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平成17年度観光の状況

第1章 進む、観光立国への動き

第1節 外国人旅行者倍増への主な取組

2 外国人旅行者倍増に向けての主要な取組



  (1) ビジット・ジャパン・キャンペーンの積極的展開

1)「愛・地球博」への取組
平成17年3月25日から9月25日にかけて、愛知県の長久手会場と瀬戸会場において「自然の叡智」をテーマに掲げた、愛・地球博が開催された。 
博覧会を契機に、より多くの外国人旅行者を日本に誘致するため、ビジット・ジャパン・キャンペーンの一環として、地方公共団体等との連携の下、海外への広報宣伝、旅行会社の招請事業・商談会による旅行商品の造成支援、情報提供の充実、各種割引の実施等、外国人旅行者の訪日旅行促進のための取組を行った。
博覧会期間中の海外から中部地方へのツアーの中には関東(東京、富士山等)、関西(大阪、京都等)、中部地区の観光地(高山・白川郷、伊勢、浜名湖、トヨタ博物館等)と組み合わせたツアー(1週間から10日程度のツアーが主流)が90本以上造成された。
また、来場者の交通利便の向上に向け、輸送対策協議会を開催し、交通事業者と連携し、往復割引切符の設定、外国語による案内表示・車内放送の充実等を図った。
これらの取組も貢献し、博覧会には予想を上回る約2,205万人が訪れ、その中で外国人入場者数は博覧会協会実施のサンプル調査によると、104.9万人で、内86.8万人が旅行者と推計されている。
また、博覧会開催前に開港した中部国際空港では、開催期間中の外国人入場者数が約33万人と、前年同期の名古屋空港との比較で約13万人増加している。
2)YOKOSO! JAPAN WEEKS
平成18年1月20日(金)から2月20日(月)の間、中華圏・韓国の春節・旧正月に合わせた集中キャンペーン「YOKOSO! JAPAN WEEKS 2006」を実施した。
今年度で2回目となるこの事業は、期間を前年度の2週間から倍増させて1ヵ月に延長し、以下の4項目の取組を行った。
1)日本の各地域の冬の魅力をPRし、観光地と一体となった集客活動の実施
2)イベント・特別観覧や各種料金の割引等の実施
3)外国人への案内機能を持つ施設(YOKOSO! JAPANデスク)を拡充し、外国人が旅行しやすい環境整備の推進
4)外国人歓迎の意識を高めるため「ようこそ!アクション」や「折鶴キャンペーン」等国民参加型の取組の実施
上記の一環として、同年1月19日に、東京浅草浅草寺と大阪ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでオープニングイベントを実施したほか、全国約60箇所で伝統芸能の披露、薬師寺、唐招提寺等文化財の特別観覧、国立博物館、美術館における割引、秋葉原のポップカルチャー体験ツアーを実施した。
「YOKOSO! JAPAN WEEKS」の期間中、中国からの訪日旅行者数は4,472人となり、対前年比26%増となった。また、韓国、台湾、香港からの訪日旅行者数も増加した。

▼中韓修学旅行生と日本の子供達の折鶴交流




  (2) 諸外国と連携した取組

1)2005年日韓友情年・共同訪問年
2005年は、日韓国交正常化40周年に当たることから、日韓友情年・共同訪問年として各種事業が実施された。
両国間で、700件を超える記念事業が開催された。中でも、「日韓友情年2005」実行委員会(注1)の主催事業として同年9月24日に行われた「日韓交流おまつり」では、日本から秋田県の竿燈(かんとう)や青森県のねぶた、韓国からサムルノリ(注2)やタルチュム(仮面劇)等、日韓合わせて37団体、計1,900人が出演し、約5万人のソウル市民が集う大盛況となった。これほどの規模で日韓両国の祭りが韓国で実演されたのは初めてのことであり、その成功は、日韓間で若い人達を中心とした交流が確実に広がっていることを示すものであり、互いの国の伝統的な祭りへの観光客の増加にもつながるものと思われる。

▼青森のねぶた




▼韓国の「プチェチュム(扇の舞)」



同年2月17日から20日にかけて韓日交流大祝祭がソウル市で開催され、VJC実施本部をはじめ、地方公共団体、博覧会協会等によるブース出展等により訪日旅行を呼びかけた。
同年6月29日から7月3日にかけては、日韓文化交流展がソウル市で開催され、木村佳乃日韓共同訪問年広報大使が訪韓し、自らが出演した映画やテレビドラマのロケ地を例に挙げながら、日本の美しい自然景観、温泉、特産品等、個性豊かな地方の魅力を語った。
同年10月8日から1ヵ月間、「JAPAN KOREA ASIAN BEAT 2005」が大阪で開催され、日韓両国の伝統芸能の実演、映画祭、音楽祭、日韓国交正常化40周年記念フォーラム、御堂筋パレード等が実施された。
これらの年間を通じた取組は、日韓の文化交流・相互理解の一層の促進に貢献するとともに、日韓の相互観光交流も2004年の403万人から2005年は419万人に拡大した。
2)2006年日中観光交流年、日本・シンガポール観光交流年、日豪交流年
1)日中観光交流年
2005年7月に北側国土交通大臣と邵&ki;偉(しょう・きい)中国国家旅游局長が会談した際に、2006年を日中観光交流年とすることが合意され、2006年3月10日にオープニング行事として、日中観光交流年記念講演会が東京において実施された。
これを契機として、年間を通じて、観光交流、青少年交流、文化交流をテーマにしたフォーラムの実施、友好都市をテーマとしたシンポジウムの開催、訪日教育旅行の受入体制の整備、中国の旅行会社を対象に訪日スペシャリスト研修等の実施を予定しており、更なる日中観光交流促進に向けた取組を進めることとしている。
2)日本・シンガポール観光交流年
2006年は日本・シンガポール外交関係樹立40周年の年に当たるため、この記念すべき節目の年を「日本・シンガポール観光交流年」と定め、共通ロゴマークの設定、共通の観光交流促進ポスターの作成、交流イベント事業の共同・協力実施等両国が密接に協力して観光交流の拡大に向けた施策を展開することとした。

▼日本・シンガポール外交関係樹立40周年ロゴマーク



3)日豪交流年
2006年は日豪友好協力基本条約30周年に当たり、日豪交流年として芸術文化、教育、科学技術、スポーツ、観光等の分野で両国の友好関係、相互理解の一層の促進を図る取組を進めることとしている。
2006年1月26日に東京において両国の関係閣僚の参加の下、日豪交流年のオープニングの式典が行わた。また、同年2月4日にはオーストラリアにおいて「夏祭りinシドニー」と題して日本の伝統芸能の紹介事業等が行われ、同年2月6日には、日豪観光交流拡大フォーラムを開催し、JETプログラム(語学指導を行う外国青年招致事業)の卒業生とパネルディスカッションを行い、両国の交流の拡大について、活発な意見交換が行われた。
3)姉妹都市交流の促進
2005年9月に東京ビックサイトで開催されたYOKOSO! JAPANトラベルマートの期間中、日中韓姉妹(友好)都市交流を通じた観光交流拡大に関するシンポジウムを開催した。シンポジウムでは日中韓のパネラーが姉妹都市交流の意義や今後の方向性について話し合った。

  (3) 訪日教育旅行の促進

2005年9月に台湾の教育関係者を日本に招請し、都内で「2005年日台教育旅行交流座談会」を開催した。台湾の教育関係者から日本での修学旅行で体験できるプログラムの充実や姉妹校提携の促進について要望が出され、受け入れる日本側も積極的に検討していくことになった。
同年10月に、韓国の光州、全州、大田で、同年12月には、ソウルと仁川で訪日教育旅行説明会を開催し、日本側から講演、プレゼンテーションを韓国の教育関係者に対し行い、地域別のモデルコースや体験学習のメニュー等を紹介した。
同年12月には、第1回訪日教育旅行促進全国協議会を開催し、官民の関係者の連携、訪日教育旅行受入れに熱心な地域による訪日教育旅行促進地域協議会の立上げ、相手国・地域の希望と受入体制のマッチング機能の確立により、訪日教育旅行受入れの促進を図っている。

(注1) 
実行委員長は平山郁夫・前東京芸術大学学長、副委員長は瀬戸雄三・(社)日韓経済協会会長と成田豊・(株)電通最高顧問が務めた。
(注2) 
頭を振って踊りながら4種類の打楽器を演奏する舞踊

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