2.5.2 製品仕様の作成

前項までの結果を集約・整理し、各都市における拡張製品仕様書を作成する。拡張製品仕様書には2-22に示す項目を示さなければならない。

標準製品仕様書は汎用的な記載となっている。そのため、個々の地理空間データに応じた製品仕様として記載を具体化する必要がある。拡張製品仕様書の作成には、附属書Aに示す様式を使用して前項までに作成した結果と、拡張製品仕様書のテンプレートを用いる。拡張製品仕様書の作成においては、国土交通省国土地理院が作成した「地理空間データ製品仕様書作成マニュアル」を参照すること。

2-22 — 製品仕様書の構成

データ製品仕様書の構成

記載内容

1. 概覧

データ製品(地理空間データ)の概要として、データ製品仕様の作成に関する情報、利用目的(ユースケース)、対象とする範囲等

2. 適用範囲

データ製品仕様が適用される範囲

3. データ製品識別

データ製品の名称、日付、問合せ先、地理記述

4. データの内容及び構造

作成する/された地理空間データの内容と構造

5. 参照系

地理空間データの空間的・時間的位置を特定するための基準

6. データ品質

地理空間データが利用目的に合致するために保証しなければならない品質の基準

7. データ製品配布

地理空間データが記録されるデータフォーマットと記録される媒体

8. メタデータ

地理空間データを説明するためのデータ(メタデータ)の仕様

9. その他

地理空間データを作成または作成された地理空間データを使用する際に重要となる事項

  • 【手順】

  • 手順1.製品仕様の記載事項(2-23)に従い、データ製品の仕様を記述する。
    記述には、拡張製品仕様書のテンプレートを使用する。テンプレートは、以下よりダウンロードできる。
    URL: https://www.mlit.go.jp/plateau/file/libraries/doc/template.zip

  • 手順2.標準製品仕様書を拡張した内容について、前項までに作成した表を添付する。
    A.3.1により整理した、取得対象とする地理空間データの一覧と、拡張の内容に応じて、2-24の各表を付し、拡張製品仕様書とする。

2-23 — 製品仕様書の記載事項

データ製品仕様書の構成

記載内容

1. 概覧

1.1 データ製品仕様の作成情報

題名は、「XXXXX3D都市モデル拡張製品仕様書」とする。
XXXXXには、対象とする都市(基礎自治体)の名称を入れる。
日付は、拡張製品仕様書を作成した日付とし、作成者は、拡張製品仕様書の作成を所管した機関とする。分野には、「都市」に加え、ユースケースを端的に表現する単語を入れる(例:防災)

1.2 目的

データ製品が対象とするユースケースを記載する。

1.3 製品の範囲

空間範囲をデータ製品が対象とする都市の名称に変更する。

1.4 引用規格等

引用規格等として、以下を追加する

  • 3D都市モデル標準製品仕様書 第5.X版

  • 3D都市モデル標準作業手順書 第5.X版 その他、データ製品仕様の拡張にあたり、引用した法令・規格・仕様がある場合には追加する。

1.5 用語と定義

拡張したデータ製品仕様に専門的な用語が含まれる場合にはその用語と定義を追加する。

1.6 略語

拡張したデータ製品仕様に略語が含まれる場合にはその用語と定義を追加する。

2. 適用範囲

範囲の名称を「XXXXXにおける3D都市モデル拡張製品仕様適用範囲」とする。XXXXXには、対象とする都市の名称を入れる。

3. データ製品識別

3.1 データ製品の名称

3D都市モデル_[都市コード]_[提供者区分]_[整備年度]_[オプション]」とする。

[都市コード]は、3D都市モデルの作成範囲となる都市を示すコードとし、作成範囲が市区町村の場合はJIS X0401に示される2桁の都道府県コードとJIS X0402に示される市区町村コードを加えた5桁)を記載する。作成範囲が都道府県の場合は、JIS X0401に示される2桁の都道府県コードとする。
[提供者区分]は、3D都市モデルの提供者を識別する文字列である。成果品のフォルダ名に使用する[提供者区分]に一致する。
[整備年度]には、3D都市モデルを構築した西暦年度を半角4桁の数字で記載する。成果品のフォルダ名に使用する[整備年度]に一致する。
[オプション]は、複数種類のデータ製品が同一都市かつ同一年度に作成される場合にこれらを識別するための任意の文字列とする。半角英数字のみ使用できる。

3.2 データ製品の日付

3D都市モデルを構築した日付とする。3D都市モデルの構築にかかる業務発注の際の仕様書等により指定された日付がある場合には、その日付を採用する。

3.3 データ製品の問合せ先

3D都市モデルを作成する都市の問合せ窓口(担当部局、連絡先)を記載する。

3.4 データ製品の地理記述

3D都市モデルを作成する都市の名称を記述する。
複数の都道府県や市区町村が含まれている場合には、それぞれを列記する。

4. データの内容及び構造

4.1はじめに

データ製品仕様が対象とする地物型等の一覧を示す。

4.2 応用スキーマクラス図

i-URやCityGMLに定義された地物型等を追加した場合には、該当するクラス図を追加する。

なお、i-URやCityGMLの仕様書に示されたクラス図を転載する場合には、その出典を記載すること。

4.3 応用スキーマ文書

地物型等を追加した場合には、作成した応用スキーマ文書を追加する。
コードリストを作成した場合には作成したコードリストを追加する。

5. 参照系

変更しない。

6. データ品質

6.3 品質要求及び評価手順

地物型等を追加した場合には、これに対して要求する品質を示す。

定義済みの品質要求を変更した場合にはこれを示す。

7. データ製品配布

7.2 配布媒体情報

成果品のフォルダ構成を示す。
追加した地物のファイル名を分ける場合など、ファイルのオプションを使って地物のファイルを分割する場合には、ファイル名のオプションの一覧を付すこと。
災害リスク情報は都市ごとに作成されるサブフォルダが異なるため、データ製品に含まれるサブフォルダの一覧を付すこと。

8. メタデータ

必要な場合には、メタデータの作成単位を設定する。

9. その他

作成したデータ製品の使用にあたり、留意事項がある場合にはこれを記載する。

2-24 — 拡張製品仕様書に必要な様式

拡張の内容

様式(●:必ず作成、〇:条件に応じて作成)

備考

A.3.1

A.3.2

A.3.3

A.3.4

A.3.5

A.3.6

A.3.7

地物一覧

コードリスト

拡張属性

 定義文書

汎用オブジェクト

汎用属性

 品質

「建築物」に地物属性/地物関連を追加

コード値型の地物属性を追加

コード値型以外の地物属性/地物関連を追加

i-URまたはCityGMLに存在する地物型等を追加

コード値型の属性を追加する場合は、コードリストを作成する。

i-URまたはCityGMLに存在しない地物型等を追加

GenericCityObjectによる地物型の追加

GenericAttributeによる地物属性/地物関連の追加

コード値型として汎用属性セットを追加する場合には、コードリストを作成する。

拡張製品仕様書の作成における留意事項を以下に示す。

2-25 — 留意事項9: オープンデータ仕様書

ID

/att/decision/9

主題

標準作業手順

分類

要件分類1: 拡張製品仕様書作成時の留意事項

条文

成果品となる3D都市モデルを加工し、オープンデータ化可能な3D都市モデルを別途作成する場合には、オープンデータ用の拡張製品仕様書も作成すること。

  • 3D都市モデルは、特定のユースケースだけではなく、様々な分野で活用されることで新たな価値を創出することが期待されている。そのため、3D都市モデルを幅広く公開することが望ましい。一方で、ユースケースによっては、個人情報保護の観点等からオープンデータとして適切ではない情報項目が含まれている可能性がある。その場合には3D都市モデルからオープンデータ化可能な項目を抽出した、オープンデータ用の3D都市モデルを作成する(6.2参照)。

  • オープンデータ用の3D都市モデルを作成する場合は、これの製品仕様を示す製品仕様書を作成すること。