新釧路川が土木学会選奨土木遺産に認定
【治水対策・港湾の発展・まちづくりに寄与】
新釧路川の完成により、かつて釧路川周辺で発達していた市街地は新釧路川周辺まで広がり、日本製紙などの工場が立地し、産業が発展しています。釧路川河口の重要港湾釧路港は、東港区が水産業の一大拠点として、また、西港区は東北海道の国際物流拠点として発展しています。新釧路川は、釧路湿原の遊水地と合わせて、洪水を安全に太平洋へ流下させ、市街地や港湾の発展を支えている地域の宝です。 【選奨土木遺産に認定】 新釧路川は「釧路市に甚大な被害を与えた大正9年洪水を契機に開削され、洪水対策に加え釧路港への土砂流入を防ぎ、地域の発展を支えた施設」です。その功績が認められ、新釧路川は公益社団法人土木学会の「選奨土木遺産」に認定されました。 土木学会選奨土木遺産「新釧路川」 |
選奨土木遺産に認定された「新釧路川」
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地域住民と一体で守る釧路川
釧路湿原本来の姿を蘇らせる川づくり
釧路湿原は、我が国最初のラムサール条約登録湿地であり、タンチョウやキタサンショウウオをはじめとする多様な野生生物の貴重な棲み場となっています。しかしながら、近年、流域の経済活動の拡大に伴い湿原面積が著しく減少し、湿原植生もヨシ・スゲ群落からハンノキ林に急激に変化してきています。このような問題に対処しつつ、貴重な財産である釧路湿原を守るため、平成13年には「釧路湿原の河川環境保全に関する提言」が提起されました。この提言を受け、新たな枠組で実施される自然再生事業では、事業の妥当性・透明性を保ちつつ、これを円滑に進めるため、地域住民、NPO、NGO、地方公共団体、関係行政機関、専門家などで構成する「釧路湿原自然再生協議会」が設立されました。そこでは、関係機関の連携・協働を強めるとともに、地域の多様な主体の参加による合意形成に基づく事業推進を目指しています。
釧路湿原自然再生協議会 |
釧路湿原自然再生協議会の様子
ハンノキ林調査(茅沼地区旧川復元)
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川とのふれあいと憩いの場
釧路湿原を含めた釧路川流域では、地域住民による良好な河川環境づくりに貢献するボランティア活動や、子供たちが良好な自然と触れ合い体験する機会となるイベントが行われています。また、訪れる人々は釧路湿原の雄大な景観に触れることや湿原内を蛇行する河川を川下りすることができることから、釧路川流域は、観光資源としても重要なものと位置付けられています。さらに、釧路市~標茶町の区間における釧路川の河川敷は、河川緑地としてグランド、遊技広場、カヌーポートとして整備されており、地域住民の憩いの場として活用されています。
「川づくり」のあらまし |
治水記念公園
カヌー川下り
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みんなで守り学べる釧路川
釧路市・釧路町・標茶町・鶴居村などの住民から構成され、釧路湿原の良好な河川環境づくりに貢献するボランティア活動を目的とした「釧路湿原川レンジャー」が平成12年度より発足し(事務局:釧路開発建設部)、植樹祭やゴミ拾いなど、積極的な活動が行われています。
また、釧路湿原国立公園連絡協議会で主催される「こどもレンジャー」では、湿原への移入種やエゾシカについての調査や学習会のほか、クリーンウォークなどの奉仕活動が行われており、さらには、釧路国際ウェットランドセンターにおいて、関連団体との共催で釧路川の河川環境観察会も実施されています。なお、釧路市からは「釧路湿原で学ぶ」と題した修学旅行のための手引きが編集・発行されています。 釧路湿原川レンジャー |
川レンジャーによるゴミ拾い
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釧路川と文学
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更科源蔵文学碑 ※弟子屈町役場から提供 |
弟子屈地区かわまちづくり
既存の近接する公園や市街地と連続性を持つ河川沿い管理用道路が整備されたことで、観光客が釧路川沿いを散策しながら、町内の観光交流拠点巡りや市街地の移動を手軽に楽しむことが出来ます。
道の駅から、釧路川を渡って対岸にある水郷公園までは、徒歩で水と緑を気軽に感じられる良い散策コースとなっています。また、釧路川は本流にダムが一つもない川で、カヌー下りが盛んです。カヌーに乗って屈斜路湖から弟子屈市街を流れ下れば、街と水、緑が絶妙にマッチした弟子屈の魅力に気づくことでしょう。 弟子屈地区かわまちづくり |
緩傾斜親水護岸でカヌー利用
水辺で乾杯
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