが、それは真剣には考えられなかった。都市によっては急速な郊外への流出によって中心部が空洞化するという状況も生まれた。われわれがハワードの提案を採用する決断力と健全な都市社会をつくる実行力と知恵を持っていたら、巨大都市を襲いつつあるこの無限の害悪を回避できただろう。

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