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第III部 平成25年度に講じようとする施策

第5章 国際競争力の高い魅力ある観光地域の形成

第3節 観光旅行者の来訪の促進に必要な交通施設の総合的な整備

1 国際交通機関の整備



  (1) 国際拠点空港の整備等

 我が国のビジネス・観光両面における国際競争力を強化するため、我が国の成長の牽引車となる首都圏空港の機能強化を図っている。
 成田国際空港については、旺盛な首都圏の国際航空需要に対応する国際線のメイン空港として、地元合意を踏まえ、高度な管制システムを導入し、同時平行離着陸方式の効率的な運用を図り、平成26年度中に年間発着枠を30万回まで拡大するとともに、オープンスカイの推進等による国際ネットワークの充実、専用ターミナル整備によるLCCやビジネスジェット受け入れ体制の整備、国内フィーダー路線の拡充による内・際乗継機能の強化等により、アジアのハブ空港としての地位を確立していく。
 また、羽田空港については、24時間国際拠点空港化を着実に推進することとしており、平成25年度末に年間発着枠を44.7万回(うち国際線9万回)へ拡大する。そのため、国際線9万回への拡大に必要な国際線地区の拡充、年間発着枠44.7万回への拡大に必要な駐機場等の整備を行うほか、長距離国際線の輸送能力増強に必要なC滑走路延伸事業等を着実に推進していく。こうした取組を通じ、昼間においてもアジア長距離や欧米を含む高需要・ビジネス路線を展開することで、旺盛な首都圏航空需要に対応するとともに、充実した国内線ネットワークを活用した内・際ハブ機能を強化していく。
 関西国際空港については、LCC専用ターミナルの整備や着陸料の引下げ等の料金戦略の実施等により、LCCによる成長ネットワークの獲得とFSC(Full Service Carrier)(注)による基本ネットワークの拡充を図り、我が国のインバウンド拡大に最大限貢献するネットワークの形成を目指すとともに、アクセス料金の低廉化や早朝・深夜時間帯のアクセス拡充等によりアクセスの更なる改善を進めるほか、インバウンド旅客のニーズに対応した店舗展開等により魅力ある商業エリアを創造する等の取組を進め、国際拠点空港としての機能の再生・強化を図る。
 中部国際空港については、本邦LCCが就航を開始したところであり、内・際一体での運用等、多様化する航空会社のニーズに対応していく。さらに、商業エリアのリニューアルを行う等、空港利用者にとって魅力的な空港を目指した取組を推進し、国際拠点空港としての機能の強化を図る。
 さらに、各地域における拠点的な空港については、東アジアをはじめとする諸外国との直接交流を促進するため、内外の広域的な交流拠点として必要な機能強化を図る。とりわけ、処理能力の限界に近づきつつある那覇空港については、抜本的な空港能力向上のため、滑走路増設事業に新規着手する。
 併せて、民間の能力を活用した空港経営改革を推進することにより、柔軟な着陸料体系の構築等を通じて地域活性化の核となる真に魅力ある空港の実現を目指す。

  (2) 空港・港湾の旅客ターミナル等の整備

 国際拠点空港・港湾は、訪日外国人旅行者にとっては我が国に入国するための玄関に相当する施設であり、おもてなしの心で迎えるためには、旅客の快適性の確保に配慮する必要がある。このため、旅客ターミナル等の施設を充実させるとともに、両替や案内等のサービス機能の多様化・高度化を図る。成田国際空港については、今後、LCCの旺盛な就航計画を踏まえ、平成26年度中の完成を目指してLCC専用ターミナルを整備することとしており、現在、設計や準備工事を進めている。羽田空港については、平成22年10月に供用開始した国際線旅客ターミナルの拡張を引き続き進めており、平成26年3月末に供用開始(一部それ以降)を予定している。中部国際空港については、平成26年後半の完成を目指して、LCCの拠点化にも対応できる共用の新ターミナルの整備を行う。関西国際空港については、新たなLCC専用ターミナルの整備の検討を進める。那覇空港においては、国際線旅客ターミナルの機能向上のための施設整備を進めており、新国際線旅客ターミナルビルについては、平成26年1月の完成を予定している。
 港湾においても外国人旅行者の増加に向けて、外国クルーズ船の日本寄港促進のためのソフト・ハードの取組を推進する。

  (3) 航空交通システム・海上航路の整備

 航空交通量の増大や多様化する航空ニーズ等への対応のため、成田国際空港においては年間30万回の発着容量の実現に向け、現行の2本の滑走路を前提としつつ騒音影響区域を広げずに発着能力の拡大が可能となる同時平行離陸方式等の慣熟を図る。また、羽田空港においては年間44.7万回の発着容量の実現に向け、4本目の滑走路の使用も含めた運用方式の慣熟等を進める。さらに、高度に統合されたシステムにより、出発から到着までの航空機の軌道を最適化する航空交通管理への変革を中核とした航空交通システムの高度化を進める。

(注) 
従来型航空会社

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