平成21年7月に発生した山口県防府市の土砂災害において、特別養護老人ホームに入所していた災害時要援護者が被災したことを受け、都道府県の協力を得て土砂災害のおそれのある災害時要援護者関連施設の状況について調査を行いました。
調査により、全国に13,730施設が立地しており、そのうち、砂防堰堤等の砂防関係施設が整備されている施設は3,598施設で、全施設の3割に満たないことが確認されました。
また、土砂災害警戒区域に指定されている施設は4,165施設で、全施設の7割の立地している箇所において指定がなされていないことが確認されました。
今後は、施設の規模や構造等の特性を踏まえて砂防関係施設の整備を重点的に実施するとともに、土砂災害警戒区域等の指定による危険な箇所の明示及び警戒避難体制の整備を推進するなど、ハード・ソフト一体となった重点的な土砂災害対策を実施する必要があります。
参考:記者発表資料(平成22年6月18日)
土砂災害のおそれのある災害時要援護者関連施設の調査結果について
土砂災害のおそれのある災害時要援護者関連施設の調査結果を踏まえ、都道府県に対し下記のとおり重点的な土砂災害対策の推進を図るよう都道府県土木部局あてに通知を行いました。
○災害時要援護者が24時間滞在する施設のうち、入所者が多く迅速な避難が困難と想定される施設や、豪雨時に施設内での緊急的な避難が困難と想定される1階建ての施設等、施設の規模や構造等の特性を踏まえ、砂防関係施設の一層の重点整備を図る
○災害時要援護者に係る警戒避難体制の整備を図るため、施設の立地箇所において土砂災害警戒区域の優先的な指定を行う
○土砂災害のおそれのある箇所に立地している施設の管理者に対し、調査の結果及び警戒避難体制の整備にかかる情報提供を行う
○土砂災害のおそれのある箇所に立地している施設やその土砂災害の現状について市町村との情報共有を行う
今後の対策に当たっては、災害時要援護者関連施設の規模や構造等の特性を踏まえた砂防関係施設の整備や、土砂災害警戒区域等の指定を進めることに加え、関係部局が日頃からより緊密に連携を図ることが不可欠であると考え、このたび、厚生労働省との連名により、都道府県土木部局及び民生部局あてに、両部局間の連携強化を図るよう通知を行いました。
今回の連名通知における両部局間の連携のポイントは、以下のとおりです。
○土砂災害のおそれのある箇所や災害時要援護者関連施設の立地状況等、基本的な情報を日頃から共有する
○既に立地する施設に対しては、市町村等の関係機関とも連携し、土砂災害ハザードマップの周知や、土砂災害を対象とした防災訓練の実施を支援する
○新たな災害時要援護者関連施設の建設に対しては、申請者へ土砂災害のおそれのある箇所に関する情報、土砂災害特別警戒区域等の指定に伴う規制の内容等の情報を提供し、土砂災害に対する安全の確保の観点も加味した計画検討を促す