国土交通省

防災教育ポータルサイト

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コラム

防災教育ポータルに期待すること

日本体育大学大学院研究科長 角屋重樹

本コラムが目指すことは、ポータルサイトの活用に資する考え方を提案することである。このため、まず、防災教育ポータルサイトを概括することから始める。

このサイトには、住民一人ひとりが災害時に適切に避難できる能力を養うための、大規模氾濫減災協議会における取組や防災教育支援ツールの整備等に関する取り組みが掲載されている。これは、学校教育における指導計画等の作成を支援、及び授業で活用できる教材や事例の紹介を目指したものである。

次に、ポータルサイトには、国土交通省のホームページに洪水や地震などから「命を守る」ための情報、コンテンツが収録されている。ここには、スライドや解説書、副読本、動画など教材の紹介、授業で活用できる教材を作成する際に活用できる防災に関する写真やイラスト等の素材を紹介している。また、防災教育を始めるときの手引きやガイドブック、指導計画例の紹介、他校での授業事例が紹介されている。

そして、ポータルサイトには、子供向けの動画「洪水から身を守るには」がある。この動画は、水害時の危険なシーン、命をまもるための3つのポイント、ポイントの実践、から構成されている。

さらに、遊びながら防災について学ぶことができるカードゲーム「このつぎになにがおこるかな?」がある。これは遊戯的に防災について学ぶことを目指している。

最後に、訓練を実施しやすくするポイントを掲載した「水災害からの避難訓練ガイドブック」がある。このガイドブックは、避難の手順やタイミングを整理し、学校の水害リスクごとに避難訓練のパターンが選択可能であり。そして、指導する事項の例を、小学校の低学年、中学年、第5学年、第6学年ごとに整理してある。

今まで述べてきた防災教育ポータルサイトは、主として、迅速に逃げるという行為を目指したものであるといえる。

学校教育における避難行動には、災害が起こるメカニズムを理解し、その理解に基づく行動が必要になる。

例えば、水災害を例にすると、

  • ① 水の増え方や異常な音などの様子を諸感覚でとらえ(事物や現象について感じる)
  • ② 予測して(考える)
  • ③ 行動する(行う)

というようになると考えられる。子供の避難行動は、ただ避難するだけではなく、事象の特性をとらえ、予測し、判断し、行動するということが必要になる。このことは、事象をとらえ、予測し、判断し、行動するという過程を踏まえて条件反射的に行動できるという力を子供に獲得させておくことの必要性を意味する。

上述のようなことを配慮することにより、より一層、学校関係者に活用できる防災教育ポータルサイトになると考える。