物流は国民生活・経済を支える社会インフラです。物流産業を魅力あるものとするため、働き方改革に関する法律が本年4月から適用される一方、物流の停滞が懸念される「2024年問題」に直面しています。
具体的には、何も対策を講じなければ、輸送能力が2024年度には14%(4億トン相当)、2030年度には34%(9億トン相当)不足し、今のように運べなくなる可能性があると推計されています。こうした状況に対応するため、荷主企業、物流事業者、一般消費者が協力して我が国の物流を支えるための環境整備に向けて、商慣行の見直し、物流の効率化、荷主・消費者の行動変容について抜本的・総合的な対策が必要とされています。また、軽トラック運送業において、死亡・重傷事故件数が最近6年で倍増しており、安全対策の強化も求められています。
こうした中、流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律及び貨物自動車運送事業法の一部を改正する法律(令和6年法律第23号)が第213回通常国会で成立し、令和6年5月15日に公布されたところであり、以下の対策を講じることにより、物流の持続的成長を図ってまいります。
(1)荷主・物流事業者に対する規制 【流通業務総合効率化法】
・荷主・物流事業者に対し、物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課し、当該措置について国が判断基準を策定。
・上記取組状況について、国が判断基準に基づき指導・助言、調査・公表を実施。
・上記事業者のうち、一定規模以上のものを特定事業者として指定し、中長期計画の作成や定期報告等を義務付け、中長期計画に基づく取組の実施状況が不十分の場合、勧告・命令を実施。
・さらに、特定事業者のうち荷主には物流統括管理者の選任を義務付け。
※法律の名称を「流通業務の総合化及び効率化の促進に関する法律」から「物資の流通の効率化に関する法律」に変更
(2)トラック事業者の取引に対する規制 【貨物自動車運送事業法】
・元請事業者に対し、実運送事業者の名称等を記載した実運送体制管理簿の作成を義務付け。
・荷主・トラック事業者・利用運送事業者に対し、運送契約の締結等に際して、提供する役務の内容やその対価(附帯業務料、燃料サーチャージ等を含む。)等について記載した書面による交付等を義務付け。
・トラック事業者・利用運送事業者に対し、他の事業者の運送の利用(=下請けに出す行為)の適正化について努力義務を課すとともに、一定規模以上の事業者に対し、当該適正化に関する管理規程の作成、責任者の選任を義務付け。
(3)軽トラック事業者に対する規制 【貨物自動車運送事業法】
・軽トラック事業者に対し、[1]必要な法令等の知識を担保するための管理者選任と講習受講、[2]国土交通大臣への事故報告を義務付け。
・国交省による公表対象に、軽トラック事業者に係る事故報告・安全確保命令に関する情報等を追加。
改正物流法では、トラックドライバーの賃上げ原資の確保や物流の生産性向上を図るため、荷待ち・荷役時間の削減や多重下請構造の是正等を進めるため、荷主・物流事業者に対する規制的措置を導入するものです。このうち、改正物流効率化法の施行に向けては、今後政省令等に定める基本方針や判断基準、特定事業者の指定基準等の具体的な内容などを検討ため、国土交通省・経済産業省・農林水産省の三省の審議会の合同会議を立ち上げ、令和6年秋を目途とした取りまとめに向けて、関係省庁のご意見も伺いながら、議論を進めております。
合同会議の詳細につきましては、下記よりご覧ください。
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