● 政策課題勉強会(平成28年2月3日(水))
テーマ: 「ASEAN経済共同体発足で問われることは何か
−オールジャパンの官民が連携した物流・インフラ等の展開に向けて−」
講演者: 大泉 啓一郎 氏 (株式会社日本総合研究所調査部 上席主任研究員)
<講演内容>
ASEANの経済規模は名目ベースで日本の6割程度であるものの、購買力平価ベースでは日本の1.4倍に達する。また1人当たりGDPは日本が36,300ドル(2014年)に対し、ASEANは4,000ドルと10倍近くの格差があるものの、タイ・バンコクの水準は15,000ドル(2013年)、マレーシア・クアラルンプールは25,000ドル超(2013年)となっている。
ASEAN経済共同体の本質は、まさにこのようなメガ都市からなる新しい経済圏にあり、ASEANを中間所得国の集合体と考えていると、ビジネスチャンスを逃すことになる。
ASEAN経済共同体はEUと比較すると自由化のレベルは低いものの、2010年に先発ASEAN6カ国で域内関税が原則撤廃されており、2018年には後発ASEAN4カ国の関税も撤廃される計画である。
この動きは、ASEANの自由貿易地域への歩みを着実に進め、結果域内貿易も1995年の780億ドルから2014年の3,290億ドルと4倍以上に増加している。域内外に分業体制も深化しており、ASEANは世界のサプライチェーンで重要な地位を占めている。
このような発展を遂げるASEANにおいて、我が国企業の強みはどこにあるのか、官民連携したオールジャパンの体制で何ができるのか、ASEAN経済の変化を概観した上で、ASEANの生産性の向上に必要不可欠なインフラ輸出・整備、貿易や市場の活性化を支える物流網の構築、さらに現地技術者の人材育成の観点から、今後のASEAN共同体との新しいビジネスの可能性について考察していただいた。