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韓国の行政中心複合都市建設

(イメージ図)韓国韓国では現在、中央行政機関18部4処18庁のうち、建設交通部、財政経済部など12部4処2庁を移転する「行政中心複合都市」の建設が燕岐・公州(ヨンギ・コンジュ)地域において進められています。国会、大統領府、最高裁判所及ぴ一部中央行政機関は移転せず、ソウル特別市に残る予定です。

韓国の概要
政治行政システム: 民主共和制
人口: 4,905万人 (2004年)
面積: 99,601km2

行政中心複合都市建設の経緯
2003年 大統領府や国会の移転も含む「新行政首都建設特別措置法」の成立
2004年 「新行政首都建設特別措置法」に対する憲法裁判所の違憲判決
2005年 中央行政機関の一部を忠清南道(チュンチョンナムド)燕岐・公州(ヨンギ・コンジュ)地域に移転することを内容とする「行政中心複合都市建設特別法」の成立
2005年 行政中心複合都市の「都市概念」に関する国際公募の当選作品を発表
2006年 燕岐・公州(ヨンギ・コンジュ)地域において「行政中心複合都市建設庁」が発足
2006年 行政中心複合都市建設基本計画策定



写真1 大統領府(ソウル特別市)
注) 大統領府は行政中心複合都市へ移転せず、ソウルに残る。

行政中心複合都市建設の概要
(1) 立地場所: 忠清南道燕岐・公州(ヨンギ・コンジュ)地域
(2) 面積: 73.14km2
(3) 目標人口: 500,000人 (2030年)
(4) 都市像
・国家の均衡ある発展を導く行政機能中心の複合型自立都市
・自然と人が調和する快適な親環境都市
・利便性と安全性を兼ね備えた人間中心都市
・文化と先端技術が調和する文化・情報都市


行政中心複合部市建設の目的

行政中心複合都市建設の目的は、首都圏に集中する人口や産業を地方に分散させることによって、国土の均衡ある発展と国際競争力強化を図ることにあります。

行政中心複合部市建設の背景と動向

韓国では行政中心複合都市建設が決定される以前から、中央行政機関の一部の移転が行われています。1982年にソウルに隣接する果川(クヮチョン)市へ、1998年には大田(テジョン)市への一部移転が進められました。

しかし、果川市、大田市への一部移転は一定の効果を上げたものの、その後も首都圏の人口増加が続くなど、課題を残しました。(表1参照)

こうした背景を受けて、当初、大統領府や国会の移転も含む大規模な首都移転が構想されました。しかし、2004年10月、その根拠法である「新行政首都建設特別措置法」が、憲法裁判所において違憲判決を受けました。

このため、2005年3月、首都の移転はせずに、国会や大統領府等はソウルに残し、中央行政機関12部4処2庁を移転することとした「行政中心複合都市建設特別法」が制定されました。

2006年1月には移転先に「行政中心複合都市建設庁」が設置されるとともに、同年7月には建設基本計画が策定され、「相生」、「跳躍」、「循環」、「疎通」の4つの理念を基礎とした「共生の都市」の建設計画が提示されました。

今後、開発計画と実施計画の策定を経て、2012年から段階的に庁舎を移転し、2030年までに新都市を完成させる計画です。

表1 首都圏への人口集中の状況(単位:千人,%)
区分 1970 2004
全国(A) 30,882 49,053
首都圏(B) 8,730 23,528
ソウル(C) 5,433 10,288
首都圏割合(B/A) 28.3 48.0
ソウル割合(C/A) 17.6 21.0

注)首都圏とは、ソウル特別市、仁川(インチョン)特別市、京畿道(キョンギド)を示す。
資料)統計庁、統計データベース、住民登録人口(1970,2004年)
出所)行政中心複合都市特別法の憲法訴願に関する法務部意見書

表2 現在の中央行政機関の立地状況
ソウル
世宗路(セジョンノ)庁舎
教育人的資源部、統一部、行政自治部、女性家族部、法制処、国政公報処、消防防災庁
ソウル市内に別途立地 国防部、外交通商部、文化観光部、情報通信部、海洋水産部、企画予算処、国家報勲処、国税庁、検察庁、警察庁、防衛事業庁、気象庁、食品医薬品安全庁
果川(クヮチョン)庁舎 財政経済部、法務部、科学技術部、農林部、産業資源部、保健福祉部、環境部、労働部、建設交通部
大田(テジョン)庁舎 関税庁、調達庁、統計庁、兵務庁、文化財庁、山林庁、中小企業庁、特許庁

出所)財団法人自治体国際化協会ホームページ、各機関ホームページ等より作成
※この他に農村振興庁が水原(スウォン)、海洋警察庁が仁川(インチョン)、行政中心複合都市建設庁が燕岐・公州(ヨンギ・コンジュ)に立地している。

表3 行政中心複合都市に移転する中央行政機関
12部 財政経済部、教育人的資源部、文化観光部、科学技術部、農林部、産業資源部、情報通信部、保健福祉部、環境部、労働部、建設交通部、海洋水産部
4処 企画予算処、国家報勲処、国政公報処、法制処
2庁 消防防災庁、国税庁

注)青瓦台(大統領府)、国会、大法院(最高裁判所)及び一部の中央行政機関は移転しない
出所)財団法人自治体国際化協会ホームページ、各機関ホームページ等をもとに野村総合研究所作成

写真2 国会(ソウル特別市)
(注)国会は行政中心複合都市へ移転せず、ソウルに残る。

写真3 行政中心複合都市建設庁(燕岐・公州(ヨンギ・コンジュ)地域)


写真4 行政中心複合都市建設予定地


写真5 基本計画における都市開発イメージ。環状に6つの都市機能と中央部にオープンスペースを配置
(出所)韓国行政中心複合都市建設庁

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